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2.いじめその一

「さぁ、リーンベル。今日もいじめの時間ですわよ?」


「ファルシア様! 今日こそは捕まらないわ!」


 そう言って、公爵家の与えられた私室を逃げ回るリーンベル。私は、リーンベルを捕まえていじめます。


「ふふ、もう捕まってしまったのですね? 勘弁していじめられなさい?」


「うひゃ、も、も、もうやめてください! ファルシア様!」


 私がリーンベルをいじめると、リーンベルが許しを乞います。今日のいじめは充分でしょう。


「では、リーンベル? 今日は礼儀作法の復習と歴史のお勉強をいたしましょう?」


 女神様が「学園に入学する」とおっしゃっていたからには、リーンベルには学力が必要です。

 私の復習ついでに、リーンベルに勉強を教えます。物覚えのいいリーンベルは、教えがいのある生徒です。


「ファルシア様ぁ。疲れてしまいましたわぁ」


「ふふ、甘えてきてとても愛らしいですわね。では、おやつの時間にいたしましょうか? それが終わったら、魔術の時間ですわよ」


「ひぇ!」


 リーンベルを抑えることで、ある意味、いじめにもなっている、私は満足して笑みを浮かべるのでした。









ーーー


 美しい桜が舞い散り、制服を着た生徒たちが次々と馬車を降りてきます。今日は学園の入学式ですわ。入学式を終えたら帰宅して、数日間の春休みを過ごした後に入寮します。遠方の方への配慮ですわね。


「ファルシア様、緊張いたしますわ」


「大丈夫よ、リーンベル。あなたはとてもよく頑張ったわ。帰ったら、ご褒美にティータイムを過ごしましょう?」


「ファルシア様……!」


 学園入学の日、一緒に登校したいとおっしゃる王子殿下の誘いを恐れ多くも断りました。元平民としてこの学園に入学するリーンベル。彼女には、後ろ盾がいることを明らかにした方がいいでしょう。王子殿下とは、帰宅前に王城に寄り、共に両陛下に入学の報告をする予定です。後日のお詫びのお茶会の予定でも立てましょうか。





「リーンベル。また、ファルシアを独占しているではないか」


「まぁ、殿下! ファルシア様はわたくしのお義姉様ですもの! もちろん独占いたしますわ!」


「ファルシアは、私の婚約者だが?」


「ふふ、喧嘩なさらないで。リーンベル、帰ったらたくさんいじめて差し上げるから覚悟なさって?」


「ひぇ!」


 そう話していると、突然周りが光り……先日の女神様かしら! 慌てて膝をつきます。






「ファルシア! なにやってんのよ! せっかくリーンベルと王子の出合いイベントを! 王子も王子よ! リーンベルの可愛さに感動しなさいよ!」


 突然名指しされた殿下は、困惑した表情を浮かべていらっしゃいます。


「神様……何をお怒りなのでしょうか? 私、きちんと毎日リーンベルをいじめておりますわ! リーンベルの可愛らしさも皆が理解しております!」


 リーンベルが私の言葉で頬を染めます。


「何がいじめているなの! リーンベルに勉強を教えて、くすぐって遊んでいるだけじゃない!!」


「えぇ、くすぐっていじめておりますが……?」


「何が嬉しくてレズプレイ見なきゃいけないのよ!

 いじめるって言うのはね、具体的に言うと◼︎◼︎◼︎◼︎」


「神様……お声が聞こえませんわ……」


「あーもう! 具体的な指示はできないってわけ!? わかった、肉体的にいじめなさいよ!」


「いじめております……くすぐりは肉体的ないじめですわ」


「違うって言うの! 全くもう……。じゃあわかった。精神的ないじめをなさい! わかったわね!?」


「精神的ないじめ……心苦しいですが、神様のご指示ですもの。考えて実行いたしますわ」



 そう答えると光は消えました。殿下が慌てた様子で神殿に連絡をとってくださいます。


「あれは……邪神ではないだろうか?」


「神様でいらっしゃるのは間違いないようですわ。名乗られましたから。そこの判断は神殿に従うまで。私は、ただ神の言葉に従いますわ。精神的ないじめ……リーンベル、お覚悟なさって?」


 涙目でうるうるとこちらを見るリーンベル。心苦しいですが、私、あくやくれいじょうとやらになってみせますわ!

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