表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

857/1278

6-84 ルーシー・セイラム5










ルーシーが期待していた通りにはならずに、問い掛けに対しての回答はサヤの口から聞かされることになった。






「あれ?確かモイスがここに来たよね?その時宣戦布告したって聞いたけど……あれ?アンタ、もしかして聞いてない?」





ルーシーはサヤの軽々しくも、馬鹿にしたような発言が腹立たしく感じる。

その話がルーシーに届いていない訳がない、いま王国はそのことでいろんな部門が大変なことになっている。

それは国を運営する側だけではなく……一般国民にも動揺が広がっていた。

国民には無用な心配をかけぬようにと、この情報には箝口令敢が敷かれていた。

だが、どこから情報が漏れたのか、自分や家族の命と資産を守ろうとその情報を得たもの達は王都だけではなくこの国から安全な土地へ移動しようとしている者たちも出てきた。


全員というわけにはいかないが、この国から逃げ出そうとしている者たちは関所でその行動を阻止されていた。





こんな様子で、いまこの情報を知る者で王国はパニックに陥っている。



王国側も、ただ黙って指を咥えて見ているわけではない。

防御の面や交渉のルート、亜人たちの情報を集めることに尽力していた。

その結果、今回ハルナたちが王国に入る際に、本来厳しい審査が比較的スムーズに行われた理由の一つだった。

”貢物”としてのドワーフの捕虜が、グラキース山に生息しているドワーフの群れの長であることが大きかった。


地下牢の中に空いた空間が多かったのは、王国側に忠誠を誓わせて交渉材料や相手の戦力の把握などに利用していた。

もちろん、その見返りも用意して。



だが、有益な情報は得られない……というよりも、モイスに対抗できる術が皆無だった。


あの山のドワーフたちは、モイスを信仰していると聞いていた。

しかもその長を捕まえたとなれば、今まで開けなかった扉を開けることもできると多くの者は期待していた。



だが、ルーシーはそれすらも無意味であると悟った。

そのドワーフたちもこの目の前の者たちが連れてきており、しかもその者たち自身もモイスに匹敵……いや、それ以上の力を持つ可能性が充分にあった。


さらには、この者たちは明確に王国側と敵対すると告げている。

この場で暴れないだけでも、せめてもの救いだとルーシーは自分を慰めた。



(……?)



そうした思考を巡らせる中で、ルーシーはあることに気付いた。

この考えは、戦況を好転させるとか相手を負かそうなどという類のものではない。

純粋に、ルーシーが不思議に思いついたことだった。



それは、なぜここまで手の込んだことをし、”王宮の中に侵入してきたのか”ということだった。



この者たちの力があれば、あのドワーフを生贄にせずともその圧倒的な力で王都の中に入ることもできたはず。

そうすることもしないで、この者たちにしてみれば”小細工”のようなことをしてまで、王都に入り込んだ理由が今のルーシーの中で最大の疑問だった。



ここまで不利な状況の中で、遠慮する必要はないと判断したルーシーは、自分の欲望を満たすためにこの疑問を二人に対して投げかけた。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ