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第2話 グールが襲ってきたよ。

 あー、なんか腐った匂いがしてきた…

 間違いない、腐った系の何かが来る…

 倒すのは簡単だけど、バッチいやつ…

 倒すのが簡単だけど、触るとあかんやつが来た!


「おい、鈴子!人が来たからシャワー浴びて服着てくるぞ!せっかくのプライベートビーチが!」


 裕子はその辺に脱ぎ捨てていた服を拾い上げると誰もいない少し離れた海の家に走っていった。


「お前おかしいぞ!どう考えてもあれ敵だろ!人間じゃないし!人間あんな匂いしないし!人間!ふらついて歩いてねえし!」


 私はそう叫んだんだけど、裕子は全く聞いてもいなかった。


 裕子が飛び込んだ海の家からバキバキと破壊音がする。

 裕子がなんか叫んでるんだけど、あいつはすぐに力任せに物事を解決しようとするからな…

 あと色々無頓着。

 思い込みも激しい。

 自分勝手。

 だからキレイな割にもてないんだよ。

 男が離れてく。


 とはいえだ、裕子がいないとグール退治もリスクが生じる。

 あのくらいであれば私1人でも余裕をもって倒せるけど、そういった油断が命取りなのだ。

 グール1体ごとき、男性の大人ならバット一本で十分倒せる。

 だがゲームじゃないから1度死んだら2度と生き返らない。

 病気になれば苦しいし、怪我をすればしばらく戦闘不能だ。

 それに敵を倒さなければお金が手に入らない。

 お金が手に入らなければ生活もできない。

 お金は生きるのに絶対に必要なもの。

 絶対に必要なものはいちいちギャンブルのような賭けに出ず、安全安心な方法でゆるめに手に入れていくのが良いに決まっている。


 しかし、のっそりゆらゆらながらも、かなりグールが近づいてきたな…


 私はゆっくりと裕子が入っていった海の家に歩いて行ったんだけど、海の家の中は裕子が暴れたせいかかなり破壊されていた。

 転んだのか邪魔ななものにぶつかったのか、それとも鍵でもかかっていたのか…

 まあ裕子が破壊したものを弁償していたらキリがないから、ここも早めに逃げださないとな。


 するとシャワーを浴びたのかさっぱりした顔で裕子が奥から出てきた。


「鈴子!お湯が出ないぞ!シャンプーとかも貸してもらったししかたないな!」


 勝手に売り物のシャンプーとかを使ったのだろう。

 裕子は満足そうに笑っていた。


「そのシャンプーとかちゃんとカバンに入れておくんだぞ。おい!それより敵だ!グールっぽいのが来たぞ!グールっぽいのが!」


「ああっ!鈴子、そんなの私がシャワー浴びてる間に倒せばいいだろ?」


「駄目だ。ちゃんと陣形組んでリスク回避しないと死ぬかもしれないだろ?戦いは陣形で決まると言っても過言ではない」


「何が陣形だよ!2人だろ!2人しかいないのに陣形も何もないだろ!」


 裕子は私を馬鹿にしたようにそう言うけど、2人で出鱈目に突っ込むのと陣形を組み戦略を立てるのでは雲泥の差がある。

 そもそもリアルな戦闘では味方に誤射してしまう時もある。

 大打撃を与える魔法攻撃も味方も敵も殺してしまうようではいけない。

 

「いいか、裕子、いつも通りだ。変身するのは今回は止めておこう。あれはいざという時に使うものだ。我々は遊び過ぎて金を使い過ぎた。グールは雑魚敵の中でもお金を比較的落してくれる。無傷で今日の宿代を稼ぐんだ」


 私の言葉を聞いているのか、聞いていないのか、裕子は笑っていた。

 裕子は私の話をちゃんと聞いたとしても半分も理解できないかもしれない。

 しかし今までの数えきれない戦いの中で、裕子は私の考えが徐々にわかってきたようだ。

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