6-190 めざめ
「……ナ……ま……あの……ハルナ様!?」
「――あ!?寝てました!!ご、ごめんなさい!!!」
ハルナは慌てて、横になっていたベットから身体を起こした。
一体、いつのまに眠ってしまったのか?
しかし、ベットに横になっていた記憶はまるでない。
自然にベットに向かっていったのだろうか……しかも、みたことのない寝巻きに着替えてまで。
自分のおとぼけ具合いと、几帳面さの反比例に呆れて何も言えない。
だが、そんなことに恥ずかしがっている暇などない。
自分のせいで起きてしまった出来事に対して、責任をとらなければならない。
「すぐ行きます!あの、メイヤさんやエレーナさんたちはもう……」
「何をおっしゃってるんですか?メイヤはここにはいませんし、エレーナ様は近くの施設にお泊りですよ?」
「……え?」
近くにいて世話をしてくれている者は聞き覚えのあるが、ハルナはすぐには名前が思い出せない。
親しいようだが、この世界では自分たちのことを知る者などいないはず。
フラフラと揺れる頭の中で、声を掛けてくれているメイドの顔をはっきりと見た。
「本当にどうされたのですか?ハルナ様、昨夜はそんなにもお飲みになられていなかったはずですが?確かに連日度重なる式のためお疲れなのはわかりますが……」
「え?式……?なんのことですか?」
「もう……一体どうしたんですか?急に物忘れがひどくなった人見たいですよ?それに、なんか他人行儀みたいですし、もしかして私のことも忘れてしまったのではないですか?」
そう言ってソフィーネは、寝とぼけているのか本当に忘れているのかわからないハルナの対応に対して、おふざけ半分、憤り半分の声でそう告げる。
ハルナは久々に見るソフィーネの顔を見て、一瞬でその名前が出てこなかったことに自分自身に苛立ちを感じる。そう、この女性は一緒に旅をして、何度もハルナやステイビルを助けてくれた女性だった。
そんな様子を見てソフィーネは、ハルナにニコっと笑いかけ背中に薄い布をかけて身体を冷やさないように気遣う。
「まだ夢の中から戻ってこられていないみたいですね?温かいお湯をご用意しましょうか?それで身体をと頭の中をさっぱりとさせてはいかがでしょうか?」
そういえば、ハルナは久しくお風呂に入っていないことに気付く。
四つの元素を使えば、入浴のための手配など簡単に行えたはず。
だが、そんな余裕がなかったのも事実で、今はそんなときではないと口にしようとしたその時……
「おはよう、ハルナ!!……っていつまでもだめね、友達感覚じゃ。おはようございます王女様」
そう言ってこの場に現れたエレーナが、スカートを両手で摘みあげて軽く膝と腰を下ろして簡単な挨拶をいてみせた。
「あ……エレーナ」
「どうしました?……って、誰もいないからいいわよね?ね、ソフィーネ?」
ソフィーネはエレーナの言葉に、頷いて問題ないことを示した。
「っていうか、ハルナどうしたの?なんか昨日までと感じが違うけど……それに何その驚いた顔?私の顔に何か付いてる?」




