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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第五章 【魔神】

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5-5 復元





ハルナもマーホンもステイビルも、お互いに言葉を切り出せない時間が続いている。

情けないと思いつつも、ステイビルはその重い空気から逃れるように、自ら馬車の手綱を握ることを申し出ている。



しかし、その重い空気も終わりを迎えることになる。

モイスが、久々に小さくなったその姿をハルナたちの前に現した。



「っと……ふぅ。ようやく出られたわ!」


「も、モイス様!?」



モイスは今まで声は聞こえても、その姿を見せることはなかった。

その理由は、サヤに身体の半分ほどを奪われその傷から元素が漏れていたという。

これは、モイスも知らなかったことだが、水の元素が素となりモイスの身体は構成されていたようだった。

そのため、受けたダメージを回復させるには、高濃度の水の元素が存在する空間に身を置いておく必要があった。

モイスはこの世に生まれ、更なる力を身に着けるために様々な場所を探し求めてこの世界を回った。

そしてようやくその場所をみつけることができた、その場所がグラキース山だった。

山の内部を流れろ過され、ドワーフ、エルフ、そして人間に命をもたらしていくことになった水。

そこに含まれる元素の濃度は高く、モイスの成長を促進させていった。


今回は、水の精霊使いであるエレーナと契約しているヴィーネの近くで元素を浴びていた。

ヴィーネも人型になってから、元素の扱いは上達をしていた。

ヴィーネは、モイスが望む元素の密度を調整しながらモイスに高濃度の元素を供給し続けた。




「……というわけで、ようやく身体ができあがったのだ」


「じゃあ、あの時の疲れとか……いろいろな欲って……もしかして、モイス様のせい!?」



その間エレーナは、強い疲労感に見舞われていた。

丁度その頃は、アルベルトと身体を重ね合うことに夢中になっていた時期と重なっていた。

だからエレーナは、”その”疲れであると気にもしていなかった。


エレーナは自分の中に意識を向けると、ヴィーネも疲れている様子が感じられた。

それと同時に、ヴィーネから流れ込んでくる元素の量が今までとは違うとはっきり判るくらいに変わっていることに気付いた。

とりあえず、エレーナはそのことを頭の片隅に置いておき、ヴィーネに告げて前を走る馬車のアルベルトに止まるように言ってもらった。


その後ろを走るステイビルが走らせる馬車も、アルベルトがゆっくりと速度を落とすことに気付いて合わせて速度を落とし停める。


ハルナたちが乗る馬車に、アルベルトとブンデルとサナが何事かと集まってくる。

そして、モイスの姿を見つけ理解をする。


エレーナは前の馬車を走り聞いていなかった者たちに、モイスから聞いたことを説明をし姿が見えなかった事情について納得をした。



一通りさ説明も終わり、それに対する質疑も無くなった頃、太陽が沈み始め空は既に赤く染まり出した。

ステイビルは、今までの話をゆっくりと整理したいことと、これ以上進んでもそこまで距離が稼げないと判断した。




「日も暮れてきたし、今日はここで野営することにしよう」


「「はい!!」」


ステイビルの言葉に対し、いつものように同意する言葉が聞こえてきた。



馬車の中でも睡眠をとることはできるが、全員は休息するには狭い。

今まで通り、外には簡易テントが用意をすることになった。

荷物を入れている馬車から、今夜の必要となる道具を取り出していく。


その際には、王子も精霊使いもいかなる地位も種族も関係なく、全員で協力しながら準備が進められていく。


取り出された資材が、全員の協力によって運ばれていった。




「――あっ!」



ハルナは自分の運んだ荷物をアルベルトに渡し次の荷物を取りに行こうとした時、ハルナの視界の端に無理に抱えた荷物が崩れる状況が目に入る。

無理があると思えるくらい積み上げた荷物は、数度左右に振れバランスを崩し落ちていく。

ハルナはとっさに手を出してその荷物を支え、貴重な物資を地面に落とすことを防いだ。



「ありがとうござい!……ま……す」




積み上げられていた荷物に隠れ顔は見えていなかったが、その言葉の主はマーホンだった。

お礼の言葉は当初の力を失い失速し、助けてくれた相手がハルナと認識し気まずい空気が流れた。


そこから先、数秒間二人の間に言葉は交わされなかった。

お互い喉の手前まで言葉と感情が込みあがってくるが、それを口から先に現すことができなかった。



「あの……大丈夫……ですか……?」




ハルナは思い切って、当たり前で当たり障りがなく今この状況で最も適した言葉を選んでマーホンに話し掛けた。



「は……はい、なんとか。あ、えっと……ありがとう……ござい……ます」



そこからハルナとマーホンは、支え支えられた荷物を挟んでそれ以降何の言葉も交わされず二人だけの時間が過ぎていった。



「ちょっと……その道具が必要だから、早く運んでくださらないかしら!んもぉ、忙しいんだからぼさっとしないで欲しいんだけど!?」



そんな口調だが、笑って怒るエレーナの言葉に二人は自分たちの思考から現実に引き戻される。



「ぷっ!」


「ふふっ!」



ハルナとマーホンは、改めてお互の顔を見て堪えきれずに笑い出す。



「じゃあこれは、私が持っていきますね?」


「はい、お願いします。ハルナさま!」



そこから二人は、また今までと同じように一緒に過ごすことができた。

その夜、ステイビルも含めハルナは二人に詫びて、同じように二人はハルナに謝罪した。


その後、お互いが“気にしないでこちらが悪かったのだから……”と付け足した。









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