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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-12 キャスメルの憂鬱2








キャスメルはウェンディアと王選のパーティーを組み、将来は一緒になることを信じて疑っていなかった。

だが、突然の知らせによって、その希望は霞のように消えていく。



キャスメルは信じることができず、その報告の真偽を探った。

聞けば聞く程、はっきりとした回答が得られない。


ウェンディアがいなくなったことは確かだというが、その理由ははっきりしていない。


母親であるティアドに聞いても、自身が信じられないと心身喪失しており詳しいことは聞き取れていないという。

ティアドにしてみれば、姉に続いて自分の娘も失ってしまったことを考えるとその痛みは尋常では計り知れない。




キャスメルは、感情的な行動をとってしまう。

モイスティアへ、単身で向かっていった。

それも、誰にもそのことを知らせることなく。




王都の中で、自分に似た体格と年齢のものを探そうとする。

運良く城内で、その機会に恵まれた。


その者は家の手伝いで、王宮に物資を運んできた者だった。


キャスメルはその者が持っていた麻の汚れた袋の中に身を隠し、荷台の中に身を隠れさせてもらうことにした。

そのまま馬車の荷台に身を隠し、キャスメルは王都からから出ることに成功した。


キャスメルは、その男たちの村に連れて行ってもらうようにお願いをした。

本当なら、このままモイスティアまで連れて行ってほしいところだが、この者たちも生活が懸かっている。

お金を支払ったとしても、一時的な収入よりも日頃の仕事を大切にした方がよい。


キャスメルはもう一つだけ頼みごとをして、自分に合う服を持ってきてもらった。

服はまた来るため、預かってもらうことを告げる。

最後に、運んでくれたお礼とこのことについて黙っていてもらうことをお願いし、お礼のお金を渡してその村を後にした。



ようやく大通りに出ると、モイスティアまで続く乗り合いの馬車が目に入る。

キャスメルは手を挙げてその馬車を止める、運よく一人分のスペースが空いていた。


そうしてキャスメルは、無事にモイスティアまでの手段を手に入れ、今までに経験をしたことのない酷い揺れを経験することができた。


そして、到着したモイスティアでハルナたちと出会い、魔物のような存在からを命奪われそうになった。

ハルナたちの不思議な力のおかげで、無事とは言えないまでも王都に戻ることができた。




今回の行動で手に入れたものは、何一つなかった。

ウェンディアのことは報告を受けた以上のことは判らず、反対に王都を黙って出てきたことや命の危険にさらされた。

他の者たちに掛けた苦労や迷惑を加味すると、マイナス面の方が大きい。



王宮に戻れば、父親である王にまで叱りを受ける始末だった。

様々なことを経験するように日頃から言われていたが、今回の件に関しては今まで経験のないほどの罰を受けた。


キャスメル自身も、その罰が行き過ぎだとは思ってはいない。

自分がとった行動から考えれば、王子という立場では許されることのできない行動をしてしまっていたため、罰に関しては思うことがなかった。






その辺りから、キャスメルは自分に対する自信がなくなってしまった。

さらには、王選が始まってからは時々の場面で的確な判断ができず、仲間からの信頼もなくしてしまっている……そんな気持ちになることが幾度となくあった。


クリエたちは、キャスメルを元気付けようとしてくれていることは感謝している。

しかし、自分にはないと感じている”カリスマ”は、生まれ持っての物でどうにもならないことは判っていた。






「……キャスメル様、どうかなさいましたか?」



「え?……あ、うん。大丈夫……だ」




キャスメルは自分が、深い思考にハマっていたことにポッドの呼びかけで気付いた。

目の前に置いてあるお茶を手に取り一口含んだ。

その温度は冷めており、それ程の時間が経過していたこと物語っている。




「というわけでして、ステイビル王子のご一行は王都に指示を出していただき、今現在エフェドーラ家のお力を借りて取り組んでいる次第です」



意識が途中から戻ってたキャスメルは、後半部分の話は頭に入っていなかった。

そんな状態に追い打ちをかけるように、この中で一番聡明なルーシーがキャスメルに向かって声をかける。






「それで、これからどうなさいますか?キャスメル王子」











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