美愛
空を見て、立ちはだかるような積乱雲が、広大な蒼空に映える。
海を見て、夕日の沈む世界の端が、とてつもなく儚く見える。
都会の喧騒の中に浮かぶ、臆病な満月は、私の心をつかんで離さない。
冬の少し終わりごろ、やっと目を覚ました天道様の光が、本当に心地いい。
桜舞い踊るころ、河川敷に腰掛ける男女の、純粋な微笑が、何よりも尊い。
覆いかぶさるようなじれったさに、思わず飛び込んだ、きらめく流水。
りんごが食べたくなるような、君のその頬が見えるとき。
私はそれを芸術と思う。
私はそれを心だと思う。
美しく、儚くて、時に崩れそうなそんな光景を
目に焼き付けて思い出すその時間を
私はそれを愛情と呼ぶ。




