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ネトゲで愚痴発狂する絶世の美女

 水鏡冬華はミハエル、フレッド、アリウスよりはネトゲでも行儀良いが、それでもとげとげしい所はあった。

 水鏡冬華はネトゲでそこそこ大手のギルドに属している。

 剣と魔法のMMORPGのギルドチャットにて。

「あ、ごめ~ん間違えたとか言ってわたしの水筒に3回口つけたんだからね! あの野郎! キモイって言葉攻撃的すぎるからあまり使わないようにしてるんだけどキモイわ! さすがに」

 ギルメンからは

「3回はあり得ないよねー」

 など同意の意見が散見される。

「あの女、

 『皆のためにも色目使わない方がいいよ(キラッキラッ)

  あとテーブルに乳置くの自慢してるの?』

 色目使ってないんですけどーー!

 これ、すっぴんなんですけど! 化粧もしてないのにさすがに言われたくないわ。

 わたし普通にしてるだけなのに勝手に周りの男が視線投げかけてくるだけだわ。

 嫉妬やめてくれるかしらあの化粧濃い女!

 それに乳置くのは自慢じゃなくて楽だからですー! 肩凝るのよ! 巨乳は!」

ギルドメンバーからは、

「あはは……」

 乾いた笑いが出てきた。

 ここでギルドマスターから注意が入る。

「水鏡さん。ギルチャを愚痴で荒らさないように。少しなら大目に見ますがちょっと他のギルメンが怖がってますんで……」

「は、はい。すみません……」

 素直に謝る水鏡冬華。

「水鏡さん。わたし個人チャットで愚痴なら聞きますから」

 とキャラクター名『聖天使猫クラウリト』が水鏡に話しかける。

 このキャラクターは水鏡冬華の夫、ミハエルの持ちキャラである。男のプリーストである。そして重ね着として大きな大剣2つを背中に抱えている。

 そして水鏡と聖天使猫クラウリトの個人チャット――――

「人の下着の色にケチつけんな!

 あのオヤジ……。まあ見えちゃったのはわたしにスキがあったと認める。そこは一歩下がる。

 でも人の下着を見ておいて

 『その下着の色はガキくさくないかね? もうちょっと君みたいな女なら――』

 うっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっせーーーーーーー!

 人の下着勝手に見ておいて品評会始めんな! ド変態!」

「…………災難だったね」

「――――――――!」

「酒でも飲んで忘れようよ」

「――――――――!」

 ある秋の夜、水神神社の巫女の夜はこうして更けてゆく――――。

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