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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-232 東の王国36



「な……なるほど。その国というものになれば、住民の安全や衣食住の水準が高くなる……そういうわけですな?」

「はい、そうなると考えております」


村長の質問に、ブランビートは間違いではないことを返答をする。

今この場所には、村長、その娘二人とエンテリアとブランビートがいる。

国を作る案の説明を、村長に行っていた。

昨日の内容の話し合いの場を設けて欲しいと、ブランビートはセイラに伝えていた。

昨夜の夕食の後、二人は家の外に場所を借りて泊めさせてもらっていた。

簡易テントを用意していたので、その場所を借りていた。

本当は家の中で休むように二人の母親に勧められていたが、エンテリアとブランビートはそれを断り外で眠ることにした。

緊張で眠れはしなかったが、それは問題にならなかった。一晩中、今日の話し合いの内容を二人で精査していた。

その様子を窓の外から見ていた、エイミとセイラも明け方になるまで眠れないでいた。

そのため、二人は朝食の準備を母親一人でさせてしまったために怒られる羽目になってしまった。

外にいるエンテリアたちを呼んで朝食にした際、村長は真っ先に昨日お酒に酔ってしまった失態ともいえない失態を二人に詫びた。

そのことは全く問題がないことを告げた後、それをきっかけに朝食までいただくことに感謝の言葉を告げた。

そして、お酒の入っていた昨夜とは違う雰囲気の食事を楽しんだ。

一通りの食事が終わり、村長がこれからの行動をエンテリアたちに聞いた。

そのタイミングをチャンスと考え、セイラは二人が答えるよりも早く答えた。


「お父様……聞いて欲しいお話があるの」


その言葉に村長は、大きく心臓が拍動し心拍数が上がっていくのを感じる。


(はな・・・し?ま、まさか……一晩で!?)

「ん!?……は、話だと?……な、何かな?」


気を落ち着かせるために、目の前に置いてあった食後の茶を持つ。その表面は細かく波立っていた。


「ブランビートさん……」

「……はい」


セイラは、ブランビートに発言を引き継いでもらうために目で合図を送る。

ブランビートも、その合図にうなずいてその口から言葉を発しようとしたその時……

村長は、娘から引き継がれた目の前の男性を見る。

その目は真っ赤になり、今にも溜まった涙が零れ落ちそうだった。


「……ちょっと、お父様!どうしたのどこか具合が……!?」


――バン!


エイミの言葉に、村長はテーブルに手を付き頭を下げる。


「娘を……セイラをどうか、幸せにしてあげてください!!」

「「はあぁぁ!?」」


驚いて変な声を上げてしまう二人の娘は、耳も顔も真っ赤にして父親の姿を見る。


「ちょっ……おとう……ゴホン……いや、村長様!?お顔を上げてください、誤解をなさっているようですので!?」


その場が落ち着きを取り戻し、セイラは全員の冷めたお茶を淹れ直して回る。


「す、すまなかった……ちょっとだけ、早とちりしてしまったようだ……ははっは!?」


父親の乾いた笑いに、娘二人は無言の冷たい態度で応える。

エンテリアもブランビートも、その空気にどうしていいか判らず必死に笑顔を崩さない様にしていた。

村長の威厳を保つためにも、村長側からの発言で話を進めていきたかったが、娘二人の態度が堪えているのかその気配は感じられなかった。

ブランビートは作り笑顔のまま、話を切り出す。


「……コホン。では、先ほどのお話ですが……これは現段階では協力者を集めている段階ですので、ご意見をお聞かせいただければと思います」

「あ、あぁ。お願いします……」


村長の頼りない返事を受け、ブランビートは建国に関する案を話し始める。

最初の建国という言葉に対しては、驚きの表情を見せたが、先ほどの恥ずかしさの方が勝っていたらしくそれ程の動揺は見せなかった。

そこから緩い表情で耳を傾けていた村長も、話の内容が深まっていくにつれ村を纏める長の顔付になっていく。

そんな空気に引っ張られるように、ブランビートも取り繕う笑顔が薄れていき、村を代表して交渉に挑む者の真剣な表情に変わっていく。

そして、昨晩エンテリアと一緒に考えた案の説明を一通り終える。


「な……なるほど。その国というものになれば、住民の安全や衣食住の水準が高くなる……そういうわけですな?」

「はい、そうなると考えております」


村長は、腕を組み思考を巡らせる。

国を作るには、この村以外にある近隣の二つの村にも声を掛ける予定とのこと。

生活が豊かになるのは魅力的であったが、そう全てがうまくいくとは限らない。

それに、人が集まればよからぬことを考え始める者もいる。

そのことに関してはこれから作る、法律というルールの内容が大きく左右するだろう。

しかも、そのルールは決して誰かだけが利を得るような内容では納得しないだろう。

でもそれはこれから作るため、如何様にもできる話だ。

それに、相手の村のこともよく分かっていない状態だ。

となれば、相手のことも知っておかなければならないと判断した。


「……そちらの村にお伺いしてもよろしいか?」


その問いに、エンテリアとブランビートは喜んで承諾した。




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