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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第六章 【二つの世界】

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6-22 ひみつ








「申し訳ございません……エストリオ様があんなところにいるとは」



「よい。こうして誰も傷付くことなく、無事にモイスティアを抜けれたのだ……それでだけで良しとしなければな」



「そう言って頂けると……ありがとうございます」





ステイビルは、ソイに対し感謝の気持ちを告げ今回の行動の苦労を労った。





モイスティアを出て三十分ほど過ぎた後、街道を行く人々の姿が少なくなってきた。

その頃にステイビルたちはソイの言葉を合図に、隠れていた材木の隙間からその身を隠すのを止めることができた。


ハルナたちは額にたまった汗を袖で拭い、重ねて止めてあった荷台の前後の幌をわずかに開けて風を通した。





「ふぃー……木の間って結構熱いもんだねぇ」



「あたしなんて、窒息するかと思っちゃったわよ!?」




「こちらへどうぞ……風が入って気持ちいいですよ」





ステイビルは、そんな会話をしていた二人に自分がいた場所を譲った。




ハルナはそれを断ろうとしたが、それよりも先にサヤがその場所に動き始めたためその機会を逃してしまった。






「へー……馬車の後ろから見る景色って、こうなんだね」



「え?サヤちゃん……もしかして、馬車乗ったことないの?」




その言葉に対して、サヤはすごい形相でハルナの顔を無言で睨み返した。




「えっ……と。だ、だって……サヤちゃんってこ……ぐぇっ!?」





余計なことを口走りそうになるハルナを、サヤは口に指を突っ込んで言葉を止めた。





「あぁ……”あたしたちの国”じゃあ馬車なんて下々の者が使う者だったじゃないか!?アンタはどうか知らないけど、アタシなんてそんなモノに乗る必要なんてなかったんだからね!」




その言葉に対し、ステイビルは感心したようにサヤに詫びた。





「そうだったのですね……申し訳ございません。あなた様のような方をこのような場所にお連れしてしまったことを、お詫びいたします」



「いや……いいんだよ。こうして、今までに体験したことのないこと……痛ぁっ!!」





ハルナは自分の状況を他所に、落ち着いてステイビルと会話をしていくサヤに少しだけ怒って指を軽く噛んだ。

サヤは痛みからハルナの口に指を入れていたことを思い出し、瞬時その手を抜いて反対の手で噛まれた指を握った。





「ぶはぁ!?……いつまでわたしの口の中に指を入れてるのよ、まったくもう!!」



「……ごめん、でも噛むことはないじゃない……の」





そこで一旦荷台の方の会話が途切れて、ソイはこのタイミングで後ろの席に話しかけた。




「そろそろ、一旦休憩しましょう……あの木陰の近くに停車します」



「あぁ、よろしく頼む」






馬車が止まった後、三人は熱のこもった荷台から降りて冷たい風に当たった。

そして、ハルナとサヤは”用事”があるとステイビルに言って、この場をいったん離れることを告げた。

ステイビルもその言葉の意味を理解し、男性が入っていくものではないと感付いて二人が離れていくことを了承した。






「ちょっと……ハルナ、アンタ変なことをいうもんじゃないよ!?」




その言葉に意味が分からないハルナが、不思議な顔つきをする。




「アンタアタシがこの世界でずっとわたってきたことを言いそうになっただろ!?それだけで、アタシたちは怪しまれるんだから変なことを言うんじゃないよ!それと……わかってるね?」



「うん、精霊の力は……使っちゃいけないんでしょ?」



「そう、別な国から来たアンタが精霊の力なんか使ったら、なんでその力が使えるんだってなっちゃうからね……ん?」



「どうしたの?」



「何か、音がきこえない?」



「ん……」






ハルナは耳を澄ますと、風の音に混じって金属音の音が聞こえてきた。


それは先ほど自分たちがいた、馬車を止めた場所の方からだった。









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