表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

853/1278

6-80 ルーシー・セイラム1










「え?ル……ゴホゴホッ!?」




ハルナはその名を呼ぼうとしたが、この世界では初めて会うため苦し紛れに咳で誤魔化した。



「ミカベリー、一体何をしている?受付はとっくに終わっている時間ではないのか?」




「はい、”あの”者から助けて下さったお方にお礼を伝えていたところです。」



ルーシーは一旦、ハルナとサヤの姿に目をやり、そこからまたミカベリーの方へ視線を戻した。




「あの男は……もう帰ったのか?」




「はい。今回は”ちょっと”した騒動がありまして、そのままお帰りになられたようです」




「そうか……」



そう言ってルーシーは、今度は身体ごと二人の方へ向けて言葉を掛けた。



「この度は、わが部下がお世話になった様で……助かった。お礼を申し上げます」




他人行儀のルーシーの姿を見て、ハルナは少し寂しくなったが、この世界で起きていることを頭の中で繰り返し悲しみの感情を抑え込んだ。


「いや、アタシら大したことしてないし……”勝手”にアイツのアクセサリが壊れただけだからね。その後のことは幸運だったけどさ」



サヤはミカベリーの方へ向かって、ニコッと微笑んでみせた。





「そうでしたか……そう言って頂けると助かります。ですが、何かお礼をしたく思います。ミカベリー、この方たちを私のの部屋へご案内して」




「はい!かしこまりました!!」



ミカベリーは、自分の障害を少しでも助けてくれた恩人をもてなそうとしてくれる上司の命令を嬉しそうに承諾した。







「……それではこちらでお待ちください」




ミカベリーは王宮精霊使いの長が執務をしている部屋に、ハルナとサヤを案内した。

案内されたソファーの上へ、飛び跳ねるようにサヤは腰掛ける。

しかし、大きな音も立てずにソファーはサヤの身体をやさしく受け止めた。

そのことからも、このソファーが高価なものであるに違いないとハルナは感じた。


ちなみに、このソファーはハルナが元の世界で王宮精霊使いの資格を得た際に入ったときにはなかった代物だった。




サヤがその感触を更に味わうためにみボンボンと身体を弾ませていると、メイドが二人に香りのよい紅茶と焼き菓子を運んできた。

そのおもてなしを味わった後、そのタイミングを見計らうようにルーシーがこの部屋に姿を見せた。

ルーシーの背後には誰もついておらず、先ほどのミカベリーの姿もない。


更には、お茶を用意してくれたメイドも、この部屋から退室することを命じた。

メイドは頭を下げて扉を閉めて、この部屋の中にはルーシーとサヤとハルナだけになった。


扉を閉めると、この部屋の中には外からの音は入ってくることはない。

誰も話さなければ、ハルナは自分の鼓動しか聞こえてこない程静かになった。




ルーシーは自分の執務用の机に座るのではなく、ハルナたちの前に置かれている一人掛けのソファーにゆっくりと腰を静めた。



「あなた方ですか?あの山のドワーフたちを捕えてきたというのは?」



その声はこれまでのルーシーに無かった、冷たく感情のない突き刺さるような声でハルナたちに問う。




「え?えぇ……そうです」





その答えに対し、ルーシーは背後に数本の炎の矢を浮かべ、その先はハルナたちに向けられていた。




「――お前たちは、何者だ?」









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ