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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-49 高価な品









ドイルの言葉に、顔が真っ赤に染めその肩は怒りで小刻みに震えているオギブス。

しかし、ドイルは警備兵の最前列の向こうに見えを見据え、オギブスには目を向けていない。


その行動に対し何かを言いたい素振りを見せるが、目を閉じて数回深呼吸をして自分の気持ちを落ち着かせた。

そして気持ちを落ち着かせた後、ゆっくりとドイルに近付いていき耳元に顔を近づける。




「ドイルよ……知っているか?」



「……何のことだ?」



「王国の一部の貴族の間で、高値で取引されている”ある”商品のことについて……だ」



ドイルの中にはある思いもあったが、そのことは表に出さずにただ黙って聞いていた。




「俺はその取引において、通常の価格よりもさらに高値で買ってくれる商人を知っている。お前も何かと金がいるのだろ?娘の病気の薬草代がかなりかかっているというじゃないか……俺と手を組まないか?」



その話を持ち出され、ドイルの身体は少しだけ反応してしまった。

そのことをオギブスは見逃さない、それが一兵卒から隊長までのし上がった男の能力だった。



「俺は、亜人を高値で売買している商人と面識がある。”こいつら”の中から数”匹”を回すだけで、お前の娘も楽にっしてあげることができると思うんだ……どうだ?アイツらを少し掴まえて……それを流して……お?」




オギブスの話の途中で、ドイルは初めてその顔を見る。

その行動にオギブスは、手ごたえを感じていたがまだその気持ちを出すには早すぎると判断して深刻な表情を作る。





「その話……本当か?本当に大金を……手にすることができるのか?娘を……娘を楽にしてあげることができるのか?」




「あ……あぁ!?お前の娘さんを治すくらいの薬草を買える額は軽く手に入るさ!特に若いエルフなんかが、今の流行りだ!女ならさらに値段が吊り上がるぞ!?」



オギブスは話の流れが自分に傾いてきていることを実感したのか、声もやや興奮で大きくなり周りの警備兵も気にせずにドイルに声をかけ続けた……ドイルを自分側に付けさせるために。





「そうか……」




「おぉ!わかってくれたか!なに、悪いようにはならんさ!お前も娘の心配がなくなり楽になるはずだ。さぁ、あいつらをひっ捕らえるんだ!ドイル!!」





ドイルは再び緊張感が漂う防御壁の前線に身体を向け、今の状況を確認した。

何かを心の中に決めて、命令を発するためにゆっくりと肺の中に酸素を貯めた。





「全員武具を解除せよ!!相手に戦う意思はない!!この争いも今日限りで終わりを迎える!!もう一度告げる、武具を解除せよ!!!」




「ど……ドイル!お前!!……くそぉっ!!!!」




オギブスは近くにいた警備兵の手から、一本の槍を奪い取った。

警備兵もドイルの命令で、長く続いたこの戦いが終わるのではという安堵から気を緩めてしまっていた。



「ぬおおおおおお!!!」



そして、オギブスは奪い取った槍を一番前にいたエルフの女性、ナルメルに向かってその手にした槍を投げ放った。













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