お誕生日の贈り物
この日集まったのは10人ほどの子供達、皆ネアルの町の子達でハンスやオリビアと普段から遊んでいる子達であった。町の子供達は楽しい遊びを沢山知っていて、皆口々に世間知らずなシャルルに教えてくれた。ハンスの母親が用意した、素晴らしいご馳走を皆で食べ、オリビアには両親からの大きなプレゼントの包みが贈られた。
「何だろう?」
「開けてみてよ!」
子供達は沸き立った。オリビアがもどかしそうにリボンをほどき、包み紙をむしり、箱の蓋を開けると…
そこには赤毛の巻き毛のお人形が横たわっていた。
「うわぁ、可愛い!」
一つ結びの少女がオリビアより先に歓声をあげた。
「これ、おもちゃ屋さんでウィンドウに並んでいた一番新しいお人形よ!オリビア、良かったじゃない!」
「素敵ねぇ!これで、一緒にお人形遊びができるわねぇ、オリビア。」
女の子達が口々にプレゼントを褒めたたえた。
「ねぇ、オリビア、お人形の名前は何にするの?もう決めてあるって言ってなかった?」
「そうなの?教えてったら!」
少女達のお人形話は白熱していくばかり。そんな様子をハンスや他の少年達は呆れながらも楽しそうに見ていた。オリビアはくるりと辺りを見回すと、少し俯き恥ずかしそうに小さな声で言った。
「…シャルル、にする。」
一瞬辺りは静まり返り、皆きょとんとオリビアを見つめた。そして、次に、同じようにぽかんと突っ立っているシャルルに視線を移した。
「いいかな?シャルルお姉ちゃん…?」
オリビアは恐る恐る上目遣いでシャルルの方を見やった。シャルルははっと気づき、こくこくと頷いた。
「も、もちろん!…ちょっと恥ずかしいけれど。」
シャルルが快諾したのを見て、オリビアはほっとしたように赤毛のお人形を抱きしめ、見つめた。
「よろしくね、シャルル。今日からあなたは私の親友よ。」