表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

257/1278

3-88 爆発音



ドワーフの町に行ったその晩、ハルナたちはこれからどのようにドワーフたちとの交渉を進めるか話し合った。

しかし、ドワーフ内の問題については、いくら話し合っても埒が明かなかった。


「そればかりは、ドワーフたちの問題ですからね……」


今回集落で物資のやり取りや管理を指示しており、ハルナたちが戻ってきてから初めて話を聞いたマーホンが感想を口にする。


「そうなのよね、こちらが手助けをしても反対派の人たちにとっては私たちは敵でしょうから……何とか長老たちから説得してもらえることができれば」

「説得って言っても……私たちが話しても、絶対に聞いてくれなさそう」

「いっそ力で従わせた方が、すっきりしそうな気がしますけどね……」

「それはちょっと」


カイヤムの言葉に反論するエレーナだが、その言葉に反応したのはステイビルだった。


「いや、実際そっちの方が案外すっきりとまとまるかもしれんな。ドワーフも、プライドが高い種族と聞いたことがある。そのため、力ずくで負けてしまった場合は素直に認めてくれるんじゃないのか?」


ステイビルの言葉に納得しかける一同だが、今一つその方針でという気にはなれなかった。


「……まぁ、そういう手段もあるということだ」


ステイビルは肩をすくめて、また別な案を出していこうとした。

結局その夜は、ドワーフに関しては何の良案も出ないままこの話は終わることになった。

それ以外にも、東の国管轄の町となったため、決めないといけないことが多かった。

難しい契約の話はステイビル、マーホン、カイヤムとポッドで話し合われた。

その間、ハルナたちは無事にチュリーのお世話をすることにしていた。


そこから数日が経過したが、ドワーフからは何の連絡もなかった。

最初に到着したモレドーネからの物資を運んだ一行も帰り、次からはこちらへの到着がもう少し短い間隔で行えるように調節された。


「う、うーん……」


ハルナは背伸びをして、こわばった身体を伸ばした。


「ふぇぁ……」


隣にいたエレーナが、変な声を出す。


「どうしたの?」

「ちょ、ハル……クシャみ……出そぅ……逃げ……あ……黙っ…………は……っくしゅっ!!!」


――ドン!!


「え?」


エレーナのくしゃみと同時に、グラキース山から爆音が鳴り響いた。

その事態に、エレーナは唖然とする。

アルベルトとソフィーネが建物から飛び出して、その音の発生源を確認する。


「なんの音ですか!?エレン、ハルナさん、お怪我は?」

「私たちは大丈夫です。エレーナがくしゃみをしたら急に爆発音が鳴り響いて……」

「え、私のせい!?」


アルベルトの問いかけに、ハルナが答えた。


「ハルナ様、あれを。エレーナ様の問題ではなさそうです」


ソフィーネが、ハルナの背後の山を指さした。

ハルナたちは振り向くと、山から黒い煙がモクモクと立ち上っているのが見えた。


「ま、まさか。あれは……」

「……多分ドワーフの町で、何かあったんだな」


ステイビルが表に出てきて、その状況を確認した。


「行きますか?」

「もちろんだ、行くぞ!」

「「はい!」」


ソフィーネの問いに、ステイビルは当然のように答えた。


「私が先に見てきましょうか?」


ブンデルがステイビルに告げた。

その申し出に感謝し、ステイビルはブンデルに先に様子を見てもらうようにお願いした。


「お願いできますか?我々も準備ができ次第ここを出発します。ドワーフの町の入り口で合流しましょう。くれぐれも気をつけて」


その言葉に頷き、ブンデルはドワーフの町の入り口を目指して走っていった。

そこから急いで準備をし、ハルナたちも現場に向かう。

マーホンとカイヤムには、もし万が一のことがあれば東の国の応援を呼んでくるようにお願いした。


「わかりました……ハルナさん、皆さん。お気をつけて!」


マーホンは心配そうにしていたが、ドワーフの町に何かが起きており、それが今回人間が立ち入ったことによる可能性が高いため、このまま黙って見過ごすことはできないとここ数日話し合った結果の通り、ステイビルたちはドワーフの町へ向かった。

マーホンは嫌な胸騒ぎがしていたが、黙ってその背中を見守っていた。


「ふぅふぅ……」


木から木へと飛び移り、ブンデルはドワーフの入り口の近くまで来た。

ブンデルは辺りを見回し、誰もいないことを確認する。


「って、なんで俺がこんなことしなきゃなんないんだよ……でも、いいタイミングだったな。へへっ」


ブンデルは、いつハルナたちから逃げ出そうかと考えていた。

だが、このタイミングは丁度良かった。

ドワーフが何だか知らないが争っているうちに、この騒ぎに乗じて人間の元を離れることができた。


ブンデルは争い事も、調整や約束事も苦手だった……というよりも、面倒だった。

しかし、人間たちといるとそういうことばかり起きていた。

そんなことがブンデルの性格上、とても耐えられなかった。


「そりゃ、俺もあの王子みたいにかっこ良く、テキパキとこなしたいものさ。だけど、向いてないんだよねー……そういうの。こいつもあるし、当分は生きていけるだろう」


ブンデルは、肩にかけたカバンをポンポンと叩いた。

その中には、緊急時用に食料と道具がステイビルから渡されていた。


「最初の水の問題もドワーフが原因だったし、それもあの人間たちなら上手くやるんだろう?それで、エルフの村もなんとかなるさ……ま、もう関係ないけどさぁ……さて、今度はどこに行こうかな……ん?」


ブンデルが腰かけていた枝から立ち上がると、その視界に森の中を動く影を見つけた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ