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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第四章  【ソイランド】

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4-82 指令本部での攻防11






クリミオたちは、その日からベルの情報を探し集めていった。

しかし、町の外で生きているクリミオたちにはなかなか町の中の情報は集めにくく、苦労を重ねていく。

そこから、攻撃的な交渉だけでなく、相手に甘い誘惑を与えて取引することも覚えた。


その手段を用いてから、様々な情報がクリミオの元に集まってくる。

本当のこと、嘘のこと、関係のあること、関係のないこと……様々な情報を集め、つなぎ合わせ、取捨選択をし、それらを交渉武器や情報商品として変えていった。



クリミオはそのことが評価され、組織の中でも中堅の位置に就くことになった。

それからすぐ、クリミオの元に様々な情報が集まり増えていく。


そこで手に入れたのは、警備兵の”襲撃作戦”。


これがチャンスと感じたクリミオは、警備兵の中で贔屓にしている”顧客”に取り持ってもらい町の中へ入ることに成功した。


廃墟の中は、自分が所属している集団の者も滞在しており、その情報は入ってきていた。

その情報を元に、クリミオは警備兵の総司令官であるべラルドと接触する。


クリミオは警備兵との争いを、最小限で抑えるべく廃墟の情報をべラルドに渡した。

そして、抵抗勢力にも最小限の情報だけを渡し、こちらにも最小限の被害で済むように手配をする。

その中にはクリミオたちのやり方をよく思っていない者もいた。

そういう者は、クリミオたちの警告を信じないか、裏切り攻撃を仕掛けてくる警備兵に一泡吹かせようと考えている者たちもいた。


それならばそれで、クリミオは助けることはしないだけだった。

クリミオはあの激動を生き延び、べラルドにも利益が生まれるように手配を尽くした。

そこから、クリミオはべラルドに近付くことができ、若くして良く頭が回る者と、警備兵の中に取り入ってもらうことが出来た。



そのおかげもあり、クリミオはベルの情報を町の中や警備兵の中でも探すことが出来た。

そこで手に入れられた情報は、女性を買っていた警備兵はべラルドの父であるアブダルであることがわかった。

だが、そんな人身売買の資料など人の記憶以外残っているはずもなく、連れてこられた女性は複数人いることだけがわかった。

そして、その中に”ベル”という名の女性は記憶に持つものはいなかった。


この町に来ていることは確かなようだが、その名だけが途中で途切れた糸のように繋がらない。

しかし、クリミオはあきらめなかった。

この町で切れた糸の先を見つける……そう誓いその間べラルドに協力することにした。

それがこの町で生きるために必要なことだと、クリミオの鼻は告げていた。














「そうか……それが、お前の力の根源か……それで、いまもその者の消息はつかめていないのか?」



「はい……何か聞いたことはありませんか?何でもいいんです!?」




クリミオの口調は先ほどまでと違いおとなしくなり、グラムを格上と判断し丁寧な言葉で答える。

実力で負け、人としての器にも追いついていないと感じたクリミオは、グラムに対し自然とそのような対応をとった。

そのままクリミオは、過去の記憶を探っているグラムの様子を見守る……有意義な情報を期待しながら。

しかし、返ってきた答えは想像していても、辛い回答だった。



「すまん……その名には記憶がない……」




クリミオはその答えに、肩を落とす。

今まで随分と話を聞いてきたが、情報元となる人材も底を突いていた。

グラムのように昔からいた警備兵の人物は既に少ない、だからこそ違う情報を持つ人物や新しく出会える者も少なくなっていた。

だからこそ、グラムには期待していた……だが、結果は何も変わらなかった。

新しい情報がでない今は、これ以上の追跡が難しい。


自分たちの身よりも、情報が得られないことの方が痛みを強く感じた。

クリミオは胸元を掴み、苦しそうにうずくまった。




「だがな……そのアブダルに連れてこられてたと思われる女性たちについては少し心当たりがあるぞ」








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