5-131 ハルナとフウカ2
「な……なに?いまのは一体!?」
『どうしました?ハルナ……なにかありましたか?』
今のハルナの言葉に、近くにいたラファエルが反応する。
ハルナは不思議な感覚が流れている間、数分の時間が流れているのだと感じた。
しかしラファエルのその様子は、ハルナの身にに何かが起きたのか気付いていない様子だった。
それはハルナのことを気にかけていないか、ハルナだけその時間を漂っていた可能性を考え、後者の可能性が高いとハルナは判断した。
「いえ……す、少し……そう!眩暈がしただけです!も、もう大丈夫です……はい」
『そうですか……ハルナさんも精霊と一緒にもう少し休まれた方がいいですね』
ラファエルはハルナを気遣いニコッと笑顔を向け、そのまま他の大精霊たちの元へ向かっていった。
きっと、これから別の方法を考えるのだろう……ハルナは、本当は少しフウカを休ませてあげたかった。
だが、こんなにこの世界の大きな力たちが世界を救うために頑張っている。
ここから離れているエレーナやステイビルたちも、世界の崩壊を止めることは出来ないが、自分たちができることを精一杯やっているのだろう。
それはずっと過ごしてきた中で、エレーナたちがそういう人物であることは判っていた。
ここで、一番のキーとなる自分たちが休んでいるわけにはいかないと、ハルナは再び自分に鞭を入れて立ち上がろうとして口から息を吸い込んだ。
(あ……れ?)
ハルナは自分の身体に起きた小さな変化を感じ取る、それは空気じゃない何かが一緒に身体の中に取り込まれていく感覚だった。
(これ……もしかして……!?)
ハルナは掌を上に向け、数回深呼吸を繰り返した。
そこに、わずかながら酸素以外の他の力がハルナの中に蓄積されていることをはっきりと感じる。
その蓄積された力を、手のひらの上に向けて息を吐くように流し込んだ。
――ヒュルる!
小さいながらにも、ハルナの掌の上で小さなつむじ風が起きた。
それは今までにない、フウカから流れ込んでくる元素とは別な感覚だった。
「――ぁっ!」
これは明らかに新しいルートで、元素を流すことが出たのだとハルナは考えた。
だが、ぬか喜びになってしまわないように、本当にその仮説が正しいかどうかを証明するためにハルナはその方法を思いついた。
「ねぇ、フーちゃん……お願いがあるんだけど」
「ん?……なーに?」
フウカは少し休めたおかげか、先ほどよりも感情が落ち着いていつもの明るいフウカを取り戻しつつあった。
さらには、ハルナが使った元素に対してなにも言ってこないことtに先ほどの仮説がまた一つ信憑性を増した。
「あのね。フーちゃんちょっと元素の力使ってくれる?そうね……水の力がいいかな?」
「うん、いいよ。……でも何するの?」
「フーちゃんが水の力を出してる間、私は火の力使ってみるの」
「えー!?そんなの無理だよ、今までもできなかったじゃない!」
「うん、ちょっと試したいことがあってね。お願い……協力して?」
フウカはハルナにお願いをされると、断ることは出来なかった。
だからハルナもフウカにお願いするときは、できる事しか今までも頼まなかった。
ハルナはまた数回、深呼吸を繰り返した。
「……それじゃあね、いくよ?一、二の……三!!」
その掛け声とともに、ハルナとフウカは別々の……しかも扱い辛い相性の悪い元素の力を発揮した。




