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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-139 侵略6








ステイビルは、目の前に立つ男とその装備などから見てそう判断した。

そして迷わずに危険なことも承知で、力強く決意を込めた足取りで前に進んでいく。

そして、目的の男の前に普通の会話ができる距離まで近づいて止まった。




「……お前がこの場の指揮官か?」




「はっ!……はい!……い、いや!?そ、そうだ。私がこの場を預かっているものだ!」




声を掛けられた男は、後ろにいる存在の他に声をかけた者が誰だか判ったうえで返事を返した。

だからこそ、本来は敬意をもって接するべき相手なのだが、今は”敵”であり今回の討伐の最終目標でもある人物であると思い直し、接する態度も改めた。



ステイビルはその返事を聞き、その後ろには自分が今一番会話をしたいと思う相手がいることを確認した。




「……もしかして、ここにキャスメルが来ているのか?」



「……」




男はその問いに対して何も答えない……その答えの先にどのような行動が待っているか予測が付かなかったためだった。

最悪の場合、その場所を不思議な力で襲撃され、自国の王を守ることができない可能性もある。


しかし、相手の心情をも読み取るステイビルにとっては、その沈黙こそが答えとなっていた。




「……そうか、できれば”国王”との取次ぎをお願いしたい」



「そ……それはできない!お、お前を王の前に連れていくときは、お前たちが我々に降伏した時だけだ!!」




「我々は降伏はしない……だが、無意味に王国に危害を加えることもしないとも約束しよう。私はこの村を特別区として独自の主権と亜人の権利を認めて欲しいと考えている」



男は黙ったまま、ステイビルの言葉の続きを待った。



「ここの村では、対立していた亜人と人間が共存できる社会を構築していく。それは、亜人と人間が争うことなく、協力し合えるということを証明するために……だ。その結果として、王国に貢献できるならば、そういう関係を構築したいと考えている。もう一度言うが、我々は好んで王国と争うつもりはない」



その言葉に、男の感情に波が立つ。

ステイビルの告げた言葉は理想や何かの罠かもしれない……それでも、ステイビルが告げている内容が実現できれば、自分の喉の奥に詰まっているモノも取れるのではないかという思いもある。


だが、この場でそのことを口にしてしまえば、キャスメルからはきっと反逆者として扱われるだろう。



「それは……いや!?騙されないぞ!!……そ、そうだ!!お前は王戦に敗れ、今では一般人となった!だがお前は国王の座を諦めきれずに、お前はその村を中心に王国を侵略していくつもりなんだろう!!どうやったのかは知らないが、水の大竜神を味方に付け亜人を使役し、戦力として扱おうとしているのだ!!」



男は、今考えられることで最悪な状況を推測しステイビルに反論した。

それはステイビルを信じそうになって自分自身への反論でもあった。


その返答はステイビルからではない、他のものから聞かされることになった。






『いまこの者……ステイビルが言ったことは、この私、”風の大精霊ラファエル”の名において保証しましょう』









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