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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-231 東の王国35



「この剣と盾は、代々村に伝わってきたものなのです……」


二人は、自分の家に伝わってきた剣と盾について話し始めた。

それは、まだ村が集落だったころにとある男性の夢の中に竜が現れたという。

夢の中で村をいつか襲ってくる邪悪なものを遠ざけるために、この剣と盾を使って守るように言われた。

そして、その力に対抗できる者が出てくるように、人を集い力を集めるようにとのことだった。

目が覚めると実際に剣と盾が床に置いてあり、これは夢ではなく現実に起きたことであると認識した。

そこからその男は年月を重ね集落を村にし、村を守るために人材の育成や訓練などを行い、防衛力を高めることに費やした。

そして男はその行動力と統率力を評価され、村の長としてその任に就くことになり村の運営を行っていくことになった。

夢の中で与えられた剣と盾は、村長として村を束ねることのできる人材に託すことにした。

だが、そこでは剣と盾に認められた人物しか長になれないというルールを設けた。

それは人材の可能性を求めるために設けたのだが、その力を認められたものはなぜか村長の家系にしか認められることはなかった。

これに関しては、村の中から何度か不満が出ていた。

出来レースのようなものではないかという、村長の家族に対して不満を持つ者も出てきた。

そこは、実力でそういう意見を抑えてきた。

そういうことを何度か繰り返すことにより、今の体制に不満を持つ者も居なくなった。

いままで、この装備を使える人物は一世代の中で一人だけだったという。

歴史の中では、女性が認められることもあったという。

だが、それは不満を持つ者が居なくなった後のことだったのでそこまで戦闘能力に関しては問題視されることはなかった。

過去に発生することのなかった事例で例外であったのが、今回の件――双子が生まれた場合だった。

剣はエンテリア、盾はブランビートと認められた力がそれぞれによって異なっていた。

この問題に関しては、将来どちらかが村長としての役割に就く際にどちらがなるのかということを決めなければならないが、現在は認められている装備をそのまま二人に渡してあるのだった。


「へー……大変でしたね。それで今まであのトライアのような人物に襲われたりしたことはなかったんですか?」

「今回、あのような強敵に出会ったのはこれが初めてなのです。それまでは何とか、野生の動物や森に住むコボルドなどのアンデットくらいでしたからね。それとこの剣と盾に認められた時の不思議な反応は、光を発するだけでしたから、実際にはこんな力があるとは思っていませんでした……」

「それで、その代々そちらの村に伝わっているお告げというのは、今回のことだったのでしょうか……?」

「始めはそう思っていましたけどね、青の者は他にもまだ居そうなことを言ってましたよね……」

「そう言えば……」


トライアは誰かに、エイミたち精霊使いを攻撃するように”言われた”と言ってた。

……逆に言えば、そのことをトライアに命令した張本人が別にいるということでもある。

それがはっきりとしないうちは、この託された剣と盾の役目の終わりは訪れそうもない気がした。


「……そこで考えたことがあるんですが」


ブランビートが、神妙な顔つきで三人に話しかける。

その雰囲気を壊さない様に、三人はブランビートの顔を見つめ言葉を待つ。


「我々は合流して、国を興すのはどうだろうか?」

「国……ですか?」

「そうです、国です。今の村よりももっと大きな規模で運営していくのです!」


住民を一つにし、お互いが協力し合い生きていく。

人口が増えていくことになれば、経済や生産も発展する。


「そこで思ったのですが、精霊使いは誰にでもなれるものなのですか?」

「どうでしょう?なれるかもしれませんし……そうじゃないかも」


セイラは、恐る恐るブランビートの言葉に応えた。


「出来れば、その辺りも組織として体系化していきたいと考えています。兵士の方はその仕組みを考えてはいますが、精霊使いの方はお二方にお願いしたいと……」

「ちょっと待ってください!?そんな重要なこと、私たちじゃできませんよ!!」


セイラの言葉にエイミもうんうんと頷いている。


「結果お二人以外がその力を手にすることができないのであれば、それは仕方がないことでしょう。しかし村でもそうですが、国となると住民が増え、守る力も必要になってきます。単純な武力であれば問題ありませんが、魔物が今後増えてくることも考えられるでしょう。その時に、”精霊の力”はきっと必要になってくるはずなのです」


ブランビートの提案には納得できるものもある。

自分たちよりも上手に使える方法を編み出せる人物が出てくる可能性もある。

そうすれば、もっとこの力を有意義に使えるかもしれない……

だが、今ここで容易に決められることではないと判断し、それを伝えた。


「もちろんです。明日にでも村長にお話しさせて頂き、検討して頂ければと思っています」


ブランビートは明日、村長と話し合う機会を設けて欲しいとエイミとセイラにお願いをした。




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