表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

647/1278

5-38 シュナイドの想い







『ワシに”お前”の手伝いをさせてくれぬか!?』






「……は……はぁ?」




サナの口からは、声のような息のようなものが漏れた。

自分を食べかけた恐怖の存在が、短い時間の中で自分たちに味方をしてくれるという。

そこには何かシュナイドの思惑があるのではと、サナも苦手な頭でその裏をなんとか読み取ろうとする。



だが、ブンデルやエレーナのような思考は持ち合わせていないサナは、この場でどういう言葉を返せばいいか思いつかない。


だからこそ、サナは今頭に思いついたことをそのまま口にした。



「な……何が目的ですか!?まさか、ステイビル王子やハルナさんたちを狙っているのですか!?」




自分の身に何が起きたとしても、それは全て自分の責任。

しかし、自分の判断によってハルナたちを危険にさらしてしまうような状況は決して作ってはならない。

さすがのサナでも、そのくらいは頭の中で思い至った。




『ち……違うわ!そんなことはせん……サナ……お前に嫌われるようなことは……したくは……ない』




(あ……れ?)


サナはもっと怒られるのかと思っていたが、そんな感じではないことに少し気が抜けた。



シュナイドの態度に対して、ブンデルは危機感を感じる。

男としての勘が、サナがシュナイドに狙われていると告げている。

焦るブンデルを横に、サナはシュナイドに語り掛けた。



「では、なぜ我々を手伝って頂けるのですか?モイス様は、ハルナ様と行動を一緒にする際に、外の世界が見たいとおっしゃっていました。シュナイド様の理由は、一体どのようなものなのでしょうか?シュナイド様ほどのお力をお持ちの方が、我々に力を貸していただけるのは、正直ありがたいことだと思いますが」



シュナイドはサナの肯定的な部分の言葉を捉え、サナがこの話を受けてくれるのだろうと感じた。

このタイミングを逃がさないようにと、シュナイドがこの申し出を取りまとめるための最後の話をしようとした。




『む。そ、そうだろう…だから』



「ですが!こんな短い間に我々を襲ってこられた方が、そのようなお話を持ち掛けられて信頼することができますでしょうか!?ですから、この話はお断り……」


『――待て!』





今度はシュナイドが、今までに見せたことのない態度でサナの言葉を遮った。


その態度は、ガブリエルも見たことがなかった。

これは何か面白いことになりそうだと、ガブリエルは口を出さずにこの場を見守り続けた。







『……すまぬ、待ってくれ。サナよ……信頼されていないのはわかる……だが、今は誓ってお主やお主の仲間たちに危害を加えないとや即しよう!絶対に……だ!』




シュナイドの力強い言葉に、サナもブンデルも目が点になる。

一体、これは演技なのか?それとも見た通りの本気なのか?

シュナイドが自分よりも弱い存在に演技をすることなど考えられない……でもその反対の理由も思いつかない。

それだからこそ二人は、こんなにも必死なシュナイドの理由が気になっていた。




「……わかりました。少し考えさせていただく前に、正直にお答えいただけますか?私にはイナのように嘘を見抜く魔法は使えませんので、私がシュナイド様の言葉を嘘と感じた時や理由が納得できなかった際にはお断りさせていただきす。……よろしいですね?」



『……あぁ!構わん、それで構わない』




ブンデルは少し離れた場所から、シュナイドという大きな存在に向かって、こんな態度を取れるサナに驚いた。

そういう度胸が良いところがあったからこそ、ブンデルはサナに好意を持っている。

ブンデルには、そんなサナを尊敬していた。



『……それで、ワシに正直に聞きたいこととは?』




「はい……もう一度だけお尋ねをします。シュナイド様はなぜ私たちを手伝っていただけるのでしょうか?」




サナはそれ以上言葉を足さずに、自分の聞きたい内容を話した。

あとは、シュナイドがどのような返答をするのか待つだけだった。



『……』



シュナイドは何か言い辛い態度をとる。

すぐに答えられないことは、何か企んでいると疑われることは判っている。

だが、その言葉を口にするだけの勇気に似た勢いが、シュナイドの中に積み重なるまで少々の時間が必要だった。


その勇気も溜まり、シュナイドは今まで重かった口を開いた。




『サナよ……ワシは……お前と一緒に……いたい……のだ』








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ