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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第四章  【ソイランド】

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4-122 背景







メイヤは、ソフィーネが自分の言葉に感情を停止させてその身を守っていることに、自分の推測が正しいと確信を得た。

これは今までメイヤがソフィーネを育ててきたからこそ、その後ろにあるものを感じ取ることができた。

いや、メイヤであれば、ほとんどの者の感情を読み取ることが可能だろう。

メイヤもマイヤもその部分が得意なために、諜報員としての働きで成果を出し続けることができた。



メイヤはその態度に、ほっとした。

この場でソフィーネを殺さなくても済むことに……



「やっぱり何か吹き込まれたのね……ほんと、そういうところの脇が甘いというかなんて言うか」



ソフィーネの殺気浴びながらも、メイヤは呆れた態度でこの場に立つ。

ハルナの心配を他所に、メイヤはソフィーネに気軽に近づいていく。



メリルは建物の中から不用意に近付いてくるメイヤの行動を制止しようとする。



「と……止まってください!!」



だが、メイヤは止まることなく建物の外に向かって歩みを進める。

その歩みを止めるために、メリルは用意をしていた氷の礫をメイヤに対して打ち込んだ。



メイヤは、それを避けることはしない。

全て見切り、上半身を覆う布の下で当たっても致命的なダメージを受けない程に、力を一部に込めたり身体の角度を変えて勢いを逃し殺していく。



メリルはそれ以上何もせず、自分の横を通り過ぎるメイヤを驚きの顔で見つめている。




「メイヤさん……傷は!?」



ハルナは遮っていたソフィーネの身体を避け、前に進んでメリルから受けた攻撃の心配をする。

メイヤはハルナに掌を向けて、ハルナの行動を制した。

併せて、問題がないことも意味も含めて返した。


メイヤは腕を組み、上司が失敗をした部下を叱るようにソフィーネの前に立つ。





「まったく……一体、何を吹き込まれたのかしらね……きっとこういうことじゃないかしら?」





そう告げてメイヤは自分が頭の中で思い描いていた、ソフィーネの身に起きたと思われる状況をソフィーネだけでなく、ハルナとメリルにも聞かせた。




砂漠の建物の近くで、ソフィーネはコルムを追跡している間に何者かによって拘束されてしまった。

だがそれは、ソフィーネの判断で”ワザと”捕まったのだと。


当然相手も、その可能性も考慮していたはず。

ソフィーネはそこから抜け出す術と力を有している、こんな簡単に捕らえられる相手ではないと知っていた。

あのランジェと同じ王国の諜報員は、こんなにもぬるい相手ではないと。


ソフィーネをさらった人物の正体はあのランジェともかかわりのあったダークエルフだと睨んでいる。

ハルナから聞いたソフィーネが捕えられた方法は、ブンデルの持つ魔法と似ていた。

ダークエルフはランジェという有能な部下がいなくなり、その補充を考えていたのではないかとメイヤは考えた。



そこから相手は、ソフィーネに揺さぶりをかけたのだろう。

まずは、「メイヤが裏切っている可能性がある」とでもいったのだろうか。

ガラヌコアの途中の建物への突入も、警備兵たちとの暴動もうまくかみ合いメリルを救出できたのは初めからそのようになっていたのだと。


しかし、それだけではソフィーネの気持ちを変えることはできないだろうと判断しただろう。

ランジェの誘いにも乗ってこなかったソフィーネだから。



そのためにソフィーネを惑わす情報も手にしていた。



それは、ソフィーネの妹……ミーチェの情報だった。




その売買を管理していたのは、この組織だったためソフィーネが長年探していた情報を提供すると告げられた。

そこから、自分たちの味方になればさらに情報を分け与えることも可能であると言われていた。。



冷静に見え、すぐに感情的になってしまうソフィーネは、何度もメイヤとマイヤに指摘をされていた。

今のソフィーネの冷静さは、メイヤとマイヤなど生まれ持った気質ではなく訓練によって獲得したものだ。

少し壁に亀裂を入れてしまえば、後は水を流し込むだけで浸食して崩壊していく。





ここまでの推測はメイヤが聞いていたかのように当たっていた。

最終的にソフィーネは草の檻から何もせずに解放され、この場所に向かってくるメイヤにその事実を確認するように告げてダークエルフは姿を消した。











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