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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-67 仲間割れ









眩しさに、真っ白な世界に包まれる。

しかし徐々に網膜が慣れはじめ、景色が姿を現していく。



「こ……ここは?」



さらに目が慣れてくると、ここがグラキース山のふもとの町に戻ってきたことを理解した。

だが、どういう方法をもってこの場所に来たのかはわからないが、今はこの場所にいることが最善なのだということはモイスの行動から理解した。


そして、シュクルスは起き上がらないキャスメルの姿を見つけ駆け寄る。

カルディとオーサもようやく感覚が戻りつつあり、グラキース山の頂上から一気に降りてきたことに戸惑っていた。

そしてカルディは振り返ると、そこにシュクルスがキャスメルを抱きかかえている姿が目に入る。



「――王子!!!」



カルディは、意識を失いぐったりとしているキャスメルの元へ駆け寄った。

そのままカルディが背負い、この町で借りている施設で運んで横にさせた。


買い物から戻ってきたアリルビートは、この場にカルディたちがいることに驚いた。

そして、カルディに事情の説明を要求し、カルディはそれに答えた。



「そ……そんなことが」


アリルビートは”信じられない”とその後に続けようとしたが、いま実際にクリエ以外の者たちと小さく姿を変えたモイスがこの場にいることが誤魔化しようのない事実だった。

カルディもモイスに状況の説明を求めたが、今は追手が来ていないか警戒した方がよいと返す。

それにキャスメルの意識がないため、この場にいる全員に話した方がいいとも告げた。




そこからさらに時間が経過し、モイスが警戒していた者は追いかけてきている様子はいまのところはないという。

そのタイミングに合わせるように、横になっていたキャスメルの眼が開き意識が回復する。

初めは自分がどこにいるのかわかっていない様子だったが、頭の中に直前までの記憶が戻り毛布を剥いで飛び起きた。



「エ……クリエ……!クリエはどうした!?」



「落ち着いてくださいませ王子……クリエは……まだ」



カルディが申し訳なさそうに告げると、キャスメルはベットから急いで降りようとする。

だが、キャスメルの身体はとうに限界に達しており、床に足をつけて立とうとするとキャスメルの身体は膝から崩れ落ちた。


それをカルディはとっさに支え、キャスメルの顔はカルディの胸の中に埋もれてしまった。

キャスメルはその体勢となったことを誤ることもせず、カルディの腕を強く掴み身体を起こして外へ向かおうとする。

反対にカルディは、キャスメルの腕をつかんで離さない。


「は、離せ!……クリエを……クリエを探さないと!!」




――パン!!!


部屋の中に高い音が鳴り響き、この場にいる全員の時が止まったようだった。



カルディは、キャスメルを掴んだ反対の手でキャスメルの頬を平手打ちした。




「……王子!!しっかりなさってください!!王子一人が焦っても何も状況は変わりません。それどころか、王子の身にも危険が降りかかります」



キャスメルは呆けた表情で叩かれた頬を片手で押さえながらカルディの怒りを含んだ表情の顔をみつめる。

そして目を力強く閉じ、カルディの声に返した。



「しかし……しかし、クリエが消えてしまったんだ!!これは私の責任だ!!クリエに……申し訳ないことをした……辛い思いをさせた……すべて私の不甲斐なさから……!!!!」




――パン!!!




カルディは頬を押さえる手ごとキャスメルの顔を両手で強く挟み、その怯えた顔を真正面からにらみつける。


「王子……よくお聞きください。これ以上……ご自身だけで行動されると……いうのならば……私は……ここで王選から降ろさせていただきます!」


「……申し訳ありませんが王子、私もカルディと同じ考えです」



カルディの言葉に追従したのは、アリルビートだった。

シュクルスは、そのことについて何も言わない。

本来ならカルディたちを引き留めるべきだと思うが、カルディたちの気持ちもわからないでもないためシュクルスは黙って見守っている。



そこに見かねたモイスが、口をはさんだ。




『おい……お前たち。こんなところで仲間割れするでない。あの土の精霊使いのことだろう?……クリエは今のところ生きておるわ』











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