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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第四章  【ソイランド】

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4-100 砂漠の施設14







「ソフィーネさん!!」



逃げた男のことを気にして、ハルナは声を上げた。

だが、その反対にソフィーネは落ち着いた様子だった。



「安心してください、ハルナさん。もうあの男には用はありませんから……それより今はどういう状況なのですか?」



ソフィーネは、割り込んできて状況が読めていない警備兵に対して声をかけた。

しかし警備兵は、ソフィーネに問いかけられたことよりも自分たちで現場の状況を整理しようと必死だった。




「お前は……シーモ。なぜ、ここにいる?先ほどの者は”コルム”だな?そして……お前たちは何者だ?何故こんなところにいる!?」



この警備兵は、シーモと先ほどの男のことをコルムという名であることを知っていた。

そのため建物で働いていた警備兵と判断し、ソフィーネは身元を明かし情報提供を求めることにした。


「私たちは、ステイビル王子と共に王選の旅をしているソフィーネといいます。王子の命令で、この場所を調査しています……今何が起きているのですか?」



そういいつつ、ソフィーネは自分の持つ諜報員として渡されている身分を証明する鞘に王国の紋章が刻まれた短剣を見せる。

警備兵はその紋章が本物であることを確認し、ソフィーネの質問に答える。



「失礼しました!ただいま、べラルド様の命令により裏切った不穏分子を制圧中です!」




「裏切者……がいるってこと?」



「はい、その通りです!後ろにいるシーモも重要人物として捕らえるように命令が出ておりまして……我々に引き渡し願えますでしょうか?あとはこちらで”処理”しておきますので」




「い、嫌だ!俺は行きたくない!……なぁ、あんた達強いんだろ?俺を助けくれよ!?」




シーモは、ハルナの後ろから警備兵の申し出を拒否してもらうように頼む。

ハルナは、本当にシーモを警備兵に預けていいか分からなかった。

それに、逃げたコルムという男のことも気になっているし、あの男の話もどこまで信用していいか分からない。


「あの……すみません。この方は、私たちが預からせて頂きます」



「な……何を仰ってるのですか?その者は」



「いま、この状況で信用できる方が少ないのです。あなた方はこの人たちのことを悪く言い、この人たちはアナタたちのことを悪く言っています。ですから、状況が落ち着くまでは、シーモさんの身柄は私たちが預からせて頂きます……いいですよね?」




ハルナは、ソフィーネの顔を見てこの判断を伺う。

ソフィーネは、まるで問題がないとハルナに笑顔で頷き返す。



「わ……わかりました。で、ではこの騒動が終わったら引き渡して頂くようお願いします。重要人物なので、扱いには気を付けていただくようお願いします」



そういうと、警備兵は他の場所に向かって歩き出した。




「それでは、私たちも中を進みましょう。べラルドを止めなければなりませんし、メリル様が売られてしまうことにならないようにしなければなりませんから」



二人は、ソフィーネの言葉に同意する。


「あ、ちょっと待ってくれ」



ハルナたちは、シーモの言葉に立ち止まり振り返る。




シーモは再びロイの前で手を組んで、祈りをささげる。



「……悪かった。俺がこの中を案内しよう。助けてくれたお礼だ、少しくらいは協力させてもらう」




ハルナは、笑顔でシーモからの申し出を受け入れた。













「……はぁ!……はぁ!」



コルムは廊下を走る。

時々逃げようとした扉の先から、小競り合いの音が聞こえると別な通路を選択して進んでいく。

この屋敷は、迷路のように部屋に見せかけた扉や、トラップが仕掛けられている。

隣の部屋に行くには一度階を上って降りてくる必要があったり、ある部屋に入らなければ目的の場所まで続かない通路がいくつもある。

普通の部屋には窓はなく、部屋から外に逃げ出すこともできない。

窓から逃げ出すためには、これも複雑なルートを通って数少ない窓のある部屋まで移動しなければならなかった。


この建物に入るには、構造を理解していないと自由に動き回ることさえできない。

情報漏洩を防ぐために地図はなく、頭の中で記憶していく必要があった。



「……っと、逃げる前にアレ持ってかねーと」




コルムの言うアレとは、粉を作る際に必要となる液体がある。

これがないと、花粉は化学反応を起こさず麻薬の効果が出ないとのことだった。

その製法はロイとシーモしかわからないが、ほんの一滴をたらせば大きな袋一つ分の化学反応が起こせるため、逃げた後にシーモを捕まえて聞き出せばいいとコルムは考えていた。




「……確か、ここだよな」



ある扉を開くと、その先に空間はなく壁があった。

コルムは壁に手を当て、壁を作るブロックを探る。

そして、あるブロックを指で押すと奥に引っ込んでいった。

同じくほかのブロックを手で探り、八個のブロックを決められた順番に押し込む。


コルムは押し込んだブロックに指を入れ、横にスライドさせる。

すると、壁が横にずれ奥に部屋が現れた。



「――誰だ!!」



誰もいないはずの部屋には、すでに数人の人影が見えた。





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