表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

206/1278

3-37 頭に鳴り響く声



『何かお困りかな?ハルナよ』

「だ、だれ?こんな大変な時に!?」

『おいおい。我にそんな態度をとるのはお前だけ……いや、もう一人いるな。……いやそんなことはどうでも良いのだ。困っておるんじゃろ?力を貸してあげようぞ』

「え?本当ですか!」

『もちろんだとも。このままじゃ、ワシもこの”黒い”のは気持ちが悪いのでな』


声がそう告げると、池の表面がフワッと光り始めた。


「ふわぁー。きれいだねぇ、ハル姉!」


フウカも、思わずその光景に見惚れてしまっていた。

それにもう、自分が闇を消さなくてもその光で消えていっていくのが見えたからだった。


『よし。もうこれでいいだろう?』

「本当ですか!?助かりました。本当にありがとうございます!!」

『うむ、そうやって素直に喜んでくれると、我も手を貸した甲斐があるというものだ。よくあの者にも伝えるがよい』

「それって、フーちゃんの先生の?」

『そうだ、ラファエルだ。あの者は悪気はないのだが、ちょっと……おっとこれ以上はよしておこう。そろそろ、お前の仲間もくるようだしな』

「あ、もしかしてあなたは。あの洞窟のドラゴン……」

『やっと思い出したか。我の名は”モイス”、また会おうぞ娘よ』


そう言い残して、モイスの言葉はそれきり聞こえなくなった。


「ハルナ!!大丈夫!?」


遠くからエレーナが、凄い勢いでハルナの名前を呼んで走ってくる。

その後ろには、ステイビル、アルベルト、ソフィーネとマーホンが遅れてやってきた。


「ハルナ様、お呼びして参りました!」


マーホンが息を切らしながら、必死に走ってくる。


「大丈夫か、ハルナ!?あのヴァスティーユもいたとか」


ステイビルは、ハルナの姿を見て問題ないことを確認しながら念のためハルナに声を掛けた。


「ステイビルさん、大丈夫です。何とか無事終わりました」


「終わった?……どういうことだ、それは」


そう聞かれたハルナは、今までのいきさつを全て話した。


「……モイス様が?本当に?」

「はい。最終的にはこの池の水、全て闇を全て浄化してくださいました」

「それじゃあ、この町に影響はおきないわけ?」

「そうだと思う。フーちゃんにお願いをして少し見てもらったけど、黒い物は見えなかったって言ってたわ」

「となれば、まずは一安心だな」


ステイビルがいまの状況を整理し、この町の重要な水源から出る水に影響がないと判断した。


「それにしても、あの”ヴェスティーユ”を相手に、良く生き延びれたわね」


エレーナは唯一モイスティアのあの場所で、気がしっかりとして最後まで見ていた人物だった。

そのため、ヴェスティーユの強さは良く知っていた。

今回は、ハルナ一人でヴェスティーユ姉妹の奇襲を防いだことに驚いていた。


「でも、西の国で見たヴァスティーユはなぜかほとんど何もしてこなかったの。母様がどうとかこうとか言ってたけど……」

「とにかく、ハルナが無事ならそれでよい。一度屋敷に戻ろう」


そのステイビルの提案に一同は周囲を警戒しつつ、ハルナを助けながら戻っていった。


屋敷に戻ったハルナは緊張感と力の使い過ぎとで、ベッドに寝かされたまま起き上がれない状況になっていた。

あの姉妹に一人で対峙し、そのうえマーホンを守るという緊張感は相当疲労を要したものと思われる。

ハルナは、一通り外に出てからマーホンに助けを呼んでもらうまでの間の出来事を説明し少し眠りについた。


「今回の王選と何か関係があるのでしょうか……」


エレーナは不安そうに、いま感じたことを口にした。

ステイビルは、その言葉にどのように返してよいのか思考するが、丁度良い答えは出てこなかった。


「なぜ、あの者たちがハルナなのか我々を狙っているのかわからないが、ハルナはあの者たちに狙われている気がしている」


ステイビルも、これから先のことを悪いことばかり思いたくはなかった。

しかし、ヴァスティーユたちの行動に対して、王選に関与する理由がはっきりしないうちは、良くない方向へ思考が進んで行ってしまうのだった。

だが、そこでマーホンは告げる。


「今回の池の水をきれいにしてくれたのは、”モイス”様なのでしょうか?」


その言葉に、ステイビルは自分の判断を交えて応える。


「ハルナからの話を聞いても、その可能性が最も高いな。そういうことからも、この町の池は大竜神の一つと繋がっている町である可能性は非常に高いと考えている」


ステイビルは不確定な要素ではあるが、自分の思考も含めこの場にいる者に伝え、そのことについてみんなで検証しようという意味も含めて投げかけた

王子という立場を除外し、これからこのメンバーで乗り越えていかなければならないと考え、それぞれの考慮を大切にする気持ちも込め、今の判断を下したのだった。


「……とにかく、この町はモイス様との関連性は高い町のようですね。まずは、大竜神モイス様の場所を探すことが目標になりそうですね」


エレーナの言葉に、この場にいる一同が頷いた。


「よし。明日からは当初の予定通り、モイス様の場所を見つける情報を探すとともに、ヴァスティーユたちの同行にも注意していこう」

「「はい!」」


眠るハルナを除くこの場にいた全ての者が、ステイビルの提案に返事をした。

これからは、当初の予定通りモイスの場所を探していくことで意見が一致した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ