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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-8 コボルトの困惑





「おじさん……ハルナ姉さんたちのお友達?」




オーサは、その子供の言葉に衝撃を受ける。

その衝撃は勿論、子供から”おじさん”呼ばわりされたことに対してではない。

オーサの立った耳から、懐かしい名前が聞けたことに対して衝撃を受けていた。



「お……そ、そうだよ。ハルナ殿の友達……だ」



友達……その言葉の意味も分かっている。仲間のような存在であると、オーサは認識していた。

ただ、友達と言い切っていいかは自信がなかった。


ハルナの精霊のフウカに助けられてから、この命は人間のために役立てるつもりでいた。

だからこそ、西の王国の時にも自分たちを呼び出す鈴を預けた。


今はキャスメルに同行をしているが、本当はハルナと一緒に旅をしたかった。

渡していた鈴を持っていたのが、クリエだったため一緒についてきた。

あの時と同じように、いつかはハルナと一緒になるものだと信じていた。


旅の途中で”王選”の話を聞いた時、オーサはショックを受ける。

キャスメルとステイビルは別々に旅をしており、決して協力し合ってはいけないということを。


だが、キャスメルたちに同行すると告げた以上は、その約束を自分から違えることはできない。

そして、いまこのまま心に不満を残しながら、オーサは旅を続けている。




そのため、ハルナに対し深い恩は持っているが、仲間といえば疑問符がついてしまう。

だが、この場はオーサはハルナのことは知っているし、仕えたい相手もあり”友達”ということにしたほうが良いと判断し返答した。


コボルトは亜人であるが、獣人に近いところがある。

本能に従って生きる者が多く、知能はあるが直接的で間接的な思考が得意ではない。

キャスメルたちがオーサを信頼しているのも、その思考を持つところが大きい。

国の安定のために力を貸してもらえるならば、様々な種族と協力し合えしあうことが重要だとキャスメルは考えていた。

そのためにも一緒に旅をして、それが可能かどうかを試したいとキャスメルは正直に話してくれた。

オーサはもその期待に応えることができれば、コボルトの東の王国内での地位が確立されることを期待していた。



この子供への返答も、含みも踏まえて嘘が無いようにと答えた結果だ。

嘘があれば、そこからまた闇が身体に広がっていくと考えていた。




「そっかぁ!やっぱり!ハルナ姉ちゃんも、フウカちゃんの他に小さなトカゲみたいな生き物をつれていらっしゃたし、そうじゃないかと思ってたんだ!」



子供は自分の名をチェリーといった。

周りの子供たちも、チュリ―が知り合いだと判断しオーサの周りを囲むように集まってきた。



すると話が通じる珍しいコボルトに、子供特有の自分の疑問を片っ端からぶつけていく。

どこに住んでいるのかから、家族はいるのか、好きな食べ物はなにか、犬と同じように鼻はいいのか……など、どうでもいいようなことばかりの内容だったが、オーサは好奇心の目を注ぐ子供の疑問にできる限り答えていった。


いつまでも続けられる質問をそろそろ終わらせようとした時、チュリ―はずっと聞きたかったことを最後に口にする。


「ハルナ姉ちゃんたちは元気ですか?」




オーサはこの子も、ハルナのことが好きなのだと気付いた。

違うパーティではあるが、この町に来る前にステイビルたちの噂をキャスメルがクリエたちに話していた。

自分たちよりも後に着いたソイランドで起きた話を。



詳しいことは、子供に伝えても難しいと判断しオーサは安心する言葉を探し答えた。



「ハルナさんはいま、ここから遠いソイランドっていう町にいる。そこで、元気にしているよ」



元気にしていると聞いたチュリ―は隣のエルフの子と手を取って喜んだ。

どうやら、この中でこの二人はハルナのことを知っている様子だった。


(この二人も、ハルナに助けられたのかもしれんな……)



そんなことを考えていると、先ほどのチュリ―の言葉に気にかかる者があった。



「そういえば……さっき、トカゲがどうとか?」



「うん!ハルナ姉ちゃんたちは、あの山に登ってこの町にまた水が出るようにしてくれたんだ!」



「そう、私たちの村もそれで助かったのよ!」





チュリ―とノイエルは、自慢げにハルナたちの功績をオーサに語る。






「そ、そうか……で、トカゲっていうのは?」


「そうそう、その途中で一緒になったんだって!」


「そうなの、水の力が使えるみたいだったよ!」




”水の力”……オーサはその言葉に自分たちが探し求めていた答えに近付いて行くことを感じている。

徐々に気持ちが高ぶっているが、ここでミスをしてしまうとこの子たちを怖がらせてしまい嫌われて話を聞けなくなってしまうことは避けたい。

オーサは尻尾をピン!と立てて、次の情報を探る。



「その……トカゲ……名前があったか?」


「うん……たしか」


「モイ……ス様っていってたっけ?」












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