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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-186 再びふもとへ



道中、情報共有のためそれぞれの戦った内容を確認し合った。

ブンデルは状況を説明し、マジックアローで止めを刺したことを伝える。

その最後の瞬間を遠くから見ていたハルナとエレーナは、ブンデルの放った魔法の威力の高さに驚いていた。


「あれは、合わせ技みたいなものでして……」


サイロンが亡くなった時に、不思議な魔力が流れ込みそれがマジックアローの効果に付与されたと考察していた。


「ということは、ブンデルさん……ライトニングとマジックアローの二つを習得したんですか?」


その場で見ていたサナが、ブンデルに問いかける。

ライトニングは、村長が使っていた魔法だった。

同一の家系でもあるため、使えるようになる可能性は十分ある。


「うーん……それが、良く分からないんだ。マジックアローの時は紙の裏に書かれていた術式が、そのまま頭に入ってきたって感じだったんだけど。今回の魔力は、”そのまま”の力が流れ込んできたからね。自分で何かをしたっていう意識は無いんだよ」

「であれば、村長さんがブンデルさんを助けたかったから、力を貸してくれたのかもしれませんね」


ハルナは故人のためにも、良いイメージとなるように気を使った。

そのことに関しては、ブンデルはまだ気持ちの整理がついていないようで作り笑いでハルナに返した。

ブンデルにとっては、急に両親や親族と呼べる存在が現れたのだから当然だろう。

いないと思っていた家族、ナンブルは優しく接してくれるがどう返していいのか判らない。

出発前の昨夜もナンブルに呼ばれ、一晩一緒に過ごした。

ナンブルは自分の息子に話しかけているが、その反応は全てサナ経由で返されることになっていた。

サナがナンブルに謝ると、ナンブルもわかっている様子でこちらこそ申し訳ないと二人で謝り合っていた。

溝が埋まるのはまだ時間がかかるため、ブンデルが一番信頼しているサナにこれからもよろしくと話していた。


次に、話題はハルナたちの方へと変わっていく。

最初はハルナとエレーナが二組に別れ、ソフィーネとアルベルトと一緒に対応していた。

ハルナとソフィーネの対応していたレッサーデーモンが、屋敷の方へ逃げたために追いかけていたところナンブルと合流。

屋敷の方はエルフの警備兵と合わせて対応するとのことで、ハルナとソフィーネはエレーナと共闘することになった。

合流後の戦力は、それでも五分五分に近い形で攻め切ることができなかった。

そこで状況が変わったのが、アルベルトの剣が折れてからだった。


「……あの時、ステイビル王子はどうしてあの刀を?」


不思議に思ったエレーナが、ステイビルに問う。

すると更に現実的なステイビルとは思えない、不思議な答えが返ってきた。


「うーん……なんて言えばいいのだろうな。あえてその理由をあげるなら”呼ばれたから”かな?」


ハルナはその言葉を聞き、頭にクエスチョンマークが浮かんだ。

そのまま聞くと、次のような状況だったらしい。

ハルナたちが飛び出した後、ゾンデルと村民への避難の指示や対応について話し合うためステイビルは屋敷に残っていた。

最悪、その二体のレッサーデーモンが囮の場合もあるということも考え、防衛戦力としての意味もあった。

だが、様子を見ても新しい襲撃の情報がないことと、屋敷に向かってきた一体のことを考え、ゾンデルと相談しハルナたちの援護に向かい一体ずつ確実に仕留めるということになった。

自分の部屋に一旦戻り、ステイビルは装備を整えようとした時……

ステイビルの部屋に置いてあった、ドワーフから託された刀から鉄が振動して発生する高い音が耳に伝わってきた。

その音は、”自分を連れていけ”……そう訴えかけているようにステイビルは感じたのだという。


「……それで、現場を見ると丁度アルベルトの剣が折れるところを見て、この刀を渡したというわけだ。偶然なのかもしれんがな?」


だがあの刀でアルベルトの動きが変わり、助けてくれたのも確かだった。

エレーナは、その時のことをアルベルトに聞いてみた。


「あの時は必死でしたからね。それといつもソフィーネさんに手合わせしてもらっていましたから、その成果が表れたのではないかと……」


しかし、ソフィーネ自体はそうは思っていなかった。

普段の手合わせと称した訓練では、動きは良くなってきたがソフィーネを負かすほどの技術は見てとれなかった。

あの時のアルベルトの動きは、いままでのそれとはまるで違っていた。

切れ味も、あのドワーフに整備してもらっていた剣よりも数段上の殺傷力を有していた。

ハルナは、ゲームの時の間隔から何かしらの特殊効果が乗っているのではないかとも思ったが、上手く説明できないため黙っていた。


「とにかく、今回はいろんなことが起こったな……そろそろ、村が見えてきたぞ」


森を抜けると、そこには懐かしい景色が見えていた。

初めて来た時は枯れていた泉には、水が溢れ村に潤いを与えている。

そのほとりには、ノイエルとチュリーがいてハルナとエレーナは二人に手を振る。

その声に気付いた二人は、ハルナたちの元に駆け寄ってきた。

そのままハルナは、飛びついてくる二人を一緒に抱きしめてあげた。




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