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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-10 ステイビルの軌跡










翌日、キャスメルたちはポットに話が聞きたいと時間を作ってもらえないか打診した。


今すぐでもよいという返答があったが、明らかに忙しそうにしていたため、タイミングはポットに任せることとした。

そして、時間を調整してくれたポットは、夕方に食事を兼ねて時間を作ってもらった。

その際に、昨夜のように豪華なものではなくていいと念を押して伝えた。




その夜、キャスメルたちはポットの家に招かれた。

そこには初めて見る女性のドワーフと女性のエルフの姿がある。


オーサはそこに、昨日会った二人の子供の姿を見る。

ノイエルとチュリーが一緒にいて、こちらにキラキラとした視線を向けている。

客人に対して興味があるのだろうかと考えたが、その視線は同じ女性であるクリエとルーシーに向けられていた。


この子が同じコボルトであれば、後ろについている尾がパタパタと振っているような雰囲気が感じられる。


二人の子供から視線を感じたクリエは、最初どのように対応していいか判らなかった。

ルーシーに関しては、二人の視線を合わせないように必死に前を向いている。

仕方なくクリエは、二人に向かって微笑み返した。


すると二人の期待度はさらに、数段上昇していった。

しかし、父親のポットから注意され、チュリーは残念そうに後ろに下がっていく。

ノイエルもナルメルに言われ、二人は残念そうに後ろに下がる。


二人は、ハルナとエレーナが遊んでくれていたように、クリエたちも遊んでくれるのではないかと期待していた。

しかし、食事が終った後は別室で子供同士で遊ぶように言われた。




食事がおわり、テーブルの上の空になった皿が下げられる。

そしてそれぞれの前に、淹れたてのお茶が並べられていく。


キャスメルは、置かれたお茶に感謝の言葉を述べた。

そして、ここに来た本当の話をする。




「……ポットさんたちは、グラキース山で何があったのかを知っているのですね?」



ポットがノイエルとイナの顔を見ると、それに対して二人は頷いて応えた。

緊張からか、ポットはまだ熱いお茶の入ったカップを両手で包んでいる。

そして、自分の知っていること……知らされたことを口にする。





この村に起きていた、水やそれにかかわる問題。

それはドワーフの村が堰き止めていたことが原因で、その途中にあったエルフの村も被害を受けていたこと。

それをステイビルたちがドワーフの村とエルフの村で交渉をしてm現在は水の問題も解決し、ここでそれぞれが物資や技術等で協力し合い暮らしていける町を作り上げた。




「……ステイビル王子はその基礎を用意した後、エルフの方と一緒に裏のグラキース山に向かわれました」



ポッドはそこから話の続きを、エルフのナルメルに引き継いでもらった。




「わたくしの父は、現在エルフの村で長をしております。以前は、別な村長がおりまして、そこでは大竜神様を祀っておいりました……」


エルフの村で起きた前村長との問題、そのきっかけとなった際に大竜神の住処を知っていたとのことで案内を任された。

ステイビルたちにはハルナとエレーナの他に、ブンデルというエルフとサナというドワーフが一緒に行動するようになったことも告げる。


そして、そこで大竜神……モイスと遭遇したことを告げる。

ステイビルたちは無事に、モイスより加護を受けふもとに降りることができた。




その話を聞き、キャスメルは何とも言えない気持ちになった。

自分では決してできなかったことを、やってみせる双子の兄。

そのことが誇らしくもあるが、その反面悔しさに似た怒りが沸き上がる。



王選など関係がなく、自分の兄の功績としてみるならば、素直にそのことを自慢したいほどだった。

キャスメルではできないことをやってみせる……それが悔しくてたまらない。




(同じ双子でありながら、どこで差がついてしまったのだろうか……)



キャスメルはこの王選が始まってからいつしか、そんな考えが度々頭の中に浮かんでくるようになっていた。

気付けばキャスメルの手は、テーブルの下で強く握りしめられていた。
















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