赤子は魔法?を手に入れた
タグにも書きましたが、少しだけ暴力表現が存在します。
微量でもダメと言う、本気で苦手な方はご注意を。
産まれる瞬間から、自我があるってのはツラいね。
どうも。前世の記憶を持ち、こうやって自我を持ったまま転生した赤ん坊です。
母乳を貰う際に、今世の母から「夫みたいな助平視線を感じる」とか言われて、警戒されたのが半トラウマです。
転生先は異世界じゃなく、日本。気が付いたら普通の転生。
神様的なのに、あれこれ説明されるフェイズは無しで。
前世の死因ですか?トラックだと思う?
そんなチャチなモンじゃないよ?
きっかけはどっかの国が撃ち込んだ、飛翔体の着弾警報。
しかもその飛翔体は戦術兵器じゃなくて、戦略兵器だとさ。
つまり、核シェルターが無ければ逃げられぬ。
最悪なことに、着弾予想時間までに、核シェルターまで逃げられる時間的余裕は全く無い。
言い切ってしまえば、死の宣告。
それを受けた人々が狂乱して、街中にて悪い形でのお祭り騒ぎ。
丁度買い物の為に外を歩いていた時で、コイツらに関わりたくねーなーとかドン引きして、遠巻きに眺めていたのが運の尽き。
「お前、なにイイコチャンぶってんだよ!」とばかりに暴徒から集られて、あれよあれよとフルボッコ。
次第に全身の感覚が亡くなっていって、その後意識がはっきり覚醒したと思ったら、死ぬ前と変わらない日本。
死ぬ前まで住んでいた所とは、少し離れた町で産まれた赤ちゃんでしたってな。
それからおよそ1年。生後1年で行われる予防接種では恥を晒したが、それを除けばのんびり赤ちゃんプレイを継続中。
成長した体ならばなんともなかった予防接種の注射針だが、赤ん坊にはメチャクチャに恐くて痛くて大暴れしたのは黒歴史。
絶対にコレは、親戚の集まりとかで一生のネタにされる……と注射後に凹んだ。
この間にあった大きい事は2つ。
ひとつは産まれた直後から、色とりどりのケサランパサラン(空中を泳ぐ毛玉みたいなの)がやたらと絡んでくる事。
……カビにしか見えないが、匂いがしないからカビではないと判断した。
オレ以外には見えてない様で、かなり鬱陶しい。
大群でワサワサやって来ては、フサフサまとわりついてきて、満足すると大半がどっかへ行く。訳分からん。
もしかしたら、その内「かもすぞ~」とか言われたりしてな~とか、馬鹿な事ばかり考えてしまう。
2つ目だが、今世でもヤツはやって来た。
そう、前世の間接的な死因たる飛翔体。その偉容は全く同じ。
っつーか、これ発射直前に転生させられたって事になる。
もちろん報道を知ってからでは、逃げられない影響範囲内だった。
それでつい思ったのは、前世のオレは存在するのか?魂とか因果とか、どうなってんだこれ?
である。
出産した病院から自宅へ連れ帰られた直後。
あらゆるメディアで警報やら中継やらが行われ、その報道を見てしまった母に「こんなタイミングで産んじゃってごめんね、生きさせてあげられなくてごめんね」と泣いて謝られながら抱き締められた。
オレだって死にたくない。
前述の思考を強引に切り捨てて、報道される情報を眺めながら、飛翔体が発射した所に帰っていけば良いのに。
と考えていたら、まとわりついていたケサランパサランが、一斉に窓から飛び立った。
しばらく後、緊急情報として飛翔体は発射地点に逆戻りして着弾。とか言う頭のおかしい報道がなされた。
ここでタイトルである。
あのケサランパサランは、魔力?精霊?そんな物みたいだと見当を付けて、検討したら正解(だと思う)だった訳だ。
よって結論!
魔法は実在したんだよ!
な……なんだってーー!?
ってなモンで、親の目を盗んで魔法使いライフを満喫中。
……30歳にならなくても、魔法使いになれるんだね。またひとつ賢くなったよ。
ああ、そうそう。オレってばあまり手のかからないイイコチャンだからさ、育児疲れが無くて生活の負担が軽いみたいでさ。
よく語り合う両親の間の空気がなんか最近甘くなってきてて、弟妹どっちかがデキるかもな。
1歳の赤ん坊だからって、何も知らないと思うなよ?
最近の食卓、おかずにスタミナ料理が1品必ず交じってるの、知ってんだぞ?
ふたりの絡みあう熱視線で、甘い空気を出すんじゃねーよ。
オレは離乳食で、食べるのは両親だけだからって、露骨すぎるぞ?
はいはいゴチソウサマ。見てるだけでお腹がいっぱいになりますよ、チクショーメ。
前世は冴えないおっさんで、片思いだけでまともな恋愛経験すらない、魔法を使えない魔法使いだったけど、妬ましくないもんねー。
全然羨ましくないもんねーだ。むしろ超常の力を使える魔法使いに産んでくれてどーもねーってモンだ。
両親とも中の上~上の下位の容姿で、将来オレも美形かな~?
そしたら今世こそ、オレは色の着いた青春を送れるのかな~?
とか考えていませんよーだ!
だから、夜に悩ましい物音が響いてきても、血涙なんて流してませんよーだ!!ふんっ!!
閑話休題。
子供部屋のベビーベッドの上で、今日も今日とて魔法?の研究。
呪文はいらない。ケサランパサランにアレしてコレしてと、考えておねだりすると、その通りにしてくれる。
より具体的におねだりできれば、効果がよりハッキリする研究結果がでた。
エアコンは再現できた。電気分解で空気清浄みたいなのも再現できる。
部屋の埃なんて風でまとめて、ゴミ箱へポン。の掃除機要らず。
結界を張る魔法で無菌室状態まで作り出せるが、体の病気への抵抗力が心配になるからしない。
水を生み出してみた時は感動したし、物にぶつかって痛かったのは回復魔法ですぐ治せた。
そこらの充電式家電へは適量の電力を注ぎ続ければ、充電出来ると言うモバイルバッテリー不要生活。
なにか魔法?を使う度に、派手に発光するケサランパサランが気になるが、そう言うものとして受け入れた。
今度はどんな実験・検証をしようかとワクワクしながら考えていたら、オレのドキドキ魔法使いライフが一時的にでも中断される出来事に遭遇する。
「琴嶺ちゃーん、そろそろお昼寝は終わりまち…………浮いてるぅぅぅぅぅぅっ!!!」
作者はどうにも飛翔体、と言う単語が好き。
解りやすい脅威であり、音の響きや絶妙な遠回り表現から気の抜ける印象もありで、妙に可愛く思える。
この話の続きは有りません。
どう進めるか、まとめるかが浮かんでこないので。
超能力バトル?作者の筆力を舐めるな。書けないよ、そんなの。
ほのぼの日常系?そっちはネタが持たない、キャラも把握しきれないし、書き分けられる数も知れてる。
学園物?いやいや、文庫一冊文のネタも出せない上に、書き続ける気力すら保てないクソ雑魚作者な自分には無茶っすよ。