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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-127 ひとりごと









この場をステイビルに任せた理由は、サヤはこういうことが苦手だった。

自分のことで自身が判断して良いことや、自分の命が狙ってる状況でその相手を完全に滅してしまってもよいというのであれば決断は楽だった。



今回は、自分自身の身には然程の影響はない。

サヤとしては、このまま逃がしてしまっても危険は感じていない程だった。


しかし、今回はこれからの王国に関係することのため、ソイをこのまま逃がしてしまえばルーシーやステイビルに問題が生じると考えた。


それは良くないということと、この責任をステイビルに押し付けるためにサヤは今回の尋問をステイビルに”お願い”をした。

そんなサヤの思いとは裏腹に、ステイビルはこの場を任されたことと、自分の判断力をサヤから試されていると勘違いしていた。

ステイビルはその”命令”を拝承したとサヤに告げ、今回のソイへの尋問に力を注いでいた。








「さて……ソイ。まずは何か言いたいことはあるか?」



「……」




ステイビルの問い掛けに対して、ソイは何も答える様子を見せない。

その無言にある裏の状況を考慮しながら、ステイビルは次の質問を用意する。




「なぜお前は……このようなことをする?キャスメルの命令か?」



ソイはその問い掛けに対しても、何の反応を見せずにただ目隠しをされた闇だけを直視している。






「ソイ…・・・お前は、私の味方だと言ってくれたな……あの時は私もあの時は王選に敗れ、仲間とも引き離されていく中で孤独を感じていた……その時に味方になってくれるという言葉、嬉しかったのだが……あの言葉は偽りなのか?」




その言葉にもソイは無言を貫き、身動き一つせずこの場にいた。





「愚か者!何か言ったら……!?」




この場にいたデイムが、ソイの態度を見て声を荒げる。

腰に下げた剣の柄に手をかけてそれを抜こうとしたが、ステイビルは手を向けてデイムの行動を制した。

ソイの態度が問題ないという合図を頷くことによって返し、再びステイビルはソイに対し尋問ではなく語り掛けた。




「ソイ……なぜお前がこのようなことをしているのか聞かせてくれないか?……金か?それとも私に対する恨みか?一体何がお前をそうさせているのか……ぜひそれを聞かせてはくれないか?」



そう告げ終わった後、再び沈黙がこの場に戻ってくる。



ステイビルは知りたかった……なぜこのソイという人物が、ここまでさせなければならなかったかという理由を。





「これは独り言のようなものだが……」





ステイビルはそう前置きをして、ゆっくりと自分のことを語り始めた。



王子だったころ……しかも、今よりもさらに若かった頃、様々な者たちがステイビル”たち”の元に訪れていた。

それは、今後の権力がどちらに傾いていくのかという掛けのために先行投資しているようなものだ。

中にはキャスメルとステイビル、どちらにも良い顔を見せている者も多くはないが少なからずいた。

王子という者はそのような者たちを見極める力が必要であると、父親である王も二人に対しての接触は許していた。

そこで培えるものは、人を見る目とどうすれば自分の理想の国家を築くことができるのかということ。


その反対に、自分の反対勢力の者たちに対する対応の仕方も学ぶことができた。









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