表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

726/1278

5-117 今までのこと、これからのこと









ラファエルは、オスロガルムに自身がサヤの中に見たその時の状況を話して聞かせた。

オスロガルムはそこで初めて、自分が討たれることによってこの世界が崩壊することを知った。


そのことを聞いたオスロガルムは、一言も発せず静かに目を閉じていた。

ステイビルたちも、その張り詰めた空気の中で一言も言葉を発することができず、ただこの状況を見守っていた。




ラファエル自身も、オスロガルムが自分の身に起こることを知った際に暴走するのではないかという時のために身構えていた。

だが、最終的にはそんな大きな問題も起こることはなかった。


オスロガルムはゆっくりと閉じていた目を開き、再びラファエルを視界に留めた。

今までのことやこれから起こりえる様々な状況を考察しながら、多様の思いが胸の中に泡のように浮かんでくる中、オスロガルムは一番初めに確認しなければならないことを聞いた。




『これは……本当に起こりうることなのか?』



『あなたもあの子の中にあったものを見たというのなら知っていると思うけど……今までの出来事の中で、何一つとして外れたことはなかったのではないかしら?』





ラファエルからの答えが、自分のことを弱らせたいのか、ただ真実を告げたのかはわからない。

しかし、どちらにしても変わることのない同じ結論にたどり着き、質問に対する答えを口にした。





『そうか……』





そうつぶやいたオスロガルムから、今までのような勢いは感じられなくなっていた。

何を思っているのかはわからなくはなかったが、ステイビルたちも魔神に対して掛ける言葉が見当たらなかった。

あれほどの大虐殺を繰り広げたものだとしても、自分の将来が死であり、守ろうとしていた世界が崩壊する運命が避けられないと知ったその心中は理解できなくもなかった。



しばらくの無言の時間が過ぎた後、オスロガルムは状況を理解し、まずステイビルに話しかけた。





『……わかった。お前たちの協力の話も無しだ』



『それで……あなたは一体これからどうするのですか?』



『さて……どうするかな?とにかくワシはサヤを探してみるとしよう……お前たちも世界の終わりの時までの残り時間を精一杯もがけよ』



「……魔神オスロガルム」





ステイビルたちに背を向け、この場から離れる行動を取ろうとしたオスロガルムをステイビルは呼び止めた。





「我々も何とかこの世界を救う方法を探っている。もし……もしも、この世界を無事に救うことができたのなら話を聞かせて欲しい」



『話し……だと?お前たちが、このワシと一体何を話したいというのだ?』



「今までのことからも、何かの思いがあっての行動だと感じた。その辺りを話し合えば、我らは共存していけることが可能ではないか?」



『甘い……甘いぞ、人間よ。だが、その話悪くはない……ワシとて、お前たちを傷つけることが楽しいわけではない……いいだろう、もしも無事に世界の崩壊を止めることができたのならば、その時は対話に応じよう』



「その判断に、感謝する……オスロガルムよ」







そのステイビルの言葉に、オスロガルムの表情を変えることなく振り向き、他の悪魔と一緒に空に飛び立っていった。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ