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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第四章  【ソイランド】

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4-46 手紙





グラムは町を出ることもできないため、これ以上メリルの消息を追うことができなかった。

グラム自身、この町の中で廃墟の中に閉じ込められ、行動を封じられているようなものだった。

だが、グラムはできる限りの行動を取り、情報を集め、仲間を増やし、来るべき日に備え続けていた。



チェイルもグラムの協力者の一人となる。



グラムは、ブロードからユウタの居場所を聞き面会をした。

その話を聞いていたチェイルは、グラムの力になりたいと言った。



チェイルには一人の兄がいた。

親がいないため、兄弟二人で生活をしていた。

だが、兄はある日チェイルの元に帰ってこなくなる……魔物襲撃事件によって。


チェイルの兄は、新米警備兵としてグラムの下で働いていた。

あの日の襲撃で、半数近い命を落とした部下の中にチェイルの兄がいた。

魔物の大群には、新米警備兵では成す術もなく魔物たちの餌食となってしまっていた。





その話を聞いたグラムは、チェイルに戦闘の技術を教えることにした。

今までは、この町の住民らしく盗みや廃棄物を漁るだけの生活だったこの子たちの将来のためにもと、グラムもできる限りのことを伝えようと決めた。


しかもチェイルは、自分の妹ではない小さな女の子も守っているという。

”いつかこの町の体制が変った時には、この子たちにも良い未来を創ってあげたい……”

グラムはそう誓い、折れかかった心を奮い立たせた。





その話を聞いたハルナは、チェイルの顔を見る。

視線を送られたチェイルは、耳を真っ赤にし下にうつむく。

チェイルもクリアのことを、自分の妹のように感じていた。


チェイルも自分の兄から受けた愛情を、そのままクリアに注ぐとそう決めていた。




サナは、自分の腕の中で安らかな寝顔のクリアの前髪をそっとかき分けた。

いままでの苦労が報われる日が来るように、精霊の加護が受けれるようにと小さな子供に祈りを捧げた。

その隣で、ブンデルも同じく森の神に守られるようにと祈りをささげている。



その様子を見たステイビルが、ソフィーネに声を掛ける。



「……ソフィーネ」



「畏まりました。外で待つメイヤに、町の外の状況を調べさせてきます」



ソフィーネの言葉にステイビルは頷いて見せた、何も言わなくてもステイビルの気持ちは伝わっていた。




「それで……グラム。いま周りには、どのくらいの味方がいるのだ?」



「はい。現在、十数名の仲間がこの廃墟の中で身を潜めております。その者たちは警備兵で、あの襲撃事件をも生き延びた者たちです」




その中に裏切り者はいないか問い質そうとしたが、今ここで行うべき作業では無いと判断し、その言葉を飲み込んだ。




「まずは、メイヤに探らせてみるか……」



ステイビルは、知っている。

メイヤ程の諜報員でも、ソイランド周辺の情報を持っていないということは、かなりの力によって情報が隠蔽されている可能性が高い。

そんな中にメイヤ一人で捜索させるには気が引けるが、数人で行動するよりは一人で動いた方が身軽であることも確かだった。

だが、今の状況はかなりステイビルたちにとっては不利な状態である。

この大きな壁に亀裂を入れて、崩壊させるにはどのような手が必要か……ステイビルは頭の中を巡らせる。

しかし、どう考えても抵抗する戦力が少なすぎた。



そんな中、ステイビルはある存在を思い出した。

その存在は、いつも一緒で似ているようで別な存在……もう一人の自分。





「グラム殿……キャスメルもこの町に立ち寄ったとパイン殿から聞いている。何か知っているか?」



「キャスメル様が!?……いえ、私は何も存じ上げておりませ」



その言葉に被せるように、チェイルが思い出したように話を割り込ませた。




「あぁ、そう言えばグラムさんを尋ねてきた方がいました。……ですが、その時は見張られており、グラムさんと連絡が取れない状態でしたので……それで……あの」




今まで用事が思い出せなかったことを恥じたのか、チェイルは焦って言葉を繋げようとする。

ステイビルが落ち着かせるように、ゆったりとした声でチェイルに話しかけた。




「落ち着くんだ……チェイル。それで、グラム殿に誰から用事があったんだ?」




ステイビルの一言で正気を取り戻したチェイルは、預かっていた物を腰に付けたバックから取り出す。

その手に取り出したものは、蝋で固められた封がしてある一通の封筒だった。


封筒を手渡されたグラムは、その外見を見る。

チェイルの汚れた手の痕が、綺麗な封筒の様々なところに見受けられる。

だが、中身には何の問題もないため、気にはならなかった。



ステイビルは封筒を開けるために、腰に付けたダガーを抜き持ち手を向けてグラムに渡した。

グラムはステイビルに礼を言って、ダガーを手に取る。

取っ手には王国の金貨がはめ込まれ、その円の中には大精霊の姿が描かれている。



グラムは切っ先を使って封筒を開封する。

中から四つ折りに畳まれた用紙を取り出し、開かれないようにと折りたたんだ辺に付けられていた蝋を爪で削り取り中を開く。





「……」




グラムは目を横に滑らせ、文字を追っていく。

読み終えた、手紙をステイビルに差し出した。






「ステイビル様……ロースト家の”カルディ様”からです」










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