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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-126 委任









「ソイ様……あらかた”証拠”は回収しました」



「ご苦労様です……ではそれを精査して、反逆罪に繋がる根拠を見逃さないようにお願いしますね」



「はっ!畏まりました!!」






警備兵たちが家から様々なものを運び出す姿を見ながら、ソイは次の行動を頭の中に思い描く。



(さて……私は、あの村にでも行ってみましょうか)







エルフからソイの行動を聞いたルーシーの父親は、この男の言葉につられて王都へ戻っていればどうなるかを推測した。

明らかに反逆罪以上の罪を擦り付けられ、ルーシーの立場を悪くする意図が感じ取られた。

自分の愚かさと王国から狙われてしまったという事実から、頭を抱えて絶望するルーシーの父親に対してサヤは声をかけた。





「まぁ……よかったじゃないの。こうして命が助かったんだからさ!」





エルフが後ろに引っ張ってくれなければ、こうして足元に気絶しているソイの位置に転がっていたのは自分だったかもしれない。

折れた鼻の骨がズキズキと痛みを増していく中、それと同時にソイに対する怒りも心の奥から湧き上がってきた。

だが、このソイの生殺与奪の権利は自分にはないことは知っている。

この場でその権利を持つ者は、娘と同世代の声をかけてくれた女性だった。



未だに垂れてくる血で詰まった鼻のため、その感情を抑えるために口から”はぁ……”と深く息を吐きだした。




「ぞ……ぞれで、ごいつをどうずるおづもりでずか?」





鼻が使えない状態で、ルーシーの父親はソイの処遇についてサヤに聞いてみた。




「そうだねぇ……」





サヤは腕を組みながら目を閉じ、その問い掛けに対する答えを考える。




「……この男のことは、ステイビルに任せてみよっか」




水が湧き出るグラキース山への入口にある広場――


ハルナはここで四方向に高い壁を作る……どんなに身体能力の高いものでも、この壁を乗り越えて逃げようとすることは道具を使わない限り容易ではない。


その中には地面に両手両足と目隠しで縛られた状態のソイと、それに対峙するステイビルの姿がある。

それを囲むようにナルメルとイナ、それを守るデイムとソイを追っていたエルフがいた。

ルーシーとその父親、ハルナとサヤも同じくその中にいる。

父親は発言の際に鼻が折れたままでは支障をきたすと言って、サナに命じてヒールにて治癒を行った。

初めて見る魔法の力に、ルーシーとその両親はサヤに何度も感謝の気持ちを告げていた。



壁の外にはモイスとラファエルを柱として、エルフとドワーフたちが周囲の警戒を行っている。

”もうひとり”のキャスメルの力によって繋がっているとして考え、ソイがこうして捕らえられていることを取り戻しに来る可能性に対応するためラファエルとモイスに協力を依頼した。


今回、拘束をしたままと目隠しをして行う尋問は、ナルメルたちが行っている方式を採用した。

魔法を使用するものは、相手の位置を確認をして効果範囲を設定する。

視界を塞げば、そのリスクを下げることもできるため、こういう方法での尋問方法をとるようになっていた。


ステイビルは準備が整い、周囲を見渡す。

この場にいるものたちは、その視線に応じて頷いて問題がないことを返答する。


準備が整ったことを確認したステイビルは、静かに目の前に座る男に問いかけた。




「さて……ソイ。まずは何か言いたいことはあるか?」










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