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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第三章  【王国史】

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3-6 メイヤへの命令



「ハルナ様、私に何か用事がおありですか?」


メイヤは、ハルナに呼ばれていると聞いて施設の中に割り当てられた部屋の中で、ハルナの書斎ともいえる部屋に入っていく。


「あ、メイヤさん。お忙しいところすみません。お帰りになる前に、よく知っていそうなメイヤさんに聞いてみようと思って」

「あら、珍しいですわね。私に聞きたいことがあるなんて……」


ハルナは、メイヤに部屋に置いてある椅子に腰かけるように促した。

最初は断っていたが、何度も勧めてくるハルナに折れて腰掛けることにした。

そしてメイヤは感心する。

他の世界から来たというハルナだが、この世界のマナーや心遣いが徐々に身についていた。

異世界への順応も早く、何しろ好奇心が強かった。

元の世界では、相当優秀な人物だったのではとメイヤの中ではハルナをそう推測していた。


「……それで、私に聞きたいこととは?」


メイヤは同じく自分の前のソファーに座るハルナの目を見て再度その内容を確認する。


「もうすぐメイヤさんは、ラヴィーネに戻られますよね?」


その問いに、メイヤは会話の途中で頷く。


「それで、戻られる前に聞いておきたかったことがあるんです」

「私の知る範囲とお答えできる内容であれば、何でもお聞きくださいませ」


メイヤはハルナの何でも知りたがり、そしてその内容もある程度自分である程度考察しており決して他人任せの質問でないところが気に入っていた。


「あの……カメリアさんでしたよね、ティアドさんのお姉様のお名前は」

「そうですね、カメリア様でお間違いありません」

「で、そのカメリアさんって、どういうお方かメイヤさんはご存じですか?」

「残念ながら、私も直接お会いしたことはございません。なにせ、アーテリア様と同じ時期に活躍されたお方ですからね。私はまだこんな仕事に就くとは考えてもいなかった頃ですからね……」

「そうですか……」


ハルナは何でも知っていそうなメイヤから予想外の返答があり、少し残念に思った。

メイヤもそんながっかりするハルナの姿を不憫に感じたのか、ここで会話が終わってしまわないように話を続けた。


「ハルナ様はどうして、カメリア様のことをお知りになりたかったのですか?」

「以前アーテリア様からお伺いした話ですと、いま付けているこの指輪はカメリアさんがお持ちになっていたと聞きました。大精霊様から頂ける加護を受けた指輪が、この世にどれだけ存在しているかはわからないそうですが、風の指輪を持っている方は近年少なかったと聞いています」


メイヤはハルナの考察の流れを聞くために、邪魔をすることなく相槌を打ってその話の続きを待った。


「ですが、違う世界から来た私が何故その指輪を持っていたのかは、お話しした通り私の祖母が持っていたものを貸してもらって持っていたからです。祖母がその指輪をどうやって手に入れたのかはわかりませんが、実際に私の指についている事実は変わりません」

「では、ハルナさんはカメリア様があなた様の祖母ではないか……と。そう、考えているのですか?」

「……分かりません。それは、あまりに情報が足りないからです。私の知っている祖母のもっと前の過去、以前の持ち主だったと思われるカメリアさんのこと、私が指輪に認められている意味……。結論に至るまでには、まだまだパーツが足りないですが今あるパーツの中身だけでも埋められるものなら埋めていきたいと思って……」

「私に聞いてみたということですね?」


ハルナは、その言葉に黙って頷いた。

メイヤはハルナの話を聞いて、目を閉じたまま膝の上で手を組んでいる。

その数秒後、目を開けてハルナの顔を見つめた。


「これは、私だけに相談したいことでしたか?あまり公にはしませんが、アーテリア様に報告しても?」

「え?えぇ、この話は今のところエレーナにも話していませんが、アーテリアさんに話していただいても構いません。ただ、悪い結果だと嫌なので、調べていることはそんなに多くの人には知られたくないですね。せっかく、この世界で仲良くやっていけそうなので……」


その返事を聞き、メイヤは席を立った。


「わかりました。そのような”ご命令”であれば、調査してみましょう。……私もハルナさんがこの世界にきた理由があるような気がしてなりませんし、それを知りたいのです」

「本当ですか!?ありがとうご……」


そう言い掛けたハルナを、メイヤは人差し指を立てて制した。


「ですが、条件がございます」

「条件……ですか? あのぉ、お支払いできる額ならば……なんとか努力します……」

「そうではありませんよ、ハルナ様」


メイヤは、笑顔で応える。


「条件は一つ。ハルナ様も、気付いたことがありましたらどのタイミングでも構いませんので、情報をこちらにも知らせてください。情報の信ぴょう性はお任せします。ただ、事実なのか推測なのかはハッキリさせていただきます。よろしいですか?」

ハルナはきょとんとした顔の後に、ゆっくりと表情が戻ってきた。


「わかりました。私も、新しく分かったことがあったり、気になったことがあったらご連絡します!」


メイヤはハルナに手を差し伸べて、ハルナは席を立ちあがりその手を掴んで握手を交わした。


翌日、メイヤとオリーブはラヴィーネに向かって出発した。

ハルナとエレーナは、二人が乗った馬車が見えなくなるまで見送っていた。

その翌日にはハルナも、別の場所に移動することになった。




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