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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-238 東の王国42



エイミとセイラは、机の上に並べられた料理を全て空にした。

やや多いかと思ったが、食べ始めてみるとその味にどんどん口の中に収まっていった。

一杯になったお腹を満足そうに擦ると、空になったお皿はお世話をしてくれる一人の素敵なメイドによって下げられていった。


「はぁー……とっても美味しかったです!」

「ほんと、場所が違うとこうまで味が変わるものね」


二人は自分たちが食事の手伝いをしなくていいことや、片付けまでもやってもらえることに最初は罪悪感を感じていた。

その様子に気付いたのか、メイドは二人にリラックスするように伝えた。

二人に対する言葉も当初あったときの刺々しさはなく、ダメな主人を優しく導くようなそんな優しさだった。


「……ところで、本日はどのようにお過ごしになられるのですか?」


メイドは、食後の熱い紅茶をカップに注ぎながらエイミたちに問いかけた。


「そうね……どうする?エイミ」

「どうせなら、村の中歩いてみない?私たちの村にないものもあるかもしれないし」


メイドは二人の前に注いだ紅茶のカップを置き、そのセイラの意見に賛成した。


「それはいいお考えですわね、ぜひこの村の中を散策なさるとよろしいですわ」


メイドはお茶を配り終えたトレーを、前に抱え二人に対してできる限りの笑顔で応えた。

しかし、エイミの顔は紅茶の良い香りに包まれながらも、眉間に皺が寄ったままになっていた。

その顔を見てメイドは、エイミに問いかけた。


「……あら、エイミ様。どうなさいましたか?何かお困りごとでも?」

「えぇ……こんなに広い村、迷ってしまわないかなって」

「大丈夫よ!……きっと……あー、たぶん」


セイラも、自分たちの方向音痴っぷりを思い出した。

最近では新しい場所に行くことが滅多になかったため、自分たちの特性を忘れてしまっていた。

必ずと言っていいほど、新しい場所に二人だけで出かけた時は迷子になっていた。

だから、いつも新しい場所に向かう時は、サミュに付き添ってもらっていた。

ある程度慣れてくれば、二人でも自由に出歩けるようにはなる。

今日は、エンテリアもブランビートも今まで討伐で出ていたため、村での本来の仕事が山積みになっていた。

時々は様子を見に来てくれるとは言っていたが、仕事の邪魔をするのも気が引けている。

そのために、いつも村長の傍にいるメイドを付けてくれているのだ。


「あ、そうだ。今日、一緒に村を案内してくれませんか!?」


エイミは、メイドに対してお願いをする。

自分たちのために一緒に居てくれる方なら、外に出るときも一緒に案内をしてくれるのではないかという淡い期待を抱いていた。


「申し訳ございません、エイミ様。他にも勤めがございまして……」


その態度は最初の頃に感じた、やや冷たいと思われる口調でエイミの依頼を辞退する。


「そ……そうですよね?すみません……ご無理を言って」

「いえ、大丈夫です。お気になさらずに」


その冷たい口調は、エイミのメイドの仕事を考慮しない厚かましい依頼に対してだと思った。

しかし本当は、一緒に村を歩きたかったが他の仕事があり付いて行くことができないことに対する残念な気持ちを理性で抑えていた結果だった。

だが、頼られたことに対し何もできないのは、村長つきのメイドとして名が廃る。

メイドは、後ろで結んであったポニーテールに巻いていたリボンを解いて手渡した。


「エイミ様、これをお持ちください」

「……これは?」


そのリボンのアクセサリーも特殊な石でできた飾りがついている。


「これは、この村に仕える証の石です。エイミ様とセイラ様は来賓として滞在されております。この石を見せれば、この村の者たちは村長の関係者とわかるでしょうから迷った時でも案内してもらえると思います」

「いいんですか?そんな大切なものをお借りして……」

「はい、大丈夫です。これがあれば、村の者達も信用してくれますので、どうぞお持ちください」

「有難うございます!!」


エイミは、メイドの手を取り感謝の気持ちを伝える。


――ドキ!!!


メイドの脈が一つだけ大きく波を打った、そして顔に血が上っていくことを感じ頬と耳が真っ赤に染まった。


「い、いえ!?大丈夫です!!!」


無理に手を離すことはできず、ずっとエイミの手のぬくもりを感じていた。


「そういえば、お名前をお伺いしていませんでしたね?」

「め、メイドである私の名前など……覚えていただくほどでは……」


手を握ったまま視線を外すことも出来ず、恐れ多いと名前を告げることを拒否する。


「でも、お呼びするときに”あのー”とか”すみません”とかばかりだと声を掛け辛い……よね?」


エイミはセイラに同意を求め顔を向けると、ウンウンと頷いて見せる。

再びエイミは目の前のメイドに目を向けて、名前を聞き出そうとした。


「わ……私は”マリアリス”ともうします。”マリー”とお呼びいただければ」

「わかりました!マリーさん、これお借りしますね!」


そうしてエイミは、マリーから借りたリボンを手首に巻き付け村の中の散策を開始した。




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