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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-27 危険な場所





ハルナたちは、ガスが吹き荒れる中を注意深く進んでいく。

地面には所々ひび割れた場所があり、そこからガスが噴き出ているのが分かった。


十分も歩くと、町に引き込まれていたガス管も無くなり、草木の生えていない荒れた土地の中を淡々と進んでいく。


途中の会話は極力しないようにした、方向や注意喚起などはあらかじめ気用意していたハンドサインで行い、石を伝えることにした。



ハルナは出発前に、モイスの力を借りることはできないかと口にした。

エレーナの精霊によると、モイスは今ここにはいないとのことだった。

ここにいたとしても、モイスが協力してくれるかは疑問だった。


王選のための行動に、ある特定の神が協力することはこの行いの趣旨に反していると判断したからだった。

それに急にモイスがいなくなることはよくあることだったため、この時はまだモイスについては何の心配もしていなかった。

今はそれよりも、自分たちの方が心配だった。



この一帯に入り、三十分は経過した。

サナが腰に下げている砂時計が、四週目を回っている。

今まで聞いた中で、ここまで入り込んだものはいないというが、過去の王選で同じルートをたどった王がいないとは限らない。

これまでこの場所について情報を調べた中では、ステイビルたちが初めてだっただろう。

裏を返せば、ここには”探している神々の姿はない”ということも考えられる。



だが、ステイビルの勘は、今までこの土地について探索を行ってこなかったことや、人を寄せ付けないような場所に何かがあるのではと訴えている。

未知の事象に対し、切り込んでいく姿勢は大切だと思うが、付いてきてくれる者たちに危害が及んではいけないという考えもある。

そろそろ、エレーナが作りだす水の量も減ってきた。

そのため、ガスを遮断する口元に当てた布を水で洗うことも難しくなってきている。


ハルナが高密度の気体の空間を維持させることも、フウカが上空から送ってくる風も維持することが難しくなってきている。

エレーナよりもその力の量が多いはずのハルナが、ここまで広い範囲の空気を操作することに相当の力を要していた。


その様子を見て、そろそろ折り返して出直すべきという考えが、ステイビルの頭の中に浮かんでくる。

また休養期間を設けて、体力を回復させてから一からやり直すことになるだろう。

しかし、他の者の命には代えられない。

生きていればまた挑戦できることは、今までの旅の中の経験からも判っていたことだ。


ステイビルが、そろそろ限界と判断し引き返す合図を出そうとしたその時……




「――あ!」



上空から、フウカの声が聞こえてきた。

その声は何かを見つけたような声だった。



ハルナたちは息苦しさを我慢しながら、声を上げたフウカの姿を見上げる。

すると小さな指先が、遠くを指している。



「ねぇねぇ!あそこに何かあるよ!!」



ガスと熱により揺らぐ空気の中、ステイビルは目を細めてフウカのさした方向を見る。

そこには、土が盛り上がったような場所が確認できる。


戻るにしてもここからだと、対して状況的には変わらない場所であると判断し、ステイビルはその場所を確認するべくもう少しだけ歩を進めることに決めた。



急ぎ足になりかけるが、体力と酸素を無駄に消費しないためには、今までと同じ速度で進むことが大切である。

ステイビルは、目を凝らしながら目的のポイントにゆっくりと近付いていく。

そして、いよいよその姿がはっきりと捉えることができた。


土が盛り上がった場所は、地下に通じる穴が見えている。

そこが道ではなく穴なのは、誰かが整備したようなものではなく自然にできた穴のようだった。


穴の大きさは、人が地面に伏せたまま進める大きさで、ハルナたちよりも背が低いサナには余裕で通れる穴になっている。

アルベルトが、その穴の中に顔を入れると、今いる場所とは違い空気もガスに犯されておらず熱も感じず外の温度に影響しない空間となっていた。



フウカに入口に少し入ってもらい、中にある空気を風の力で送り込んでもらう。

その風を受けたハルナは、大量に送られた空気をこの周囲に固めていった。

今までの空気が薄い場所に比べ、その風の操作は大雑把でも十分だった。

そして、ハルナの体力は徐々に回復させることができた。


そのおかげもあり、ステイビルたちはこの場所で休憩をとることができ、濡れた布を口から外すこともできるようになった。

ひと息ついたところで、ステイビルたちはこれからどうするべきかを話し合った。










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