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男爵家令嬢は苦労人のSランク冒険者です。  作者: 凪月美和
第一章 Eランクになるまで、竜の血晶。
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お父様説得会議第2回 ‐ 後編

「だから言ったでしょう、名乗りたくないと。この場が不公平になるのは良くないかと思いましたの」


と、いうわけで。うちの母はイレネさんを名乗らせてしまいました。イレネさん、ご無礼申し訳ございません.......


他のメンバーならまだしも、イレネさんだけは名乗らせたくなかった。

何故か?それは、彼女が貴族だからだ。

しかも、うちより身分が高い伯爵家の令嬢。

つまり、うちの一家は表面上はイレネさんに無礼を働けない。

それは、この話し合いが対等なものではなくなるという事であり、本当の意味で親を説得することが難しくなるという事でもある。


謝ることより、恐怖が先に来たんだろう。家中の人が顔面蒼白になった。

あれ、そういえば私、イレネさんが身分高いって分かってて普通に接してたような気が―――――

考えるのはよそう。


「イレネさん、退出します?」


居心地が悪いと思ったりしてないだろうか。


「いえ、どうせ私があなた側に付くことはバレているのよ。

ここに居るだけで威圧感が増すのだろうけど、、、自業自得よ」


「.....ごもっとも」


まあ、イレネさんがいいならいいですよね。


「話が逸れました。続けましょう」


「そうだったわ。ステラの御母様」

「はっ、はいぃ!」

「私は、親から独立するために姉から家を追い出されたの」


彼女は、親の溺愛が原因でダメ令嬢になりかけていたのだとか。そこで、お姉さんが家を追い出し、イレネさんをちゃんとした人間にしようとしたそうだ。


「でも、今はそれで良かったと思っているわ。だって、私は成長したし、仲間もできたから。姉のおかげで幸せになれたのよ。

分かる?子を育てるのは、アメだけじゃなくてムチも必要なの。

でもステラに対して、誰もそれをしてくれなかった。

だからステラは、自分で自分のムチをしてるの。それがどれだけ大変なことか分かって?」


「ありがとう、イレネさん。次は、カイルさん」


「その、なんだ。まあ、取り敢えず独り立ちするにはム、、」

「ムチよ」

「そう、ムチが必要だって事―――」

「カイル、敬語」

「―――だぜでございます。」


失礼だが、ちょっとこれ以上は心配である。話の方向と人を変えよう。


「次、マフカさん。冒険者視点で何故護衛を外してほしいのかをどうぞ」


「うん。それでですね、冒険者になる者は誰だって怪我することを覚悟してやってる人達ばかりです。そこにステラが護衛を連れてきたら、確実に馬鹿にされますし、連中になめられます。

それに、冒険者はパーティーを組んで互いを助け合う事ができますから、護衛はいなくてもいいです。むしろ、戦闘の邪魔になるのでいないほうがいい」


全くもってそのとおりである。


「正論ありがとう。じゃあ、次はマイ。貴族に分かりやすいように、冒険者視点の話をして」


「はい。では、旦那様。

まず1つ目に、兵士が連携を取るように、冒険者はパーティーを組んで戦います。そこに無駄な人はいりません。4,5人で戦うような依頼ばかりの冒険者ギルドでは、護衛たちは邪魔です。


2つ目に、レベルの離れすぎた者たちを同じパーティーに入れると危険性がかえっ

て増します。レベルの強いものに弱いものはついて行けませんから。


3つ目に、新入りは失敗をたくさんするものです。それはあなたもよく分かるでしょう。失敗は成長において必須です。

どうあっても、ステラ様があなた達の優秀で慕われる賢いステラ様で居続けるためには傷つかなくてはなりません。失敗が一番大きな成長なのですから。


そして最後にですね、ステラ様を守りたいというのは、旦那様たちの望みであって、ステラ様の望みではありません。

ステラ様も人なのですから、意見を尊重してあげてください。これは最優先事項です」


心のなかで拍手。まさに「言いたいこと全部言ってくれた!」という感じである。


「じゃあ、レンの意見―――いや、私で締めるか」


「お嬢、除け者にしないでぇー」


「あんたじゃ不安要素多すぎんのよ」


それにこの辺で締めて説得しないと、まとまりがなくなる。話の落とし所が増えてしまって、言い負かされるかもしれない。


「なので、私が締めます。


お母様。心配してくれるのは嬉しいですが、必要以上に心配されるとそれは無駄なお節介や鬱陶しさに変わります。ですので、心配する頻度を減らしてください。


お兄様。余計な口出しをしないでください、私は、もう仕事につく時期です。いつまでも箱入り娘ではいられません。


お姉様。私は、貴族女性らしくないかもしれません。お姉様と趣味が合わないかもしれません。でも、それぞれの好みなので、仕方ないでしょう。私はお姉様が好きですがお姉様の趣味を私の趣味とすることはできません。


最後に、お父様。ここにいる皆の言った通りなんです。今私はアメよりムチが必要ですし、ギルドでは護衛が邪魔になりますし、失敗は成長ですし、守られることは私の望みではありません。以上のことを踏まえた上で護衛をつけるかつけないかを再検討してください。お願いです。明日までにに考えてください」


一通り意見を言い終えたあと、私は速やかに食堂を去った。時間をあげると見せかけて、、、実は殆ど無い。明日までというのは、長いようで案外短い。頭が冷えるのと、朝食になるのどちらが早いか?といったところである。決断を迫られた状態なので、少しこっち側に傾いていれば大丈夫だろう。勝てる。


「ステラ様」

「はい」

マイが、声をかけてきた。


「あの、お酒とか食べ物って必要あったんでしょうか?正論押し通すだけで終わったじゃないですか」


そうなのだ。あれ、いらなかったんじゃないか?と私も思っていたところである。

「........でも、あれは保険ということで」


「お酒取りに行った私の身にもなってみなさいよ」

「ゴメンナサイ」


保険とか言ったら、鬼の形相でイレネさんが怒りました。ごめんなさい。


「あの、お酒は、買い取りますから」

「あんた、払えるの?」

「いえ、ローン制で」

「しょうがないわね」


ローン制でお酒のお金返していく事になった。

冒険者初めて早々借金抱えてるって、どうよ?

後で、お父様に請求しとこうかな。彼は何も悪くないけど。


◇◇◇


翌朝、お父様から護衛を外すことについて了承を得た。


勢いで、説得しました。親バカ問題、ひとまず解消ですね。


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