閑話 プロポーズのそのあとで…
第20部の後のお話しです…文字数はそんなに多くはありません。
ウィリアが眠りについたのを見届け、全てを忘れ眠りにつきたい気分だった…。だが、ここで行かなければ確実に、ここまでジオールが乗り込んでくるはずだ…そうなればウィリアの眠りを妨げてしまう事になる…
仕方なく、塒の外へ向かうと。仁王立ちのジオールが立っていた。
「良く、逃げずに来られましたな…その点は賞賛にあたいしますのぅ…」
そう言うと、ニヒルな笑いを浮かべ、私へと近づいてきた。そのままジオールに首根っこを掴まれる形で、私は…塒の広場に連れてこられた…別に悪い事をしたつもりはないのだがお爺ちゃんは気に入らなかったらしい…
周りの竜達は何事かと集まっている。そんな中、ベルンが声を張り事情を説明している……欝だ……
説明を聞いていた竜達は、面白そうだと我も我もと参加を希望した…。
ぇ…私嫌われてるの?といいたくなるほど多いのは、竜種の趣味といっても過言ではない力比べに興じたいからだと分っていても、へこむ…
鬱々とした気分を、大きな溜息で吐き出すと決闘の為、竜神アルバス様に頂いた、首輪をはずし竜体へと戻った。久しぶりの竜体に、違和感はなかった。ウィリアを水浴びさせたあの日から、私は食事以外は基本人化していた。
私と同じように、竜体に戻ったジオールの私を見る目が非常に…気マズイ…
「シュベル様…わしの可愛い孫娘に手を出した事…このジオール…感化する事はできませんのぅ…」
お前はいつから、人族の孫娘をもったのだ!と言いたいが我慢する…
「手などだしておらんだろうが!」
「あれだけの、口付けをかましておいて!!!!何をいっておるのじゃ!」
「いやいや…あれだけの口付けって…別に口と口でしたわけでは無いだろう?!」
「口と口でなくとも、まだ幼いあの子に口付けしたのは間違いないではないのじゃ!」
「…はぁ…どうあっても決闘は避けられないのだな…」
ジオールは何も言わず、キッと牙を見せ臨戦態勢へと入った。話し合いは終わりと言う事らしい…。
シュベルも仕方なく、空中へと飛び戦う体制をとる。
2人の様子を伺い、レフリーについたのはベルンだった…。
「それでは、お2人共よろしいか?!」
そう聞いてきた、私もジオールも頷き、静かにその時を待った。
「それでは…はじっ「皆どこにいるの…?置いて行かないで…うっううう」
後一文字と言うところで、ウィリアの悲痛な泣き声が聞こえた…。
私は、竜体のままウィリアの近くへと舞い降りた。髪が風に煽られその、泣き顔を月夜が照らしていた。
私の姿を確認すると、両手を顔に何度も繰り返し擦りつける…仕草を見せた。
余程急いだのか、裸足に寝間着のままの姿だった。
「どうした?何か恐ろしい夢でもみたのか?」
ウィリアの顔の近くに、首を伸ばし顔を寄せる
「あ…のね…ヒック…目……おきたら…ウッウ…だれもいなっ…ウッ」
先程よりは落ち着いたらしいく、答えようとしてくれている。ひとまず、魔法:擬人化を使い人化するとウィリアを抱き上げ、落ち着くように優しく背中をポンポン叩く。
先程まで、力試しで盛り上がっていた竜達も、ウィリアの好きそうな物を各々持って、近くでオロオロとしている。ジオールも心配だったのか、側に来ていた。
「ウィリア…大丈夫…何にも怖くないぞ…」
そう言って、顔を覗くと泣き疲れたのか、うとうとしていた。
「側に居るから、ゆっくり寝なさい…おやすみ…ウィリア」
その声に安心したように、私の肩に頭を預けウィリアは眠りについた。
周りの竜達も、眠りに付いたウィリアを起さないよう、解散となった。残ったのはウィリアを抱いた私とジールだけだった。
「ウィリア様に助けられたのぅ…」
ふっっと笑って、ジオールが言う。そんなジオールに私は
「そうか?ウィリアには、誰も勝てない…だろう?」
と返し、互いを見て笑ったのだった。




