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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-25 答え合わせ







翌日、ステイビルたちは再び、ガスが噴出している地域一帯を管理している施設に向かった。

入口の前に立つ警備兵は、ステイビルたちの姿を確認する。

それ以降も姿勢は変わらないが、警備兵の周りの空気が張り詰めるのをハルナは遠くから感じていた。


ぞろぞろと歩いてくることに対しての緊張かもしれないが、こちらからは傷付けることはない。

それでもステイビルは相手が警戒をしないようにと、ハルナたちを離れた場所で待機をさせ一人で門番の警備兵へと近付いていく。

他の者たちが行くことも案として挙がったが、ステイビルが自らの責任を取るための意味を込めて一人で話を聞きたい無理を押した。

それに対して、一人だけで行動させることはできないとエレーナからの意見が挙がり、このように遠くから状況を見つめることで全体の意見がまとまった。


それでも、この人数で――途中で待つとはいえ――一人の門番に向かうことは少しばかり威圧的になるのではとハルナは言ったが、それについてはアルベルトとソルベティが”警備兵がそんなことで怯えたりはしない”と言ってくれたおかげでハルナの心配は解消されることになった。



ステイビルはゆっくりと、遅すぎない歩みで門番の警備兵に向かって距離を縮めていく。

相手はその姿を認識しながらも、その相手の正体を知っていたからこそ、普段と同じく特別な態度をとることはなかった。




「すまないな……仕事の邪魔をして」


「いえ、問題ございません!ステイビル王子」




ステイビルから声をかけられた男は、片手に槍を持ったまま反対の手で敬礼をし、ステイビルが手を上げて合図をするとその手を下ろした。

ヘルムを被ってはいるが、前の開いている場所から顔は見える。

そこから昨日の警備兵とは違う者であると判るが、ステイビルたちに対しての対応は変わってはいなかった。



ステイビルを見て”王子”と判断したことは、情報は伝達され皆同じ対応をとることが徹底されているのだろう。

勿論そんなことは予測できていたため、ステイビルは何も気にすることなく話を進めていく。





「それで……我々は、まだ中に入ることはできないのかな?」



「はっ。それについては、現在もまだ解除されておりません」




ステイビルはその答えに対して、不快感を覚えない。

それは昨夜のハルナの話を聞いたおかげで、目の前の警備兵の対応がその思惑と一致しているものだと感じることができたからだった。




「それから……もうひとつ聞いてもいいか?」




問いかけられた男は、顔色も態度も変えることなく要求された言葉に対して返答した。



「はっ、私で答えられることならば!」



肯定の返答を聞き安心したステイビルは、ほんの少しだけ長めの間を作り、許可を得た質問を口にする。




「ここの施設が管理している”あの”地域に無断で入った場合は、どんな罰が与えられるのだ?」



男はステイビルの言う”あの場所”というのが、立ち入りの許可を申請したあの場所であることを理解する。

組織の中において、確認をすることは過ちが許されない作戦を実行するにあたり重要な行為である。

だが、わかり切ったことや話の前後の流れが読めない者がそのことに対して聞き直すことは、物事や空気を理解できないものとしてその人物の評価は下がってしまうことになる。

当然、この男はそのようなできないものではなかった。




「はっ!その質問のお答えにつきましは、”罰はございません”!」



「ほぉ……それはどうしてだ?」


ステイビルは、”罰がない”というだけでも大きな成果が得られたはずだが、その意図を知ることも自分たちの行動に過ちを犯さないために必要な情報であると考え確認をする。



「我々はこの地を管理しておりますが、その目的は人の命を守るためであります!我々の手の及ぶ範囲の中では注意喚起や警備を行っておりますが、それを超える行動については自己責任と考えているため、それ以外の行動につきましては特に罰を考えておりません!」



「そこで受ける罰は……自分自身の命。そういうわけだな?」



「はっ!そういう”わけ”であります!」




「ありがとう……これからもこの町を頼んだぞ」



警備兵は、ステイビルの言葉に対し敬礼で返した。

ステイビルはその敬礼を背中で受けながら、手を挙げて答えてみせる。

そのままハルナたちが待つ場所へ戻っていった。












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