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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-18 新たな目標



「おかえりなさいませ、ハルナ様!!」


ハルナに突然声を掛けた女性は、懐かしいような聞き覚えのある声だった。


「マ……マーホンさん!?どうしてここ……あ。もしかして!」

「そうなのです。ここの施設の運営と管理を任されましたので、こちらに常駐することにしましたんですよ!」


ハルナとの再会をとても嬉しそうに話すマーホンを見て、ハルナもなんだか心がほんのりと温かくなり涙がこぼれた。


「済まぬ……感動の再会の途中で悪いのだが、マーホン」


ステイビルが話しかけると、マーホンは鋭い目付きで視線を向ける。

それは明らかな”せっかく良いところだったのに……!?”といった怒りが、ハッキリと込められているのがわかった。

こういうところが、ステイビルはマーホンが苦手とするところだった。


「何でございましょうか……ステイビル様?」

「う、うむ。お主が気にしておった、この施設の件だがな。一応王国がコリエンナル家から剥奪したことになっておるが、それをエフェドーラ家に移した際の対価の件はお主に任せたが、結局どうしたのだ?」

「あー、そのことはこれからご報告差し上げようと思っておりましたが。”ちょうどよかった”ので、今ここでお話ししましょう」

「お、おぅ。頼む」


終始マーホンに押され気味なステイビルは、何とか残り少ない威厳を保つために王子らしい返事をするだけで精一杯だった。

結局この施設の代金をジェフリーに支払ったということだった。

その内訳は、施設の現時点での価値を価格にし、デザインを覗く絵画、ツボ、造形物などの装飾品を一つ一つ価格に出した。

底から趣味の悪いデザインを改修する費用と改修後に似合わない装飾品を売却した差額を送ったと言った。


「……最初から崩してやり直した方が早い気がしたんですけどね」

「まあ、そういうな。そうすれば、我々の拠点がまたどこかに移さなければならなくなるんだぞ?」

「もちろんハルナ様は、わたくしの屋敷へ!」


熱い視線でマーホンに見つめられたハルナは、乾いた笑いを返すだけしかできなかった。


(さっきの涙、やり直したい……)


ハルナは心で、そうつぶやいた。




アルベルトとエレーナが合流し、全員で昼食を済ませる。

マーホンがその質素さに驚いたが、今の体制が変わった中ではこれが限界だとシェフに言い返された。

マーホンの良いところは、そこで自分の人材をそこにすぐ投入するのではなく、オーナーが代わっても今までいた人材をどうにかして生かそうという姿勢がステイビルも気に入っていた。

そして、マーホンが淹れてくれた食後のお茶を目の前に話しをする。


「……そういえば、クリエさんたちのその後は分からないんですか?」

「ここに来る前までに、いろいろと調べてみたが情報は遮断されていた。だが、キャスメルたちも同じ状況である可能性が高い」


ステイビルは、シュクルスが持っている国宝級の剣が西の国からの借りものであることも心配している。


「以前ハルナさま方々が滞在されていたハイレイン様の施設も、今は既に立ち入り禁止ですわ。そこにいた従者もそこで契約終了となりました」

「結局、わたしたちはわたしたちのすべきことをやるしかないってことね」

「だがな、正直どこに行けばいいのかさえ分かっていない状況なのだぞ?」

「ソフィーネさんも、情報をお持ちではないですか?」

「この件に関しましては、王国内でも重要機密事項でしたので……」

「そっかー、何かひとつでもヒントがあれば」


マーホンは、難しい顔で腕を組んで思い悩む。


「どうしたんですか、マーホンさん?」

「いえ。私たちのエフェドーラ家に伝わるうたがあるのを、急に思い出したのですが……」

「え!それって、今回の手がかりを示すものでは!?」

「それで、その詩の内容は!?」


ハルナとエレーナが喰い入るように、マーホンの顔を見つめる。


「すみません、それが全く覚えていなくて……興味なかったものですから」

「「えぇぇぇぇ!?」」

「では、いまはもう知ることはできないのか?どこかに記されているとかは?」

「あ、はい。記録することは許されなかったはずです。しかし、祖母の家に行けば聞けると思います。ですが……」

「寝たきりで長い間目を覚ましていない……とか?」


ハルナが、どこかで見たことのあるような話しの内容を確認した。


「いえ!まだ元気ですし、頭もはっきりしています」

「じゃあ、何が問題なの?」

「少し変わり者で、人と交流するのが嫌いなのです。そのためその場所が少し遠い場所に……」

「どこなんだ?そこは」

「はい、”モレドーネ”です」

「モレドーネですって!?あそこは馬車でも、モイスティアから五日はかかるところじゃないの!」

「ですから、”少し遠い”と……」


ハルナはこの世界の距離感が判らなかったが、エレーナの驚き具合で随分と遠い場所であることが感じとれた。


「誰かに聞いてきてもらうとかはダメなんですか?」

「まず、祖母は人嫌いですので他人が来ても相手にしません。それに、その内容は一族の本家の者しか伝えられないとか言っていたような気がします」

「それなら、なおさら行ってみないと始まらなそうだな」

「し、しかしステイビル王子……行っても何の意味のないモノかもしれませんよ!?」

「ハルナたちはどうだ?ここであるかどうかわからないモノを探すか、それとも風で流れてきたこの細い切れそうな糸を辿っていくか……どっちだ?」


ハルナはエレーナを見ると、目で”決まってるわ”という合図が返ってくる。

ソフィーネたちを見ると、”おまかせします”といった空気が漂っていた。

マーホンを見ると、今までとは違う自信のない態度でハルナの答えを待つ。


「――それじゃあ、行きましょうか?」


その答えに、ステイビルたちは頷いた。





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