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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-56 目的







「あのお二方は、いまグラキース山の頂上を目指しております」



そのことに対し疑問を感じ確認したのは、ステイビルではなくドイルの方だった。



「グラキース山に?一体なぜ?……まさか、恐ろしくなって逃げ出したのでは!?いや、国を混乱させることが目的……ちがう、ステイビル様を不利な状況にさせる単に送られてきた刺客……」





ステイビルはドイルの肩を掴み、ドイル隊長の顔を見る。

そこには焦りが見えており、自分の失敗が招いたのではないかという思いと、その責任をどのようにして取るべきかという切羽詰まった表情を見せていた。

だが、これだけの可能性を思い付き、思考を広げていくことがドイルがここまでこれた才能だろうとステイビルは感じた。

しかしそれは一旦置いておき、ドイルに対して落ち着くように告げる。




「落ち着くのだ、ドイル隊長」



「も……申し訳ありません、ステイビル様」




ステイビルは真っ先に、ドイルの逃走についての考えはその場で否定した。

なぜならば、これまでのあの二人の態度からして、逃げるということは無用であると感じていた。

それ程あの女性二人には、普通にはない絶対的な自信があるように思えた。

逃げだすのであれば黙っていけばいいはずで、その時はナルメルにもそのことを告げる必要はない。

行先を告げたということは、ここに戻ってくる意思がそこにはあるのだろうとステイビルは判断した。




だが、グラキース山へ向かった理由に対しては疑問がある。

他の国から来たあの二人が、何のためにグラキース山に向買う必要があるのか。

山頂には大竜神が存在しているが、その大きな存在は崇拝していない者にはその面会が叶うことはないと聞いている。

ステイビルの今回の王選において、加護を受けることのできなかった神の二体のうちの一体だった。

いまでも何故、崇拝している自分が拒否されたのかは分かってはいない……王選であることがわかっていたはずで、特に何かをしたなど自分の身に覚えもない。

言い換えれば、そのことに気付かないことが問題なのかもしれないが。


そのことも、今考えるべきではないと判断し、二人が行った理由をナルメルに尋ねた。






「あのお二方が、なぜグラキース山の山頂……きっとモイス様のところへ向かわれたのだと思うのですが……何か聞いておりますか?」



「いえ、入口での騒動が終った途端に”ちょっと行ってくる”とだけ私に告げ、道案内役のエルフを一人付き添わせて向かっていかれました」



「”ちょっと行ってくる”……ですか?」





ステイビルは、あの二人がどのような者か想像ができなかった。

王子としても様々なことを身に付けているはずだが、それすら軽く超える者を持っているようにも思える。

最初はただの無礼な異国の女性という印象もあったが、今までのことを思い返せばそんな考えを抱いていた自分が恥ずかしく思える。




(無礼なのは……私の方だった)





そう思いながら、ステイビルは窓の外に見えるグラキース山の麓から、自分が見てきた頂上の景色を頭の中で思い出していた。








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