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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第一章  【モイスティア】

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1-20 カルローナ・レイヴェン



カルローナは、町を出た森の中の祠の中で発見された。

荷物もなく、黒いローブ姿で隠れていた様子。

命には問題ないが、かなり衰弱している状態とのこと。

現在、捜索願いが出されていたことと、この町の混乱を招いた容疑者として、町に向かって輸送中であるとの報告だった。

さらに離れた別の場所で発見された男性は、会話もできず意味不明な言葉を繰り返しているという。

服は着ているものの、刃物か何かで切り裂かれた黒いローブが置いてあった。

これは詰め所を襲撃した二名の服装と酷似しているとの報告だった。


「発見されたのは一名だけ?」


マイヤはソフィーナに問う。


「それ以外の連絡は受けておりません。もしかして、仲間割れとか不要になったから処分をした……とかでしょうか?」

「それは調べてみないと、何とも言えないわね」


マイヤは最後のラファエルの”お返し”という言葉が気になっていた。


(もしかして、ラファエル様が……?)


この件は一旦保留とし、後に委ねることにした。

その他の情報をまとめると、次の通りだった。

  ・スプレイズの屋敷の一部を破壊されたが、ちょうど屋敷の中では買い物などで人が少ない時間帯であったため、人的被害はなかった。

  ・詰め所での襲撃は、スプレイズ家の爆発からおおよそ五分後に発生した。訓練された人物だと、走って詰め所まで到着できる時間ではあるが目撃者は無し。

  ・詰め所での人的被害は、おおよそ二十名。いずれも警備任務に当たっていた兵士たちであった。そのため、危険を感じ室内に隠れていたものについては被害がなかった。

  ・詰め所内のソフィーネらが拘束した二名は、生命には問題がないが植物状態となっていて意思の疎通が不可能となった。


これに関しては、スプレイズの家の襲撃は囮であり、詰め所の襲撃が本命。しかも、拘束された二名が対象で口封じを目的としていた、との推測に達した。

この推測を変更するには、更なる情報を取得しないことには検証も難しいため、このまま保留とすることにした。



時間が経過し、頑丈な造りをした馬車が詰め所の前に停車する。

どうやら、カルローナが連れてこられたようだった。

エントランスは吹き抜けで、二階からはその様子を見下ろすことができる。

入り口の扉は、両開きの扉となっている。

扉は開かれ左右に人が立ち、扉を押さえつつも警護に当たる。

開かれた扉からはまず、警備隊の兵士が先頭を歩く。次にロープを手にした兵士が続く。

そのロープの先は、カルローナにつながれている。

手は前に組んで、手首を手錠のように縛られている。

口元には、舌を噛まないようにタオル地の布で縛られていた。

衰弱した身体は両脇を支えられ、それでも足がもつれ、引きずられるように運ばれていった。

その様子を眺める、ハルナとエレーナ。

その姿はラヴィーネの訓練所でみた、あの高圧的な態度をとっていた女性とは思えないほどのあまりにも変わり果てた姿だった。

いったい何が起きていたのか?

今回の事件との関連性については?

それについては、回復したカルローナが真実を告げてくれることを願うばかりだった。


ハルナは横に目をやると、とある男性とティアドが同じくその様子を眺めながら何か話をしている。

男性はハルナの視線に気付き、こちらに軽く会釈をする。

ハルナもつられて、会釈を返した。


「ねぇ、エレーナ。あの人知ってる?ティアドさんとお知り合いみたいだけど」


エレーナはハルナの目線の先を追い、その男性を確認する。

しかし、自身の記憶の中には該当する人物は見当たらなかった。

ティアドと話していた男性はこちらの話題にしていることに気付いたのか、二人でこちらに向かってきた。


「初めまして、グリセリム・スプレイズと申します」


そういうと顎髭の似合う男性は、エレーナとハルナに向けて笑顔で挨拶をしてきた。


「初めまして。わたしはエレーナです。こちらは……」

「ハルナです、初めまして」


グリセリムと名乗る男性は、ハルナの顔を見るとやや驚いた表情で失礼にならない程度にみつめた。


「……い、いや。こんなに似ている方も珍しいですね。ぱっと見て見間違えてしまいますよ」


ハルナはいつものことで、もう慣れてしまった。

あったことはないが、いつも言われる”あの”人のことだろうと。

そして、次に口を開いたのはティアドだった。


「でしょ?最初は驚いたものよ。でも違うのはわかるのだけど……」


少し含みを持たせた笑顔で、彼女はそう返した。


(え?あんなに冷静だったのに驚いてたの!?)


そう思うハルナとエレーナだが、ここはあえて黙っておいた。


「ティアド様、こちらの方は?」


エレーナは思い切って聞いてみた。


「――おっと、これは失礼しました。自己紹介が遅れましたな。私、ティアド様の従姉弟いとこで、……カルローナ(アレ)の夫です」

「え!? それじゃあ、アイリスのお父さん??」

「はははっ。そうなりますな」


ハルナの言葉に、笑顔で答えてくれるグリセリムだった。

カルローナが見つかったことで、ティアドからグリセリムに連絡をしていた。

マイヤが以前調査した際には探すこともしていなかったのだが、今回はなぜ応じたのか?

もしかして、本当は家族のことが気になっていたのではないかというハルナの期待でもあったが、それは全くの見当違いなものとなる。


「今回グリセリムを呼んだのは、カルローナに対して何らかの刑が確定した際に、その軽減を願うかどうか確認したかったのよ」

「……そ、それで……どうされるんですか?」

「――今回はそういったことは一切お願いしません」


グリセリムは、エレーナの問いに静かに答える。


「ど……どうして!?」

「どうして……ですかって? ハルナさん。今回、妻が何をしたのか”まだ”わかりません。しかし、それならば、隠れる必要も怯える必要も何もないと思いませんか?それに、今回の我がアイリスの件も聞いております。私もね……普通のよい家族になるように努力や説得をしたんですよ、彼女に。ですが……ご覧なさい。このような結果です。直接的か間接的かわかりませんが、人が傷ついてしまっているんです!……それなのに、自分の娘にまで――あの子にまで手を伸ばしたんですよ……!」

「グリセリム……」


興奮状態だった男性の名を呼び、ティアドは優しくその背中をさする。今まで抱え込んできた荷物を払い落としてあげるかのように。


「し、失礼しました。取り乱してしまいましたね……お許しください」


グリセリムは拳を強く握りしめたまま、目をそらすように床に視線を落とした。

言葉では言い尽くせない感情が、胸の奥で澱のように渦を巻いていた。

この男性は本当は優しい方なのだろう。

その男性が、こういう決断をしなければならないくらい追い詰められていたのかもしれないとハルナは思った。

しかし、今のハルナに慰めの言葉をかけることはできない。

ハルナの言葉がこの男性を癒すことができるほど、全ての事情を理解しているわけではなかったから。

グリセリムはティアドに背中を支えられながら、廊下においてある長椅子に誘導され腰を下ろす。


「有難う、ティアド。もう、大丈夫……」


そういうと、グリセリムは目を閉じて大きく深呼吸した。


大きな声を聞き、マイヤとソフィーネも駆け付けてくる。

その状況が落ち着いていることを確認すると、ゆっくりとその中に加わる。


「もしよければ、私の知っている彼女のことを聞いてくれませんか?それで、あなた方にもぜひ判断して頂きたい……」


そういって、グリセリムは、カルローナのことを語り始めた。


「まず、彼女は……」



――カルローナ・レイヴェン


グスターヴ・レイヴェンの家に生まれた長女であり、一人娘。

カルローナは遅く生まれた娘でもあるため、両親の愛情を一身に受けて大事に育った。

レイヴェン家は水の町の商業者ギルドに所属しており、主に食料関係を扱う一家だった。

カルローナが誕生した時期にはギルド内でもさほど力を持たず、ギルド内の上部にいる商人から無理難題を押し付けられたり、時には損を受け持ったりして商売を続けていた。

ギルド内、町の管理者、警備兵、いろんな場面で見下されていた。

家族や従業員、まだ3歳くらいのカルローナが見ている目の前でも、グスターヴは踏み台にされ続けた。

それでもグスターヴは家族のために我慢し、ひたすら地面にこすりつける程に頭を下げ、作り笑顔で商いを行っていた。

同業者にも「そんなに無理しなくても……」と言われていたが、彼は”娘のために”といって、どんな案件でも精一杯にこなしていった。

周りもその真剣な姿に、やがてギルド内にも味方が増えていく。


気が付くとグスターヴの地位は上がっていき、ギルド内でもかなりの力を持つようになっていた。

それでも彼は、傲慢な態度で接したり弱い者を虐げたりはしなかった。

面倒見もよく、弱者を助け、社会にも貢献する商業者として名を馳せた。

ただ、一人娘であるカルローナは父のことを嫌っていた。

弱くて情けなかった小さい頃の父の思い出が、心に深い傷痕を残していた。

家では立派な父親で。従業員からも慕われていた自慢の父親であった。

しかし、外に出れば立派だった父親が、情けないくらいに頭を下げている。

言葉はわからなかったが、時にはひどいことを言われていても作り笑いでごまかしている。

そんな父親を、カルローナは許せずにいた。

そこから、力を欲するようになる。

強い人間として生きていくことを決意する。

そこでカルローナが目指したのは”精霊使い”という地位だった。

きっかけは、近所の同世代の女性が、モイスティアで新しく設立された精霊使いになるための訓練所に入ったと耳にした。

精霊使いになれば、特殊な力が手に入れることができる。

活躍すれば、王家との繋がりも持てるようになる。

更に、王国軍の兵隊と結婚すれば収入も安定し生活も安泰となる。


カルローナはグスターヴに、訓練所に入所させてほしいと相談した。

それを聞いた父親は、久々にお願いされた娘の頼みごとを何とか叶えようとあらゆる手を使って努力した。

しかし、望むような結果になることはなかった。

そして、グスターヴはその訓練所の所長が、スプレイズ家が運営しているところまで突き止めた。

グスターヴはスプレイズ家に面会の機会をなんとか取り付けることができた。


グスターヴは面会の日、カルローナを連れてスプレイズ家を訪れる。

二人は応接室に通され、管理者を待った。


「――お待たせしました」


管理者はそういうと、二人の前のソファーに座る。


「初めまして、カメリア・スプレイズです」


グスターヴは驚く。

カルローナよりひとつふたつくらいしか変わらない女性が、訓練所を管理している事実に。


「お……お忙しいところ、大変恐縮です。今回、娘のカルローナを連れてまいりました」


早速要件を切り出すグスターヴ。

手短に失礼の無いように、娘を訓練所に入れてほしい旨をカメリアに伝えた。


「――そうなんですね。わかりました」

「それじゃ、入れてもらえるので!?」

「まずは、ご本人と話しさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「どうぞどうぞ!」


そういうと、グスターヴはカルローナの背中に手をやりカルローナをカメリアに紹介する。


「カルローナさん……でしたね?あなたは精霊使いになって、何をしたいのですか?」

「はい。それは……」


当たり障りのない言葉をカルローナは紡いでいく。

決して、自己の欲でなく周囲に役立てるためなど、面接における”きれいごと”を口にしていった。

何度か質問と応答をやり取りして、カメリアもその内容にうなずく。


「……それでは、カルローナさん。最後に一つお聞きします」

「はい」


ここまでの回答は妥当であった。

さすが商人の子と言わせるくらいの、しっかりとしたよい回答であったと隣にいるグスターヴも心の中で評価している。

カメリアは最後の質問を投げかける。


「あなた、お父様のこと……お好き?」

(――!!!!!)


一瞬、心の波が荒立ち本能がその回答を答えようとするが、理性がそれを抑えて本来この場で答えなければならない最適解を口にする。


「――はい。好きです」


少し返答が遅れた感じもするが、自身の心の中だけなので外見上ではまるで問題のない速さでの反応時間だった。

そのはずだった……


「有難うございました」


カメリアはテーブルの前の紅茶を一口含んで、口の中を湿らせる。

そして落ち着いて息を吸いこんだ。


「――残念ながら、あなたは訓練所へ受け入れることはできません」


カルローナは笑顔のまま、何を言われたのか分からない。

次第に胸が急に息苦しくなるのを感じ、手の中に汗が滲む。

本人の代わりに、父親のグスターヴがその理由を問う。


「カ、カメリア……さま。な、なぜ、ダメなのでしょう?何が……いけなかったのでしょうか??」

「カルローナさん。あなた、こんなに父からの愛情が向けられているのに、何故それを無視しているのですか?」


カルローナは何を言われているのか、よくわからなかった。

グスターヴはその言葉に、これ以上何も言えなくなってしまった。


「え……あの、それは、最後の質問の……返事が少し遅れたからです……か?」


カメリアは、カルローナに可哀想という感情の眼差しを向ける。


「あなたは、そのことにすら気付いていないようですね……とにかく、わざわざご足労頂き申し訳ございませんが、受け入れることができませんので」


そういうとカメリアは席を立ち、二人に一礼して退室した。

カメリアが扉の向こうに消えていった後、応接室には静けさが戻った。


グスターヴはしばらく黙ったまま、手元の冷めた紅茶を見つめていた。

それは、ただの落胆ではなかった。

唇が小さく震え、胸の奥に張りついた何かが剥がれるように、感情が込み上げる。


(……そうか……あの子は、ずっと……そう思っていたのか……)


かすれた声でぽつりとこぼれる。

自分ではとっくに分かっていたはずなのに、認めないようにしていた……「愛されている」と信じたかった。いつか言葉にしてくれる日が来ると、どこかで期待していた。

だが、娘は自らの手で、それを否定した。


(“好きです”なんて……口だけで、あの子の目は……あんなに遠かった……)


言葉にならない想いが滲み出して、静かに頬を伝っていた。いつしかグスターヴの目から、一筋の涙が落ちていた。

しかしその涙は、怒りや悲しみのものではなかった。

たった一度でも娘の本心を聞けたことに対する……ずっと蓋をしていた感情を解放してくれた者への感謝の涙だった。






それから二年の月日が流れた。

レイヴェン家には静かな変化が訪れていた。

グスターヴの商売も、順調であった。

カルローナの表情には以前よりも柔らかな光が差すようになり、人々の間でも『変わった』と囁かれるようになっていた。


ある時、ギルドからの紹介で一人雇ってほしいとの連絡が来た。

彼の名はグリセリム・スプレイズといった。

商売を行っているが、なかなかうまくいかずレイヴェン家で修業をさせてほしいとの依頼だった。


――スプレイズの者か


グスターヴは喜んだ。

つながりが持てるとかではなく、あの時カメリアに気付かされた時からカルローナは変わった。

その恩返しができることに対して喜ぶ。


”恩は遠くから返せ”


グスターヴは従業員たちに、常に言い聞かせている言葉の一つだ。

それは商売の中で、重要な生きる術でもある。

グリセリムはぐんぐんと、グスターヴの知識と経験を吸収していく。

そして、一年足らずでグスターヴの側近(右腕)ともいわれるくらいになるまでに成長した。


ある日事件は起こる。

グリセリムが入る以前、片腕だった幹部が情報を流出させてグスターヴの商いに大きな損害をもたらそうとした。

それにいち早く気付いたグリセリムは、それを阻止することに成功する。

犯人が元幹部だったことも突き止めて、警備隊に突き出した。

このことをグスターヴは感謝し、将来的に店を譲ろうと提案した。

しかし、グリセリムはそれを断る。

今ではギルドで中心的な位置にあるグスターヴの店を、一年ちょっとの若者に譲るとなると大きな混乱を招く結果になると判断。

それに、自分は修行をさせてもらっている身であり、いつかは自分の家の商売を継がなければならない。

そういう理由からグリセリムは断ったが、グスターヴはスプレイズ家からの二度の恩を返さないわけにはいかないと、何かないかと考える。


「――そうだ!」


グスターヴはひらめいた。


「グリセリムよ。うちの娘を嫁にもらってくれんか!?」


そうすれば、スプレイズ家とレイヴェン家は親族となりより繋がりが強くなる。

そして、スプレイズ家に何かが起きた時には親族を理由に助けることができると考えた。

混乱したのはグリセリム。

まだまだ一人前ではないと思っていたので、家庭を作るのはまだ早いと思っていた。

しかし、仕事ばかりで出会いはなく、この先家庭を持てるのかという不安もあった。

それに、いまのカルローナはとても魅力的な女性であった。

仕事もでき、気配りもできる。

信頼もあるし、ちょっとした野心家でもある。

グリセリムはカメリアを幼いころから見ていたので、活発な女性が好みだった。


「あの……少し、考えさせて……ください」


グリセリムは目線をカルローナにやり、その視線に気付いたカルローナはやや照れたようにうつむいた。

グリセリムとカルローナが式を挙げるのは、その日から数か月後だった。



カルローナはグリセリム家でも、しっかりと働いた。

家のこと、店のこと、近所のことも。

頑張りすぎて、無理にでも休むようにも言われる始末だった。

そう――おなかの赤ちゃんのためにも。

待望の子供が生まれる。

二人は相談して、名前をアイリスと名付けた。

そこからだった。

カルローナは豹変する。

何が何でもアイリスを精霊使いにさせようとするカルローナ。

それを止めようとするグリセリム。


毎日毎日、喧嘩が続く。


グリセリムはグスターヴに相談するも、何かを思い出して怯えたように役に立たなかった。

グスターヴも年を取り、もうカルローナに何かを言うこともできなくなった。

グリセリムは、離婚も考えたがアイリスのことを考えると思いとどまる。

そして、月日が流れアイリスはモイスティアの訓練所に入ることができた。

そのままラヴィーネの訓練所にも行くことが決まる。








「……アイリスは今回、精霊との契約を結ぶことが出来ず……その後、あなた方もご存じの通りの状況です」


ハルナは、何も言葉にすることができなかった。

いま何か言葉を口にすると、全てが偽善に思える。

何より、感情のグラスの中の水が溢れそうで零さないようにするだけで精一杯だった。


「わたしでは、カルローナの傷を癒すことは出来なかった……ひとりの人も救うことのできなかった……無力な男……です」

「グリセリム……」


ティアドは、ハンカチを出して男性の涙をそっと拭った。


そんな中、新たに一つの馬車がエントランス前に停まる。

質素な作りにしてあるが、その素材は一目で高級なものとわかる。

御者が扉の前に踏み台を置き、開かれた扉から年老いた一人の男が、メイドの手を借りて慎重に馬車から降り立った。



その人は、グスターヴ・レイヴェンであった。




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