6-478 決意
ハルナは、サヤに自分が問われてた内容を聞き返す。
サヤはその質問にも動じず、ハルナに質問で返した。
「……じゃあさ、ハルナ。アンタは、アタシにどうしてほしい?」
「――え?」
ハルナは、サヤのことで自分に意見を求められるとは思っていなかった。
だから、その言葉にどのような意味があるのか、どういう答えが正解なのかと考えを巡らせていた。
その表情を読み取ったサヤは、ハルナに安心するように話す。
「心配しなくても、アンタの言ったことをそのまま聞くわけじゃないから、思ったこと何でも言っていいって。だけど、一回しか聞かないからね。言い直したり、待ったとかはナシだよ?正直なことを教えてって?」
そうサヤから言われて、ハルナは胸のあたりに入っていた力がすっと抜けていくのを感じる。
そして、ハルナはゆっくりと息を吸い手を組んでサヤの質問に答えた。
「わ……私……サヤちゃんには一緒にいて欲しい。あっちの世界じゃあんな終わり方しちゃったから、こっちでやり直したい……もう一回、サヤちゃんと」
「そう……か。そうなんだね……」
「――サヤちゃん!?どうしたの!?」
サヤは、ハルナの回答にホッとした表情を浮かべる。その目には、涙が浮かび既に溢れそうになっていた。
ハルナはその涙が、どういう意味があるのかわからず、何か悪いことを言ったのではないかと思い取り繕う。
「私……サヤちゃんが”正直”にって言ったから、本当のこと言ったんだけど!?ま、まさかそんなにわた……しの……こと……嫌い……」
言い訳のような言葉を伝えながら、ハルナにも涙があふれてきた。
ハルナからは、サヤが必要であることを伝えたつもりだったが、サヤ自身にはそんな気はなく自分のことを嫌っていたのではないかという気持が涙になって溢れていた。
そんなハルナの涙を見たサヤは、袖で涙を拭ってハルナがベットの上で膝の近くに乗せている手を両手で包んだ。
「違うんだよ……ハルナ。アンタも、正直に言ってくれたから、アタシもちゃんと正直にいうよ」
サヤはこれから言うことに決して笑わないでとハルナに告げる。それを受けたハルナも、もちろんと笑顔で返した。
「アタシね……アンタの言ってくれたことが、嬉しかったんだ」
その言葉の後、サヤはハルナの目を見つめニコっと微笑んだ。
「まさか、アタシがあんなに酷いことしたのに……この世界でも好き勝手やってアンタを困らせたのに……最終的にはアンタの身体にも酷いことさせちゃったみたいだから……そう言ってくれるなんて思ってもみなかった……ほんとだよ」
「な、なんで?私、サヤちゃんとは家族だと思ってた。親戚だけど、姉妹みたいな関係だと勝手に思ってたの……だから、そんなサヤちゃん……あのことを酷いことをしたなんて言わないで?私だって、サヤちゃんのこと助けてあげられなかったんだから!?」
「……ありがとう、ハルナ。そんな風に思ってくれてたなんて」
サヤは、ハルナとの関係の温かさをかみしめるように、目を閉じていた。
そして、ハルナの手の上に乗せていた手を離し、決意を込めた視線でハルナに告げる。
「よし、決めた。アタシ……あっちの世界に行くわ」




