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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第四章  【ソイランド】

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4-90 砂漠の施設4







ハルナとソフィーネはメイヤと別れ、更に建物の壁を伝い周囲を調べていく。

メイヤはメリルの救出を、ハルナとソフィーネはこの建物で起きていると思われる争いの混乱に紛れ込み制圧をするために。

中の状況や建物の大きさから推測し、二十名程度の人数がこの中にいるとメイヤとソフィーネは判断した。

その人数がどのような割合で小競り合いを起しているかは判らないが、ハルナとフウカ、ソフィーネがいればこの人数でも問題はないと役割を分担した。


最初は緊張していたハルナも、この状況に順応してきた様子で落ち着きが見え始めた。

気持ちが落ち着くと、周囲の状況も頭の中に入ってくるようになった。

風の音、金属をぶつけ合う音、焼けた臭い、怒鳴り合う声……そこから脳裏に描かれていく建物内部の状況。

周りが見えていくにつれ、ハルナの気持ちは未知の恐怖から解放されていった。

と同時に、自分のやるべきことに対して冷静に判断ができるようになっていく。



ハルナたちは最初の位置から四分の三周し、突入できる扉を見つけた。

ソフィーネは扉の取っ手に手をかけ、扉に耳を当てその先の様子を伺う。

音は聞こえるが、この扉を開けた部屋の音ではなく、さらに奥の部屋から物音が聞こえてきていた。



ソフィーネはハルナに合図をして、突入する準備をするように告げる。

ハルナの後方に、見えない空気の塊が浮かび上がらせ防御と攻撃に対して備える。

準備が整うと、ハルナはソフィーネに向かって頷いて見せた。

ソフィーネもハルナに対し頷き返し、掌を広げて指を一本ずつ折り始める……突入のタイミングをカウントダウンする。



(四……三……二……一……)




――ガチャ!



ソフィーネは扉を開けて、中に侵入した。

そこは明かりがついた部屋の中だが、誰一人としてこの場にはいなかった。


数秒ほど遅らせて、ハルナが後方を気にしながらソフィーネの後に続く。

何の合図もなかったため、問題ないと判断しハルナも突入した。

ハルナも辺りを見回し、この状況を確認する。


薄暗い部屋の中、テーブルの上には飲みかけのグラスとコイン、散らばったカードゲームと燃え尽きかけているがまだ煙が出た火の点いたままのタバコが灰皿の中にあった。




「よっぽど急いでたような……感じかな?」




ハルナはこの現状を見たままの感想を口にし、ソフィーネも同じ考えであることを告げる。



「だからこそ、この騒動は仲間内で突発的に起きたものなのでしょうね」


ソフィーネは何か、手掛かりになるようなものがないか部屋の中を見て回る。

だがここには目ぼしいものは何もなく、床にはゴミが散らばっていた。




「――ハルナさん!!」



ソフィーネはハルナの腕を引き、入ってきた場所とは違うもう一つの扉から距離を取らせ、テーブルを挟んで部屋の奥に立たせる。

ソフィーネは扉の横に立ちこの部屋に急いで近付いてくる足跡に警戒をする。

ハルナはその足音がこの部屋を通り過ぎてくれることを期待したが、その足音の目的の場所はこの部屋だった。



――バン!!



勢いよく扉は開くが、その男は横を向き後ろを気にしている。

そのまま、部屋の中に入り扉を閉めた。




「ちっ!警備兵のやつら……調子に乗りやがっ……ごもっ!?」



男は後ろから何者かに襲い掛かられた。

メイヤは掌に布を巻き、それをそのまま男の口に当て塞いだ。

これで噛みつかれても、メイヤの手に被害はない。


反対の手には短剣が握られ、その刃は男の喉に押し当てられ少しでもその刃が横にスライドすれば男の皮膚は切れてしまう状態だ。



男は微動だにせず、自分の生殺与奪の判断を背後にいる相手に委ねた。



後ろに引っ張られるような感覚があり、逆らわずに後ろに数歩下がって閉めた扉から手を離した。




「……声を出すな。騒いだら殺す」




男はその声に驚いた……自分の命を握るのは女だったことに。

だが、ここは従うべきと男は無言で数回頷いた。



「よし……後ろに手を回せ」



素直に従い、男は横から手を降ろして背中に回す。

だが、その軌道上で相手の正体を探るべく身体に触れようとしたが上手く躱されたのか身体の位置が悪かったのか触れることはできなかった。



ソフィーネはハルナに指示をし、男の手首をひもで結ぶように目で合図をする。

男の手はハルナによって自由を奪わた。



男は後ろから膝を曲げられ、勢いよく地面に崩れ落ちる。

床に打ち付けた膝の痛みよりも、喉もとに当てられた刃によって切れていないことにホッとした。


だが自分の身に迫る危険はまだ、解消されていないことを思い出す。

再び、襲った女の声が自分に命令をした。



「さて、少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」








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