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問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』  作者: 山口 犬
第二章 【西の王国】

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2-104 警備兵としての実力



「や……やっぱり」


エルメトは二つの証拠品を合わせると、ひとつのブレスレットが出来上がるのを確認した。

しかも、切れ目の位置や素材の劣化具合など、同一のものであることが検査の結果判明した。

その報告を受けてボーキンはハルナの考えていた通り、フェルノールはビルメロから受け取ったあの剣を探しているのだと確信した。

エルメトはボーキンの家で、ハルナたちに確認したことを報告する。


「だが、どこからその情報が伝わっているのだ?」


ステイビルが、疑問に感じたことを口にする。


「それは、出会った警備兵からでしょうね……」

「こんなことを言っては失礼かもしれませんが、どなたか誰が味方なのかの調査されているのですか?」


次は、キャスメルが思ったことを口にする。


「はい。それにつきましては、現在ボーキン様が調査中および橋梁者への勧誘・説得を行って頂いているところです」


その言葉を聞きステイビルはしばし考え込んだ後、エルメトを見て告げる。


「……エルメト殿。一つお願いがあるのだが、私も警備兵として城の中に入れるように手配してもらえないだろうか?」

「ステイビル様、そんな危険なことはいけません!それならば、シュクルスがおりますし、なんならソルベティに行かせますので王子自らなどいけません!?」


ルーシーは驚きの声を挙げる。

一国の王子が、自ら敵のような場所で調査を行おうとしている。それを止めない部下はいないだろう。

しかしステイビルは、その必要性をこう告げた。


「実はハルナさんの相手が剣を狙っているかを探る計画を聞いてから、キャスメルが考えて王宮内をメイヤに調査させてみたのです」

「調査?何を調査したのですか?」


エレーナが、発案者のキャスメルに聞いた。


「そ……それは。今の王選での応援している割合です」

「で、その割合は?」

「今のところ七対三で王子派が優位です。しかも、それは脅されたり、強要されてではなく、実際にそう思っている方が多くいるということです」


その結果を聞いて、エルメトとアーリスの顔が青くなった。

元々は、そういった恐怖や力による政策を推進することを反対している人々をこちら側に取り込む作戦だった。

だが、ゴーフのようにその考えに不満を持っている者ばかりではなかった。


「そこまでお調べになられているのであれば、教えて頂きたい。我々に味方をしてくれそうな割合は、どの程度なのでしょうか?」

「それは七のうちの一、もしくは二といった程度でしょう」


キャスメルは伝えづらそうにしていたが、ここは隠しておいても仕方がない場面と判断しハッキリと伝えた。


「そ……そんな数字、正確ではないかもしれないじゃないですか!?本当に調べたんですか!?」


聞きたくない数字を聞かされて、信じたくないアーリスはキャスメルの報告に難癖をつけてくる。

それに対して答えづらいキャスメルに代わり、ステイビルが答えた。


「メイヤは東の国の元諜報員だ、こういった調査は慣れている。誤った調査結果を報告してくることは、これまでに一度もない」


情報はどのような場面でも重要となり、その情報を探るに辺り精度が低い場合は死活問題となる。

これまでの正確性の高さから、メイヤは国の重要機関として諜報任務を担ってきたのだった。


「っていうか、いつも一緒にいた気がするんだけど。一体いつ調査に行ってたのかしら……」


ハルナが、ボソッと頭に浮かんだ言葉を口にする。

その言葉を聞いていたメイヤは、ハルナにニコっと笑顔を返すだけだった。


「もしかして、ボーキンさんもこのことを知っていて、みんなに伝えられなかったんじゃないですかねぇ」


クリエが、ボーキンの胸中を推し量る。

王選が始まり、わざわざ士気を落とすようなことは、あえて伝えなかったのだろう。

この場にいる一同は黙り込んでしまった。

先日壊れた、玄関の修復工事の音が鳴り響いていた。


「話は元に戻るが、私を警備兵として入れてくれることはできないのか?」


再び、ステイビルがエルメトに確認した。


「その理由をお伺いしてもよろしいでしょうか……ステイビル殿」


ステイビルは、呼ばれた際に”王子”と付けられなかったことに違和感を感じたが、違う国でもあるためここは流しておいた。


「それは……だな。この目で確かめておきたいのだよ。そのカステオという男が、一国の王に相応しい人物であるかどうかを、な」


自身の国の王子である、カステオの名を呼んだ際に”王子”とつかなかったことに違和感を感じたが、それ以上に”確かめる”と目の前の男は言って見せた。

エルメトは、そのステイビルの高圧的な態度に、心の中に少し苛立ちを覚えた。


「ステイビル殿……王子の周りには、警備兵やあのフェルノールも近くにいます。確かめるといっても、近づくことは難しいかと。それにうちの王宮警備兵は選び抜かれたものばかりです、ステイビル殿が怪我をされる恐れも……」

「ふん。見下されているのか……言っておくが、私はアルベルトには敵わぬが、ゴーフという男よりは腕が立つぞ」


明らかにエルメトとアーリスの顔が真っ赤に染まっている。

それもそのはず、自分たちより上の警備隊の隊長がバカにされているのだから。


「……わかりました、ボーキン様に掛け合ってみましょう。ですが、その前に私に一度その実力を見せて頂けませんか?」


エルメトは、そう言いつつ腰の剣の柄を握りしめた。




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