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doll story  作者: 千裕
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財団の企み

幼いオリビアの願いは、結局のところ小さな小さな祈りでしかなく、叶う事は難しかった。もし、バネッサ婆さんが以前に人形達を軍隊として派遣したことがあったとしても、今やお婆さんにその力はなかった。何十年間かけて、ようやく取り戻した魔法の力はお人形二体を約一ヶ月間動かすので精一杯で、決して徴兵をまかなえるほどの兵士を作り出すのは無理だった。ネアルの町の位置するアルイディ王国は百年以上平和と均衡を守ってきた国であったが、数年前に急激にとある財団が政治的力を強め、長らく廃止されていた徴兵制度の再開と、更なる国の経済発展を声高々に掲げるようになった。まず、開始されたのが義務教育に上がる少年の武道訓練の為の招集。次に、決まった統治者を持たず、様々な民族が闘争を絶やさないイェルオ国との私的貿易。表面上は工芸品などの産業復興の為の貿易であったが、国内に最新型の武具が普及していく事実は、貿易の真の目的を表していた。そのような国の緊張は次第にネアルの町の大人達の話題の中心になり、特に少年を子供に持つ若い母親達には、胸に不吉な暗い影を落とした。ハンスの母親もその例外無き一人であり、ハンスの身を想うと胸が締め付けられ、時に涙すら自然と溢れてくるのであった。

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