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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-170 村への協力



――エルフの村の中は活気づいている。


あの夜の騒動から、一か月が経過しようとしていた。

村長から任命されたとして、ゾンデルが指揮をとって村の再建を行っている。

危険は完全には過ぎ去っていないため、防衛についても考えていかなければならなかった。

だが、せっかく村の雰囲気が良くなっていた時に無駄な心配をさせたくはないとゾンデルは努力をしていた。

その中にはテイビルたちの協力があったからこそ、今の状況を維持できていた。

ステイビルたちは二組に別れ、村の周囲の警戒を行っていた。

以前のような複雑さはないが、村の周囲に魔法解除やサイレントなどの魔法を、徐々に村を囲むように展開し始めている。

そんな村の様子を見ながら、ハルナ、ソフィーネとブンデルが見回りを行っていた。


「ブンデルさん……やっぱり、村が懐かしいですか?」


ハルナは、村の中の全てに興味を示し眺めるブンデルに声を掛けた。

逆にブンデルは、自分が村のことをマジマジと見ていたことに気付かされた。


「いや、実は屋敷から外に出してもらえたことがあまりなくって……所々で見たことのあるような場所もあるんですが、なにせここを自由に歩き回れるのは初めてですから」


ブンデルはそう言いつつも、視界は村の中の景色だけをとらえていた。

そして向こうから、小さな子供のエルフが近寄ってくる。

先日助け出した、子供だった。

その姿はナルメルの子、ノイエルよりも小さい。

後から聞けば助けられた数日間はひどく怯え、ずっと母親の傍で泣いていたそうだ。

気持ちも不安定で、感情の波が激しかったようだ。

初めのうちは、ステイビルやゾンデルは被害状況の把握や今後の方針決めを話し合いが行われたりと忙しく過ごしていた。

それ以外の者は特に、何もすることがなく瓦礫の撤去や困っているエルフを手伝っていた。

そのとき丁度救い出した女の子に出会った。

女の子は母親に抱きかかえられて泣いていた、今でも怖かった時のことを思い出しているという。

だが、母親も村の大人として村の手伝いをしなければならず、少し困っていたという。

そこで、サナが女の子のことを呼んだ。

その子はサナのことを覚えていたようで、警戒心はなかった。

更にドワーフというこの村では珍しい種族であることに気付き、頭を支配していた過去の恐怖から興味のある目の前のサナへと女の子の意識が切り替わる。

サナは母親が困っていたことに協力するため、このまま女の子と一緒に遊んでてもいいか確認した。


「あの……よろしければ、この子をお預かりしましょうか?……あ、もちろんご迷惑じゃなければ……ですけど」

「え!?……あの、ご迷惑というか……いいんですか?」


サナからの提案は、その子の母親にとっては嬉しい提案だった。

住民で協力しなければならない今、自分の子供だけに構ってはいられない。

個人的には子供の傍にいてあげたいのだが、手伝わないとこの後の村からの評価も気になる。

そこで、子供を預かってくれる提案は、断る理由がなかった。

女の子も既にサナの胸のなかで抱かれている。

それだけ、サナとブンデルのことを安心している証なのだろう。

その様子を見て、母親はサナとブンデルに娘の面倒を見てもらうようにお願いした。

そこから、ずっとこの子はこの二人を気に入っていた。


「あらあら、すっかり気に入られてますね。ブンデルさん」


ハルナは笑顔でブンデルの脚にしがみついているエルフの子供を見て言葉を掛ける。

ブンデルはその言葉に、引きつった笑いで応えた。


「ブンデルさん、よろしければそのままお相手して差し上げたらいかがですか?見回りはハルナ様と二人で大丈夫です。必要であればサナさんと一緒でも」

「いいのですか?……実はそうしていただけると助かるのです」


母親も思わぬソフィーネからの提案に、喜んでいる様子が伺える。

返答に困るブンデルは、足元をみる。

するとしがみついていた子供は、ブンデルに抱っこをせがみ手を伸ばしてくる。


「仕方ないですね……でも、皆さんのお役に立てるなら」


そういいながら、ブンデルは女の子を抱き抱えて腕の中に乗せた。

子供はブンデルの首に手を回し、高くなった視界を喜んでいる。

ブンデルは一旦屋敷にもどり、サナと合流することをハルナに伝えた。

ハルナたちもその案を承諾し、ブンデルと別れて警備を続けることにした。

それぞれが行動を起こそうとした際に、母親がブンデルたちに告げた。


「どちらの村からいらしたのかはわかりませんが、アナタのいらっしゃってた村は開かれていた村なのですね。あのドワーフの方も一緒にいらっしゃたのでしょ?だって、あなたのような優しい方がいらっしゃる村なのですから……いつかこの村もそうなるといいですね」

「あ……」


ブンデルは、その言葉に言葉を詰まらせる。

勘違いをしているところもあるが、ブンデルは自分が褒められたのだと感じた。

誰かに認められることができた……その喜びの想いが溢れて言葉を詰まらせていた。


「……そうですね、ブンデルさんはお優しい方ですよ。この村も良くなっていきますよ、これから。ステイビル王子もきっと、力を貸してくれますよ」


母親はハルナからそう告げられて、その意見に同意し笑顔で村の手伝いに向かっていった。


「……それでは、ハルナ様。行きましょうか?」

「えぇ。それじゃ、ブンデルさん、また後で!」


そうしてハルナとブンデルは、この場で分かれてそれぞれの方向へ歩いて行った。

村の中には、作業の力強い掛け声があちらこちらで聞こえている。




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