表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★SAVER  作者: 佐伯理太
7/12

#3話 「知られざる真相」3

お爺ちゃんは軽くため息をついて、物思いに耽るような様子で

再び永い沈黙の中に身を委ねていった。気付けば意識は現実へ

と戻り、扉を守っていた黒ずくめの男は姿を消していた。横で

はすっかり視界を取り戻したなつきが〈さあ、行きましよう。

〉と云う眼で僕を見つめている。僕はひと息ついて覚悟を決め

ると、全ての真理が待つ場所へ続く扉に手をかけた。ドアノブ

を廻すと、ガシャン―――。という音が響き渡り次の瞬間、 外

からの風圧で勢いよく扉が弾き飛ばされた。


★丑寅マモル…セイバー協会総司令官を務め、幼き日のなつき

とリタにセイバーへの道を示した張本人。謎の多い人物で親族

であるなつきでさえ名前と役職以外の情報は機密にされている。


★志賀なつき(慧眼のなつき)…10才の頃国家の命運を分ける

重大な責務を負わされた少女。信頼できるパートナー・リタと

共にまだ見ぬ世界への扉を開き始める。


★外川リタ(緘黙のリタ)…10年前の大地震で母親を失い、マ

モルの影響を受けてセイバーになることを決意した少年。垢抜

けないながらもなつきの助言に支えられ、確かな足取りで歩み

続けている。




 ブワァァァ…扉が壊れ、向こう側の景色が見えた瞬間やわ

らかな大気が押し寄せて来た。それはとても穏やかで母親の胎

盤の中に居るような心地良い風だった。

 その空間はゆるやかに広がっていき気が付けば視界全体を埋

め尽くしていた。2人はただぼんやりと宇宙の暗闇を漂い、身

を委ねるしかなかった。


+【裏のうら】

 暗闇に漂う2人の目の前に小さな衛星が現れ、次第にその

姿は肥大化していった。2人はそれに吸い寄せられ自然と足か

ら着地した。スタッ・・・・・。目の前には大きな青い惑星が

佇んでいる。「綺麗ね――――。」なつきが思わずそう咳くと、

青く澄んだその惑星の一部から爆炎が広がり、ドドドド.....

と音を立てて崩壊していく様がうかがえた。煮えたぎるマグマ

に全体を覆われたその”星”はまるで未来の地球の姿を表して

いるようだった。メラメラと焼かれていく様子がなつきの瞳に

反射され2人は言葉を失って呆然と立ち尽くすしかなかった。

「 酷いサマでしょう 」背後から声が聴こえ2人が振り返ると、

仮面をかぶった男が立っていた。「これが地球の辿る末路です

よ。」澄み切った少年の声が2人の耳に届き、リタにはその声

がなつきに向けられたものだと解った。男は仮面にそっと手を

かけそれを上にずらした。そうして顕わになった少年の素顔は

まるで夏祭りのお面をかぶった子供のように生き生きと輝いて

いた。

なつきはきょとんとした眼でじっとそれを眺めていた――――

―――――。「久しぶりだね、なつきちゃん。」仮面を外した

少年は眼を細くしてかすかな笑みを浮かべると、「 君をずっ

と待っていたよ 」と生き別れの娘との再会を喜ぶような台詞

を続けた。

「伯父さん・・・・・・。」そう呟いたなつきの瞳から大粒の

涙が零れ落ちた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ