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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-58 城内潜入




ステイビルたちは、何の危険にさらされることなく関所の前に辿り着くことができた。


しかし、その場所は目を覆うような状況が広がっていた。

身体の一部が欠損しているだけでなく、元の状態が判らないくらいに焼けた炭もある。

関所の入り口は、常時開いているのは三つの入り口だけ。

通常は、その三か所のうちのいずれかで検問を受けて、許された者だけが中に入っていくことができる。


今回はその防衛のための小さな入り口が避難の際にボトルネックとなり、大勢の命が奪われていることになった。

本来であればその隣に設置している馬車用の大門が開かれるはずだったが、その開門を担当する兵がやられてしまったためにその門が開かれることはなかったようだ。

そのため逃げ出すことのできなかった者たちの亡骸が、あちらこちらに散らばっている。

その残虐な行為に怒りを覚えながら、ステイビルたちは西の王都へと入っていく。



警戒をしつつ入ると、そこに倒れた人を漁る魔物の姿がある。

気配に気付いた魔物は、叫び声をあげハルナたちを威嚇する。

と同時に、魔物は怒り狂いながら向かってきた。



アルベルトとソフィーネが前に立ち、魔物を迎え撃つ。

手を伸ばして掴みかかろうとする魔物に対し、アルベルトは一閃する。

魔物の肘から下は切り落とされ、そしてソフィーネが手にした短剣を魔物の側頭部に叩きこむ。


「……グギァッ!!!」



魔物は、黒い霞となりこの世から姿を消した。

それを後ろで見ていた、王宮の騎士と精霊使い達はため息を漏らす。

自分たちにあんなことができるのだろうか……と。


だが、”できる””できない”ではないことにすぐに気付く。

ここに来たからにはやって見せなければならない、この状況を許せるはずがない。

この魔物たちが東側に来ないなんて、誰も保証してくれるはずもない。

ステイビルの後ろにいる者たちは、この場所に来た意味をもう一度心の中に刻んだ。



その後、すぐに数体の魔物が城の方向から飛来してきた。


「よし、いくぞ!誰一人、死ぬことは許さん!気を引き締めてかかれ!!」



ステイビルの後ろからは力強い返事が返り、それぞれが指示された隊を組んで移動を始めた。

それと同時にステイビルたちも、城に向かって走り始めた。

不幸か幸いか、襲ってきた魔物は散らばっていった方へ目標を据えていた。


そのおかげもあり、ステイビルたちは何事もなく城の入り口までたどり着くことができた。


門番のいない扉が開かれその中にはこの場所を死守しようとした痕跡がみられる。

ここにも魔物に抵抗した兵たちの無残な姿が、あちこちに見られた。

魔物の姿が見えないのは、先ほどのように霧となって消えていったためその姿が残っていないのだった。



周囲を警戒しつつ、ステイビルたちは城の奥へと進んでいく。

すると、天井に張り付いていた魔物が複数体、ハルナたちに向かって襲い掛かってくる。

城内は通路も幅もしっかりと保たれているが、四方から襲ってこられたため対応がやや遅れてしまった。


背後から襲われたエレーナに魔物の手が伸び、その爪先が触れようとしたその時に白い閃光が頭上を通過する。

光が消えた後には、一瞬にして数体の魔物は消滅していた。



『しっかりするがいい。ワシがいたからよかったものを……』



「あ、ありがとうございます……シュナイド様」




驚きと一瞬にして状況が変化したことに、エレーナは状況が追いついていなかった。



「ここは危険な場所だ、一瞬たりとも気を抜くなよ」



ステイビルは、自分の仲間が傷付きそうになり肝を冷やした。

ここは今までに経験をしたことがないほどの、危険な状況だと改めて知る。




再び進行を開始し、その途中何度か魔物に襲われることがあった。

だが、どんな奇襲を受けても最初のような状況になることはなかった。

シュナイドの力を借りることもなく、それぞれの力で状況を切り抜けていくことができた。



そして目的としていたカステオの部屋にたどり着く。

この部屋の近くには多くの兵が倒れているため、相当激しい攻防が行われていたと思わせた。



ステイビルたちは、武器を手にして預けられた盾を構えた。

そして後ろの続く者たちに、合図をする。



「いくぞ……!」



部屋の前に出た、ステイビルたちに飛び込んできたものは信じられない光景だった。

床には膝と肘が本来動くはずのない方向へ向いてたカステオが転がっていた。


そのカステオを足蹴にし、杖ついて立つ見たことのない魔物がそこにいた。





『遅かったな……お前がハルナだな』










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