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「相変わらず仲いいよな。――オレもそれ、一口もらっていい?」
「うん、いいよ。あ、でも……」
口を付けたスプーンを使わせるのは悪いし。
どうしようかと少し戸惑っていると、察したのか、橘くんはふっと笑みを見せる。
「オレは自分の使うから」
そう言って、私にフォークを見せた。
「それだと……食べにくくない?」
「これで充分だって。んじゃ、遠慮なくもらうねぇ~」
さっとすくうと、橘くんは美味しそうにパフェを頬張った。
「お、そんなに甘くないんだな」
「うん、意外とさっぱりだよね」
「だな。イチゴもいい、かな?」
「ふふっ、いいよ。でも、そんなに食べるなら、同じの頼んだ方がいいんじゃない?」
気に入ったのか、それから二口ほど、橘くんはパフェを食べていた。
その時ふと、なんだか二人が静かだななぁ~と感じ、視線を向けて見ると。
「「な~に幸せオーラ出してんの?」」
声をそろえて、ニヤニヤとした表情の二人が、私たちを見ていた。
「朔夜は危険な恋をするタイプなのか? 市ノ瀬は彼氏もちだろう?」
「それも、実のお兄さんが彼氏なんだよ」
「マジか?! うわぁ~実らない恋か」
「ちょっ、変なこと言うなって!」
「そ、そうだよ! 橘くんが私を好きになるはずないし」
二人で否定するものの、美緒たちからはごちそうさま~という雰囲気を向けられてしまい――送ってもらいなと言われ、帰りは橘くんの車で帰ることになってしまった。
「アイツら……自分が二人きりになりたいだけだろう?」
ため息をはきながら、呆れたように言葉を発する。
それに頷きながら、私は申し訳ない気持ちで橘くんに謝った。
「ごめんね……急に送ってもらうことになって」
「いや、そこは気にしないでいいから。――んじゃ、とりあえず帰ろうか?」
「うん。今日もお願いします」
車を走らせること数分――先程からかわれたのが尾を引いているせいか、なんだかちょっと、恥ずかしい雰囲気が漂っていて。
「…………」
「…………」
嫌な空気ではないものの、これはこれで困ってしまう。
「…………」
「…………」
えっと……何か、会話を。
「…………」
「あ、あのね――?」
ブー、ブー、ブー。
声を出したのと同時に、カバンに入れていた携帯が震える。急いで開くと、カレからの電話がかかっていた。
「ごめん、電話使うね」
一言断ってから、携帯のボタンを押した。
『今何してる?』
唐突な質問ながら、私は橘くんに送ってもらっているところだと話す。
『ふ~ん……ま、ちょうどいいや。朔夜に代わって』
「うん、分かった。――橘くん、純さんから」
ん、と頷いてから、橘くんは携帯を受け取った。
どんな話をしているのかと見ていると、困った声が耳に入る。
「今から?! 別にいいけど……明日学校なんだから、あんま遅くは勘弁してくれよ。――あぁ。はいはい、じゃあまた」
話が終わったらしく、電話を切ると、橘くんは申し訳なさそうに言葉を発した。
「今からさぁ……アニキが家に来てくれって」
「えっ、今から……なの?」
「この間会えなかったからって言ってるけど……イヤなら無理しなくていいぞ?」
「ううん、いやじゃないから。――でも、帰りはどうしよう」
今日は足がないし、明日は学校だから早めに帰りたいけど。
「帰りはオレが送るから、そこは気にしなくていいから」
「そ、そんな! いくらなんでも、そんなこと……」
「別にいいって。ってか、アニキのワガママに付き合ってもらって、こっちが悪いなぁって思うぐらいだし。だから、気にすることないから」
やわらかい笑みを見せながら、橘くんは言う。
本当……橘くんって、すごくやさしいよね。
でもきっと、それは私が、お兄さんの彼女だからなんだろうけど。
帰りも送ってもらうことに感謝をして、私たちは実家へと向った。
「――早かったな」
部屋に入るなり、カレは私を引き寄せ、そのままベッドへと押し倒す。いつもと違う行動に驚いていると、意外な言葉が耳に入った。
「この間は悪かったな、会えなくて」
「あ……別に、仕方のないことだし」
「ってか、今日は溜まってるんだよ。――いいだろう?」
ニヤリと笑い、カレは左手で私の両手を押さえ、右手を胸の上に置く。
少し痛いくらいに揉まれ、思わず声を出してしまう。
「声、出さない方がいいぞ? もしかしたら……聞こえるかもだしな」
「は、恥ずかしいっ?!」
服をたくし上げられ、肌が露になる。
胸元に顔を埋め、カレは楽しげに行為に及ぶ。
「っい! ダ、ダメ、だからっ……」
ブラをずらされ、カレの舌が、胸を這っていって。
「下は嫌がってねぇーけど? ほら、力抜け」
今日呼んだのって……これが、目的だったの?
そういう気分だったから、会おうって言ったの?
体が痛いのか。
それとも心が痛むのか。
声を出さぬよう必死になっていて、何が痛いのか、分からなかった。
純さんは……何のために、私といるの?




