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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-212 違和感22







「これ……は?」




テーブルの上に広げた紙を眺めながら、ステイビルは目を凝らす。

紐から一枚の紙でできていたことに、何か意味があるのだろう。

水に漬けたり火にあぶったりなどはよくある仕掛けだが、この紙の薄さではどちらも耐えられそうにない。



ステイビルは、この薄い紙に隠されているであろう秘密に再び頭を抱えこむ。


そのタイミングで思考に疲れた頭の中に、ある人物の影がふっと頭を過る。



「……ハルナ」




ステイビルは、伴侶となる女性の名を呼ぶ。

王選という長い期間、常に行動を共にした仲間……あの頃からハルナのことは気になっていたが、旅の途中で空気が悪くなることを恐れ、その気持ちを自分の中で押し殺していた。


その旅も終わり、ステイビルは正式にハルナを王宮に迎え入れることが決定した。

いまハルナは婚姻の儀式の日まで、別々に暮らしている。

マーホンやハイレインに預けられ、王宮での作法や容姿を教え込まされていた。



時々……そう、たまにではあるが、傍にいて欲しい時がある。

今まさに、ステイビルはハルナが傍にいて欲しいと願った。



その時……




――ふぅっ



何もない部屋の中に風が流れ、テーブルの上に置いていた紙が風に乗って舞っていった。




「――!?」




近くにはまだ火の灯ったロウソクがあり、グラスの近くには水滴でできた水溜まりもある。

この紙の意味が分からないまま、無駄にしてしまうわけにはいかなかった。



ステイビルは慌てて舞った紙を掴もうとする……しかし、強く握ってしまえば破れてしまうこともあるため、素早く慎重に紙をこの手の中に収めようとした。



なぜか紙は掴もうとすると、ステイビルと遊んでいるかのようにすっとその身を避けて逃げる。




「……っ!……よ!……あぶ!?」




紙はステイビルに行ってほしくない方向ばかりに移動するため、手で風を起こしその方向に行かないように仕向ける。



「よし!」



ようやくステイビルは、格闘の末に紙を無事に摘まむことができた。



「……?」




その動作の中で、ステイビルは何か視界の端に引っ掛かるものを見た。

ステイビルはその時と同じ状況にするため、紙の背後に明かりがくるように位置する。


しかし、紙には何の反応も見えない。これは、先ほどと試した同じ結果だった。

そこでステイビルは、紙の位置はそのままにして自分の身体を避けてみせた。


振り返り壁を見ると、壁に写った紙の影にうっすらと記号のような者が見えた。

薄い紙ではあるが、紙の厚さがさらに薄い場所があり、それが記号になって見えていた。


「こ……これは!?」




ステイビルには、この記号に見覚えがあった、

これはエルフが使っていた文字であり、ステイビルはナルメルと一緒に王国の文字とエルフの文字の対応表作っていたときによく見た文字だった。



ステイビルはこの壁に写った文字を紙に書きとめ、ナルメルと作った対応表と照らし合わせた。



「……か……て……お……に……まさか!?」



そこに記されていた文字は「カステオ  ニーナ」と書かれてあった。













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