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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第四章  【ソイランド】

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4-32 証拠隠滅






「メイヤさん!どうしたんですか?こんなところ……で……あ、ブンデルさん、サナさん!?」



ハルナとエレーナは、いなくなっていた二人の姿をメイヤの後ろ側に見つけた。

二人には、軽くはない暴行を受けたような傷が見られた。

さらにその後ろには、見覚えのあるブンデルの魔法で縛られている意識を失った状態の数人の男たちの姿も目に入った。


これらの状態から察するに、”ブンデルとサナが何らかのトラブルに巻き込まれ、メイヤが二人を助け出してくれた”というストーリーに繋げるのは容易だった。




メイヤはブンデルの誘導に従い、本来自分たちが運ばれるはずの道具だった馬車を借り、ハルナたちと合流することができた。

ブンデルは、単独行動をとり騒ぎを起こしてしまったことをステイビルに詫びた。

その横でサナも一緒に、ステイビルに謝っている。


ステイビルは、とにかく二人が無事でよかったことを感謝した。

二人の傷を、一日に三回しか使えないサナの”ヒール”で回復してもらい何が起きたのかを聞きたいと言った。

勿論、男たちは意識を失っているが、誰がヒールを使ったのかはわからないようにして。




ステイビルはメイヤに感謝の言葉を告げ、ブンデルたちの身に何が起きたのかを訪ねた。

ブンデルは襲撃した建物の地下に隠し部屋が会ったことと、警備兵に捕らえられていたこの男たちが”何らかの理由”によりすぐに釈放されていた事実を告げた。




「やはりか……」



「え?ステイビルさん……”やはり”って……」



「ん?……あぁ。詳しいことは後で話すが……この町の状況を察するに、この町を治める者が腐敗している可能性が高いな」




サナは、ステイビルの言葉に引っ掛かるところはあったが、今回は自分とブンデルが迷惑をかけてしまったため、今はこれ以上のことを追及することは止めておいた。

ブンデルはさらに、捕まった後のことも話した。

自分たちは、この身を売られそうになっていたこと。ブンデルとサナのどちらかが、回復魔法を使えることを知っていたこと。



「……なんだか、もう買い手も決まっていたような話し方でしたね。それに……」



ブンデルは自分の身体がオモチャにされそうになったことを、悍ましさに苦しみながらステイビルたちに伝える。

だが、そのことは人身売買の話が出たことから、ステイビルたちにはなんとなくわかっていた。



「そういえば、ブンデルさんとサナさんがいてよく拘束できたわよね?そんなに強い……っていうようにも見えないんだけど」




エレーナは、縛られた男たちの姿と装備を比較して感想を述べる。

サナも護身のために、格闘の訓練は行っていた。

一人では四人の相手はできないだろうが、近くに魔法使いで弓の名手のエルフがいたのだ。

腕力だけのチンピラのような者たちに、そう簡単にやられるようなタマではないとエレーナは不思議に感じた。


その言葉を切っ掛けに、ブンデルから新しい情報が引き出された。





「こいつら、変な粉を使ったんですよ。確か……なんとかアイスって」



「”クラッシュアイス”……ですか?」



「そう、それです!」





メイヤの出した単語が正解だと、ブンデルは反応を見せた。

続けてブンデルは、その時自分の身に起きたことを説明し、サナもその話に同意する。




「確かあれは……」




ソフィーネが、クラッシュアイスを使用したときの効果についての情報を伝える。

そこからブンデルが使用された花粉の量が、相当の量だったことを伺わせる。




「……裏の取引では、少量でも高価で銀貨五枚はくだらないと聞いています」




銀貨五枚は、いまステイビルたちが宿泊で使用している宿が一人銀貨一枚の価格。

もっと安い宿もあるが、危険性を考慮し高めの宿に宿泊している。

銀貨五枚で高揚感が得られる量で、数回分は使用できるというが決して安いものではない。



「それを惜しみなく使うということは、緊急時用に持たされていた可能性があり……」


「あの場所が、それほど重要な拠点って言うことですか?」




ステイビルの言葉をアルベルトが引き継ぎ、その言葉が正しかったと頷く。





「今から……いきますか?」



「いや、既に異変を知られたと思った方がいいな……今動くのは危険だそれよりも、捕らえた者たちをどうするか……」



「え?警備兵に預けないのですか?」





ハルナが不思議そうにステイビルに尋ねると、本人が答えるよりも早くエレーナがハルナに告げる。





「さっき、この町の警備兵も怪しいって言ったばかりじゃないの!?」



「……そういうことだ、ハルナ。この町で我々の信頼がおける者が少ないということなんだ」



「それじゃあ、どうやって……王国から警備兵を呼ぶんですか?」



「それも難しいだろうな……この町で起きたことは、基本的にこの町で解決するように法律で決められている。中央が手を出せるのは、その町から要請を受けて初めて動き出せるのだ」





そういってステイビルは腕を組んで目を閉じて考えを巡らせる。

その時、外から慌ただしい声が聞こえてきた。




「――火事だ!誰か手伝ってくれ!火事だ!!」




ハルナたちが窓から赤く燃える炎の上部が見える。





「あれって、逃げてきた建物のほうじゃない!?」










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